Q.クレジット審査が通らなかった場合
残額も払わなければならないの?


150万円の車を購入しようと思い、手付金を10万円払いました。残り140万円はクレジットでと考えていたのですが、審査に通りませんでした。キャンセルするしかないので販売店に話をしたところ、「この車をあなたが買うといったので、他のお願いを断っている。140万円準備してもらわないと困る」とのこと。もちろん、手付金も戻せないと言われました。これって、払う必要はあるんですか?

A.ローン審査が通らない=契約不成立
と考えられるので支払う必要はない


結論から言うと、140万円は支払う必要はありません。ご質問の「クレジット」ですが、正式には「立替払い契約」といいます。車の売買契約は販売店を経由して、信販会社に「立替払い契約」を申し込んだときに成立します。「立替払い契約」が問題なく成立するとローンが発生しますが、もしも不成立の場合は、売買契約も遡って成立しなかったものとされています。よって今回のケースのように、審査が通らない場合は、契約自体がなかったものとされます。

ただし、審査を行う前から、依頼者(客)の要望によって、改造やオプションの装着を始めている場合には、実費分は支払わなくてはいけない可能性があるので注意してください。

ちなみに手付金ですが、これは厳密に言うと、証約手付けや違約手付けなどに代表される、契約のときに授受するお金です。今回の場合、まだ契約が成立していないので、手付けにはあたりません。車の購入で一般的に「手付金」と言われるものは、正式には「申し込み証拠金」。ひやかしではない証明として、車の購入の優先権を確保するために支払うお金で、売買契約が成立すれば返してもらえます。今回のケースでも、契約が成立していないので返却されます。


illustration/もりいくすお


■ワンポイント法律用語■

違約手付(いやくてつけ)
契約違反を防ぐ意味合いをもつ手付のこと。手付けを交付した側(今回のケースでは客側)に違約があった場合には、相手方(今回のケースでは店側)はそのお金を没収することができる
証約手付(しょうやくてつけ)
売買契約は「意思表示の合致」により成立するが、「言った、言わない」で争われることも多いので、契約成立の証拠とする目的で支払われる。手付けは契約が履行されるときは売買代金の一部に充当される