VWゴルフが独占しているハッチバック市場に、トヨタが本気で作ったオーリスは勝てたのか?
また、欧州ではヤリスヴァーソの名前で販売されていたトヨタファンカーゴの評価は?

王者に真っ向勝負を挑むトヨタ渾身の世界戦略車

TOYOTA AURIS
トヨタ オーリス(現行)

VW GOLF
フォルクスワーゲン ゴルフ(現行)

トヨタ オーリス|世界で戦う日本車を狙え フォルクスワーゲン ゴルフ|世界で戦う日本車を狙え
国内専用車のカローラとは異なる3ナンバー専用のシャーシを採用し、スポーティな味つけの足回りはオーリスのために新設計したというほど気合の入れよう。さらに内外装のデザインはヨーロッパで行われたという。

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5ドアハッチバックの世界的なベンチマークでもあり、日本で最も知られている輸入車。FF(全輪駆動)+2BOXという画期的なパッケージングは国産車のみならず、多くの自動車メーカーに影響を与え続けている。

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欧州市場ではトヨタの人気ナンバー2モデルだ
トヨタのオーリスは、欧州で高い人気を誇る5ドアハッチバックである。最も激戦が繰り広げられているこのクラスにトヨタが本格参入したのは実は昨年のこと。このオーリスで、クラストップのシェアを誇るフォルクスワーゲンゴルフに真っ向勝負を挑んだのだ。

全幅1760mmとちょっと幅広の3ナンバーサイズボディは世界戦略車の証だ。その寸法をゴルフと比較すると、全長で15mm長く、全高で5mm低いだけ。ほぼ同じボディサイズだ。

また欧州版のカタログを見るとエンジンラインナップからもそのホンキ度がうかがえる。日本国内では1.5Lと1.8Lのガソリンの2バリエーションだが、欧州では、1.4Lと1.6Lのガソリンに加え、1.4Lと2Lそして2.2Lのディーゼルエンジンも用意。さらにボディタイプも5ドアに加え、スポーティな3ドアを設定している。

デビューイヤーの年間販売台数は15万5343台。昨年の国内販売台数は3万2343台なので、欧州では実に日本の5倍のセールスを記録していることになる。これはトヨタが欧州市場で販売した台数の約13%にあたり、ヤリス( ヴィッツ)に継ぐ2番目の記録だ。今年はさらに販売台数を伸ばしており、1~8月の累計で前年同期より2万2155台多い、11万9318台をすでに販売している。ライバルのゴルフは31万8956台と独走状態ではあるが、ミドルセダンの世界基準であるBMW3シリーズが同期間で約17万台と言えば、どれだけオーリスが売れているかがわかるはずだ。

ちなみにイギリスでの価格は1万2355ポンド(約228万円)から。ゴルフのエントリーモデルは1万2280ポンド(約227万円)だから、1万円ほどの違いしかない。しかし日本ではオーリスが162万円からなのに対し、ゴルフは最廉価モデルでも248万円。なんと86万円もの価格差がある。世界基準の本格5ドアハッチが日本ではこんなに安く手に入るのだ。さらに中古車まで視野を広げると、人気薄が影響し115万円から狙えるとあって、バリュー度はかなり高い。


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TOYOTA FUN CARGO
トヨタ ファンカーゴ(絶版)

RENAULT KANGOO
ルノー カングー(現行) 

トヨタ ファンカーゴ|世界で戦う日本車を狙え ルノー カングー|世界で戦う日本車を狙え
ハッチバックの旧型ヴィッツをベースとしたハイトワゴン。室内高は1290mmで、リアシートはフロア下にピッタリと収納できるので、背の高いモノでも楽々積むことができる。リアドアは横開き式を採用している。

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本国ではビジネスモデルとして使用されることが多いが、日本ではレジャーユースのハイトワゴンとして人気が高い。広い室内はもちろん、リアのスライドドア、荷物の積み降ろしがラクなバックドアなど使い勝手は抜群。

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年間2万台を売り続け地味に人気があったモデル
ファンカーゴも実は世界戦略車であった。ヤリス=日本名ヴィッツのマルチ・パーパス・ビークルとして、ヤリス・ヴァーソの名前で欧州市場で販売されていた。日本国内では2004年にラクティスの登場で姿を消したが、現地では昨年まで販売が続けられていた。

国内での評価同様に、やはりこのクルマの積載能力の高さは欧州各国でも高く評価されていた。また海外自動車専門誌のレビューを見ると、走りに関してもなかなか好意的なコメントが書かれている。しかしスタイリングに関しては、かなり好みが分かれてしまったようで、評価も二分されていた。コンパクトカーベースの商用バンが数多く存在する欧州では、そのイメージが強かったことが災いしたのだろう。しかも車名には、トヨタが欧州で大成功を収めた人気モデル、ヤリスの名前がつけられているため、過度な期待を生んだのかもしれない。

しかし欧州を見渡せば、ルノーのカングーなど、よく似たモデルも存在する。ヤリス・ヴァーソはそんなニッチなところを狙い、欧州では年間約2万台毎年販売していったのだ。床下にすっぽりと格納できるリアシートなど、ユーティリティに対して厳しい目をもつヨーロッパ人が認めたクルマが、日本国内ならでかなり安い価格で手に入れることができるのだ。
Report/ 河村康彦、編集部
※この記事は、カーセンサー関東版21号(10月16日発売)の特集をWEB用に再構成したものです