ここでいうデッドストックとは文字どおりの「死蔵在庫」という意味ではなく、年式の割に極端に走行距離が少ないために新車時に近い内装などを維持している中古車のこと。強烈なタイムスリップ感覚を味わうことのできるカテゴリーだ

’79 M·BENZ 280SE
1979年式メルセデス・ベンツ 280SE(W116) 車両価格_ ¥1,780,000 走行距離_3.2万km

メルセデス・ベンツ 280SE(W116)|100万円台の「お宝輸入車」を探せ! 撮影協力: G arage ENZO 本店
30年落ちとは信じられぬ実走3.2万kmフルオリジナル!
お店に到着すると、店頭に一台のW116---メルセデス・ベンツがコストダウンという言葉と無縁だった1972年から1980年にかけて生産された初代Sクラス---が置かれていた。……正直ビミョー? と思った取材班に、お店の人が「あ、それじゃなくて別の倉庫にあるヤツですから」と声をかける。で、向かった先で出会ったのがコレ。国内の某コレクターが所有していた1979年式で、走行距離は3.2万km。だが、内装の状態は「これ、1万km台ですか?」と言いたくなるほど。各部を張り替えた結果としてキレイになった1970年代車は何台も見たことがあるが、オリジナル状態でここまでキレイな物件を見るのは初めての経験だ。このお宝は、納車整備費用コミの支払総額203.5万円で入手できる。


’90 DAIMLER DOUBLE SIX
1990年式デイムラー ダブルシックス(絶版) 車両価格_ ¥1,980,000 走行距離_2.1万km

デイムラー ダブルシックス(絶版)|100万円台の「お宝輸入車」を探せ! icon_popup.gifカタログを見る
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撮影協力: ワイエスジャパン
意外な場所に潜んでいた、完全整備済みダブルシックス
これを販売するショップは、パッと見は地味な国産車系中古車店。その一角に、この「お宝」──英国王室御用達メーカーであった「デイムラー」のブランド名でジャガー社が作った、シリーズIIIXJの最上位バージョンは眠っていた。いまだファンの多いダブルシックスだが、いかんせん良質なタマは絶滅寸前で、この物件も「ハズレで元々」というつもりで取材に行った。「しょせん国産車系の店だし……」と。だがその思いは良い方向に裏切られた。取材対応してくれた老メカニック氏は輸入車にも造詣が深い歴戦の勇者で、「オークションでひと目ボレした」というこのダブルシックスは、シフト付近のウッド割れと車内後部の天井内張りがほんの少々垂れてきた以外は、ほぼ文句なしのコンディション。鬼門とされるイグニッションコイルやエアコン関係も入荷後、ばっちり整備されている。勧められてちょいと試乗すると、エンジンは超絶スイートで、大パワーを受け止めてきたATも問題なし。「国産車系ショップ」ってことでナメててすみません。脱帽です。


’93 M·BENZ 190E
1993年式メルセデス・ベンツ 190E(絶版) 車両価格_¥1,200,000 走行距離_1.6万km

メルセデス・ベンツ 190E(絶版)|100万円台の「お宝輸入車」を探せ! icon_popup.gifカタログを見る
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撮影協力: ドイオート
まるでタイムカプセルで運ばれてきたかのような超低走行車
京都市で発掘したお宝輸入車は、メルセデス・ベンツ初となる5ナンバーサルーン、190Eの超低走行物件。最終1993年式だから今年で16年落ちになるが、驚くなかれ走行距離はわずか1万6712km! 年間平均約1000kmの奇跡の一台だ。もちろん、ただ走ってないだけではない。ガレージで大切に保管されていたことが容易にわかるコンディションで、特にインテリアの美しさは目を疑うほど。ヤレやすいブルー内装にもかかわらず、まるでタイムカプセルで1993年から運ばれてきたような状態を保っているのだ。実は取材車は修復歴があるのだが、「リアをチョコンとブツけられたのを直した程度」だそう。だからあまり意識しすぎずに、この車の凄さを見て肌で感じ取ってほしい。


’89 PORSCHE 944S2 CABRIOLET
1989年式ポルシェ 944S2カブリオレ(絶版) 車両価格_¥1,580,000 走行距離_1.9万km

ポルシェ 944S2カブリオレ(絶版)|100万円台の「お宝輸入車」を探せ! 撮影協力: A List Garage
158万円でイケるレザー眩(まぶ)しきデッドストック系ポルシェ
基本的には高年式のポルシェを中心とする東京都のA List Garageに、なぜかポツンと存在する1989年式944S2カブリオレ。944は、928に積まれたV8の片バンクを利用した直4ユニットを搭載する、1980年代の水冷FRポルシェ。「S2」というのは、944ターボを除けばシリーズ最強となる3LのNAユニット(最高出力211ps)を採用した後期型である。で、1.9万kmという走行距離に引かれて現物を同店まで見に行ったところ、これが大変な「お宝」であった。前オーナーは車を複数台所有していた人のようで、このS2カブリオレはもっぱらセカンドカーとして機能していた模様。それゆえか、通常ならば汚れが非常に目立つはずのホワイトレザーは美観を20年後の今もキープしている。また正規ディーラーでの履歴を含む整備記録簿は、量だけでなく内容も充実しており、エンジンおよび足回りは依然好調との印象。底値のボクスターを狙っている人はぜひ一度見ていただきたい逸品である。


’70 FIAT 500
1970年式フィアット 500 車両価格_ ¥900,000 走行距離_不明(レストア済みのため)

フィアット 500|100万円台の「お宝輸入車」を探せ! 撮影協力: ヤマショウ 本社OFFICE
「修復歴有り」はレストアの証
ルパン三世の愛車としておなじみのフィアット500を大阪市で発見。約40年前の車ゆえにメーターはアテにならないから、ハッキリ言って走行距離は不明。ついでに言えばレストア時にフレームにまで手を入れてるから、修復歴だって「有り」になる。だけど、この手の車でそんなことを気にするのはナンセンス。今どうなのかが大事で、その点取材車はレストアの甲斐あってとても1970年式の車とは思えないほど。オルタネーターを増設するなど現代的な改良が施してあるのもうれしいところだ。


’70 AUSTIN VANDEN PLAS PRINCESS
1970年式オースチン バンデンプラ プリンセス(絶版) 車両価格_¥1,800,000 走行距離_0.1万km

オースチン バンデンプラ プリンセス(絶版)|100万円台の「お宝輸入車」を探せ! 撮影協力: ロペライオ練馬本社ショールーム
1970年で時が止まったかのよう
元祖ミニの後継として開発された「ADO16」の最高級バージョンが、「バンプラ」ことバンデンプラ・プリンセス。普段はロールスなどに乗っていた当時の英国富裕層が、混雑激しいロンドン市内を移動するために使用した「小さな超高級車」である。そんなバンプラの「走行0.1万km」という物件を探りに行ったのだが、驚かされたのはその内装。木製ピクニックテーブルを含め、すべてが1970年で時が止まってしまったような状態なのだ。これを今、普段使いで乗ったらかなりカッコいいと思うが、どうか?


’87 ALPINE V6 TURBO
1987年式アルピーヌ V6ターボ(絶版) 車両価格_ ¥1,580,000 走行距離_2.4万km

アルピーヌ V6ターボ(絶版)|100万円台の「お宝輸入車」を探せ! 撮影協力: オートハウス京都
とても22年前の仏車とは思えないコンディション
FRPボディで塗装が弱いアルピーヌV6ターボ。それなのに取材車のフレンチブルーが美しい状態なのは、走行距離がわずか2.4万kmと少ないから……ではなくて、純正塗装を諦めオールペンしているから。同時に樹脂パーツの交換&リペアをしたようで、エクステリアのコンディションはとても22年前の仏車とは思えないほどだ。ところどころに元色の赤が見え隠れするのはご愛嬌。数十万円かかる全塗装がすでにしてあるだけでもお値打ちな中古車である。


’89 M·BENZ 560SL
1989年式メルセデス・ベンツ 560SL(R107) 車両価格_ ¥1,990,000 走行距離_6.0万km

メルセデス・ベンツ 560SL(R107)|100万円台の「お宝輸入車」を探せ! 撮影協力:BUBU MITSUOKA Premium Car&Bi ke BUBU WEST
価格から想像する以上に程度の良い最終モデル
すでにネオクラシックとして認知され、中古車の相場が徐々に上がってきているR107型SL。程度の良い物件は300万円級で、超バリ物ともなると400万円は下らない。それだけに199万円の取材車はバランス重視だなと考えながら撮影に挑んだのだが、これが想像以上のコンディションで驚かされた。特に内装は状態が良く、張り替えが多い同車では珍しくオリジナルのまま。機関類も前オーナーがかなり手を入れているので、しばらくはフツーに乗れそうだ。


’97 FIAT PANDA4×4
1997年式フィアット パンダ 4×4カントリークラブ(旧型) 車両価格_ ¥780,000 走行距離_2.8万km

フィアット パンダ 4×4カントリークラブ(旧型)|100万円台の「お宝輸入車」を探せ!
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撮影協力:シブヤオートモビル
中の上をキープする中古車は意外と少ない
「程度は中の上だね」とお宝気分が下がるようなコメントをショップからいただいた取材車だが、イタ車のちょっと古い実用車で「中の上」をキープしている車は実は非常に少ない。ガシガシ乗り倒す車だし、まだ本格的なレストアをする年式でもない。だから「上」はほぼ存在せず、実質この「中の上」はかなり高い評価なのである。内外装ともに良好だし、走行距離も少なめ。これ以上のパンダにお目にかかる機会は、なかなかないはずだ。
構成編集部、撮影=阿部昌也、カメイヒロカタ、向後一宏、桜井隆幸、大子香山(50音順)
※この記事は、インポートカーセンサー4号(2月26日発売)の特集をWEB用に再構成したものです