5つのボディ形状をもつ、スローライフなオープンカー

これまでにない独創的なコンセプトのオープンカー。それが今回紹介するシトロエンC3プルリエルです。車名の「プルリエル」はフランス語で「複数」という意味をもつだけあって、なんと1台で5つのボディ形状に変えられるという、驚きの車なのです。

2003年3月のジュネーブモーターショーで発表されたC3プルリエルは、約2年遅れた2005年に日本に導入されました。新車時の車両本体価格は279万円で、日本仕様は1.6Lの直4DOHCエンジンを搭載。5速セミオートマチックの「センソドライブ」を組み合わせます。

C2やC3同様、社内デザイナーのドナド・ココが設計した外観は、エモーショナルでファニーなスタイリング。室内も丸を貴重としたデザインで、キュートな雰囲気にあふれています。新車時には、本国と同じ10色のボディカラーが設定されていたのも特徴です。
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さて、C3の最大の特徴は、先にも書いたとおり、1車種で5タイプもの形状に変化できるスタイルにあります。これはソフトトップのルーフと、取り外しが可能なサイドアーチの組み合わせによって変化する仕組み。
通常のクローズ状態である「サルーン」、ソフトトップをオープンにした「パノラミックサルーン」、サイドアーチだけを残してソフトトップとリアウインドウを格納した「カブリオレ」、サイドアーチも外した「スパイダー」、リアシートを倒して後部全体を荷室にした「スパイダーピックアップ」の5種類です。

この形状変更。実は結構手間がかかります。ソフトトップの開閉こそ電動ですが、トップ&リアウィンドウやサイドアーチの脱着はすべて手作業。特にサイドアーチは、軽量なアルミ製にもかかわらず、1本で12kgの重量があります。シトロエンは3分で形状変更が可能とアナウンスしていますが、慣れるまではもう少し時間がかかるでしょう。

しかもこのサイドアーチ。車内に収納できないので、外したときには、どこか置いておくスペースを確保しておかなければなりません。急に雨が降ってきても、すぐに付け直すことは叶いませんから、そのまま濡れっぱなしになるほかない。フォルクスワーゲンイオスやプジョー307CC、ルノーメガーヌグラスルーフカブリオレなど、ボタン一つで開閉できる電動ハードトップオープンに比べると、そういう意味では決して便利とはいえない車です。
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しかし、そんな手間を「1/1プラモデルみたい!」と楽しめるような「スローライフ」的考え方が、この車のオーナーには似合うのではないでしょうか。踏んでもたいした加速はせず、乗り味もそれほど面白くはない。でも、C3プルリエルはきっとそれでいいのです。飛ばしたくても飛ばせない……のは確かですが、そもそもそれほど飛ばす気にならないユルさは、フランス車らしさ、シトロエンらしさをしっかりと表現してると言えるでしょう。

ライバル車にはない長所としては、リアシートに大人がしっかりと座れるところ。4シーターオープンの中には、リアの座面が垂直に立ったような形状が多く、2+2として扱わざるを得ないモデルが多いのですが、C3プルリエルには実用的なシートが備えられています。ファミリィカーとして利用することもできるというわけなのです。

原稿執筆時点の掲載物件数はわずかに6台。価格は最安値物件が129万円です。走行距離が5万kmとはいえ、本国ではいまだバリバリの現行モデルであることを考えれば、かなりお値打ちといえるでしょう。そのほか、139.9万円で走行距離1.6万kmというお買い得物件も。もちろん、どちらも修復歴はありません。

ボディサイズは大きくないし、迫力のあるデザインでもない。でもなぜか、C3プルリエルは街中で目立つ車です。女の子ウケも良いはずですから、男性諸氏のみなさん、いかがですか? 女性なら周囲の人に、オシャレな人として見られることでしょう。気になった人は下の検索窓に「C3プルリエル」と入れて探してみてください。