Q.3年前に購入した車のメーターが巻き戻されていた。
    この場合、代金の返却を請求できる?

3年前に買ったクルマを乗り替えようと思い、買い取り専門店に買い取り査定をお願いしました。すると、なんとメーター巻き戻しが発覚。購入した販売店に代金の返却を申し出ようと思いますが、3年たった今でも大丈夫でしょうか?

A.代金の一部は請求できますが
    全額の返金は難しいでしょう

民事の不法行為の時効は、その事実を知ってから3年ですので年数に関していえば問題はありません。また、代金の返却も一部は可能でしょう。

そもそも、このケースの場合は3パターンが考えられます。
1.販売店が巻き戻して販売した。
2.販売店が巻き戻しの事実を知っており、それを隠して販売した。
3.販売店は巻き戻しの事実を知らずに販売した。

1と2の場合は悪質で詐欺罪に当たることも考えられます。ただし、刑事事件として告発しても、販売店がメーターの巻き戻しを行った事実や、知りながら隠して販売した事実を立証するのは困難な場合が少なくありません。この場合、話し合いで金銭被害を解決するほうがいいでしょう。

しかし、代金の全額返却は難しいと思われます。なぜなら、3年の間、大きな問題もなく車を使用できているからです。これは車としての性能については担保されており、その部分の利益に関しては享受できているということ。実用商品としては目的を達しているので問題がないということです。

よって現実的には、メーターを巻き戻さない正しい走行距離の相場とメーターを巻き戻して走行距離を少なくした相場の差額を返金してもらうという形になるでしょう。加えて、騙された精神的被害を損害賠償として請求できる場合もあります。

3の場合ですが、販売店が巻き戻しを知らなくても、善管注意義務に照らし合わせると責任は免れません。やはり、1と2と同じように相場の差額を請求することは可能です。

走行距離は車の性能を判断する重要な情報の一つ。巻き戻しによる不利益は中古車選びの根幹にかかわります。時間がたっていても泣き寝入りせずに、消費者センターに相談するなどしましょう

第51回:愛車のODOメーターの巻き戻しが発覚!こんな時は!?|渋滞ができる法律相談所
illustration/もりいくすお

■ワンポイント法律用語■

不法行為(ふほうこうい)
故意または過失によって他人の権利を侵害し損害を発生させる行為。加害者はその損害の賠償責任を負う
善管注意義務(ぜんかんちゅういぎむ)
行為者の職業や社会的地位に応じて通常期待されている注意義務のこと。専門家やプロは、取引において一般的・客観的に要求される平均的な注意を尽くす必要がある