車椅子が必要な人を乗せる場合、スロープなどを使って車の後部に車椅子ごと乗員を乗せるタイプが一般的だが、この車なら見晴らしのいい助手席に座ってもらうことができる。

全長4mを切るコンパクトな初代トヨタポルテ (04年07月~12年06月)の特徴は、何と言っても助手席側に大きなスライドドアがあること。その開口部は当時のトヨタ最大のミニバンであるアルファードの2列目スライドドア開口部をしのぐほど。

この特徴を生かして助手席を専用の脱着式車椅子とし、専用装置を使って乗員をシートに座らせたまま乗降できるサイドアクセス車が用意された(Aタイプ)。Bタイプはさらにトランク部に車椅子収納装置を備えている。脱着式となる専用の車椅子は、通常の助手席シートのような形をしたものと普通の車椅子の形をしたものがあり、両方を備えることも可能だ。

どちらも降りてそのまま移動できるので車椅子への乗り替えを室内で行える。そのため雨の日などの乗降にも便利だ。また乗降自体は専用の電動装置をリモコンで操作するため介助する側も楽。

助手席シート型は、車内で車椅子を固定する手間が省けるほか、車の中ではリクライニングや座面のスライドも可能。背もたれ後ろには介護者用のハンドルも備えている。さらに一般的な車椅子と異なり「車のシート」として開発されたものをベースとしているだけにドライブ中の座り心地も良い。家族での旅行など長時間の移動も楽になる。

一方、普通の車椅子型は一般的な車椅子と形状が同じため普段使いも可能だ。いずれの場合も助手席に座るので、介助される側もドライバーや他の乗員とコミュニケーションが取りやすい。また車椅子で生活する人は、どうしても外出がおっくうになりがちだが、この車なら助手席ゆえ目の前の解放感も抜群。外の景色を存分に楽しんでもらえるはずだ。

介助する側にとっても、コンパクトサイズのこの車1台で介護から日常の買い物まで済ませることができる。ちなみにモデルチェンジ後は乗車定員数が3名に減っている。家族5人で移動したいならこちらのモデルを選ぼう。

乗車定員/5名
リフト能力/100kg(シートを除く)
シート下降時最低着座面高さ/475mm
ドア開口部/880mm
シート脱着に必要なスペース/ドアから1680mm(シート型の場合)
回転時足元スペース/340mm
シートスライド量/前100mm

Text/籠島康弘

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