今年4月の新車販売台数で見ると国内市場の30%以上を占めるなど、軽自動車は大人気。小さなボディゆえ老若男女を問わず運転しやすく、燃費がよくて維持費も安いなど様々なメリットがありますが、その軽自動車にも、体の不自由な人や足腰の弱った高齢者が同乗しやすいよう改良された福祉車両が意外とあるのです。今回は助手席シートが回転&昇降するダイハツ ムーヴのフロントシートリフトを紹介します。

ベースのムーヴ(2010年12月~)は広々した室内空間、使い勝手の良さなどが人気の軽自動車です。一部グレードにアイドリングストップ機構を備えるほか、2012年12月からは衝突回避支援システムを装備するグレードも用意されています。こうした新機能などもあり、4月には新車販売台数でトップとなったほどの人気車。そんなムーヴに用意されたフロントシートリフトは、助手席が車外に向かって回転&昇降するので、車いすからの乗り替えや、片足をあまり上げられない人でも乗り降りしやすくなっています。

シートの回転&昇降はシート下のスイッチやリモコンで操作するだけ。電動でシートを車外に回転&スライドさせ、座面を好みの位置まで上下させることができます。またムーヴのフロントドアは約90度開きますから、開口部が大きくて乗り降りしやすいというメリットもあります。グレード展開は2012年10月のマイナーチェンジ前まではXとLがあり、Xにはアイドリングストップ機構が備わっていました。マイナーチェンジ後はX“SA”とL“SA”、それにLがあり、全車にアイドリングストップ機構が備わるほか、X“SA”とL“SA”は衝突回避支援システムも装備しています。

原稿執筆時点でカーセンサーnetを見ると4台見つかりました。いずれもマイナーチェンジ前のモデルで、アイドリングストップ機構の備わっているXは2台ありました。走行距離は1台が1.2万km、他3台は0.5万km以下と新車の香りがしそうです。車両本体価格は100万円前後で、新車時価格から30~50万円ほど値落ちしており、なかなか魅力的なプライスです。体の不自由な人を乗せやすいだけでなく、普段のお買い物や子どもの送り迎えにも普通のムーヴ同様に使える車です。一度検討してみてはいかがでしょうか。

乗車定員/4名
リフト能力/100kg(シートを除く)
シート下降時最低着座面高さ/440mm
シートの車外飛び出し量/630mm
回転時足元スペース/330mm

Text/籠島康弘

リアシートは左右別々にリクライニングが可能な上、240mmのロングスライドも備え、普通のムーヴと同様に使える

リアシートは左右別々にリクライニングが可能な上、240mmのロングスライドも備え、普通のムーヴと同様に使える

4WD車も用意される。2012年10月のマイナーチェンジ前はLに、マイナーチェンジ後はL“SA”に設定された

4WD車も用意される。2012年10月のマイナーチェンジ前はLに、マイナーチェンジ後はL“SA”に設定された