インディをはじめ、数々のレースで活躍するプロレーシングドライバー・ロジャー安川氏が、北米でしか販売されていない魅力的な車を日本のみなさんに紹介します。

ランエボに近いパフォーマンスを、より手頃な価格でゲットできる内容に

三菱 ランサー ラリーアート フロントスタイル|ロジャー安川の米国自動車浪漫 三菱 ランサー ラリーアート リアスタイル|ロジャー安川の米国自動車浪漫
↑日本ではギャランフォルティスとして販売されていますが、北米ではランサーの名前をそのまま使用しています。フロントグリルにラリーアートのバッジが付いている以外は、ほとんどランエボと区別がつかないほどです
2008年9月からアメリカで販売を開始した、ランエボXの弟分とも言える三菱 ランサー ラリーアートは、日本ではすでにギャランフォルティス ラリーアートとして販売されています。ランエボXに乗った時は電子制御の凄さに驚きましたが、ランサー ラリーアートもランエボに近いパフォーマンスを、より手頃な価格でゲットできる内容になっています。実際に初めて車に乗った時は、“あれっ、これはランエボ!? ”と感じたほどです。
北米版ランサー ラリーアートの外見は日本モデルとほとんど同じですが、中身に関しては多少異なる点があります。まず、日本モデルにはないオーディオとスペアタイヤが装着されています。さらに北米の厳しい安全基準に適合するため、サイド&カーテンエアバッグなども装備されています。また、リアシートの形状が一体型のベンチシートなのに対し、日本モデルでは6:4分割になっています。これらの差異によって、ランサー ラリーアートのほうがギャランフォルティス ラリーアートより車重が約40kg重くなっています。

三菱 ランサー ラリーアート オーディオ|ロジャー安川の米国自動車浪漫 三菱 ランサー ラリーアート 運転席|ロジャー安川の米国自動車浪漫
↑RECAROシート付きのスポーツパッケージを選ぶと、Rockford Fosgate製のオーディオシステムが装備されます。インテリアの質感&構造もランエボと同じ仕上がりになっています
また、エンジンの最高出力に関しては、アメリカの燃料のオクタン価が低いので3psほどは落ちています。しかし、違いを体感できるほどの差ではありません。おそらくTC-SSTのミッションのセッティングも、ランエボと同様にアメリカの道路を考慮してシフトポイントを少し変えているのでしょう。アクセルを踏み込むとランエボに比べ若干ターボラグがあるかなと感じましたが、ツインではなくシングルスクロールターボであることが原因だと思われます。
標準装備されるタイヤも北米モデルのランエボと同じで、YOKOHAMA ADVAN A10です。エボIXで採用されていたアクティブ・センター・ディフレンシャル(ACD)とオール・ホイール・コントロール(AWC)システムも標準装備され、市街地での走行であれば十分なパフォーマンンスを引き出してくれます。

三菱 ランサー ラリーアート エンジン|ロジャー安川の米国自動車浪漫 三菱 ランサー ラリーアート 走り|ロジャー安川の米国自動車浪漫
↑日本モデルと同じ4B11 MIVECシングルスクロールターボエンジンを搭載。若干のターボラグは感じるもののパワーバンドに入るとしっかり加速してくれます
2LターボのMIVECエンジンも甲高いサウンドで、これもランエボとほとんど一緒です。サーキットで走ればランエボと比較すると、確かにタイム差は出てしまいますが、毎日運転する車としては、十分満足のいく内容に仕上がっています。
TC-SSTを搭載したランエボは$38,985(約387万円)であることを考えると、ラリーアートは$27,185(約270万円)でかなりお買い得です。アメリカでランサー ラリーアートは、スバル インプレッサWRXのライバルとなります。今回はインプレッサWRXよりも確実にスポーツ性能が高いと実感したランサー ラリーアートに軍配を上げます。

主要諸元のグレード:ランサー ラリーアート 駆動方式:4WD トランスミッション:6AT(TC-SST) 全長×全幅×全高:4570mmX1760mmX1490mm ホイールベース:2635mm 車両重量:1570kg 乗車定員:5名 エンジン種類:DOHC 直列4気筒 ターボ MIVECエンジン 総排気量:2L 最高出力:237ps/6000rpm 最大トルク:35.0kg-m/3000rpm 10・15モード燃費(km/L):- ガソリン種類/容量:無鉛プレミアム/55L 車両本体価格:$27,185(約270万円)

(Tester/ロジャー安川 Photo/竹内英士)