中古車の不思議を検証! 個性的な色や仕様の物件が生まれる背景
2022/07/08
人とは違う色、仕様に乗りたいと考える車好きは多い。フェラーリ、ランボルギーニ、ベントレー、そしてアストンマーティンなど個性的な高級車を求める車好きの中には、さらに強い個性を放つ物件を求めている人が一定数いる。そのような車をそもそもどんな人が新車で注文しているか、気になるところだ。そこで個性的な物件が生まれる背景に迫ってみたい。
ショールームに並べられる個性的なアストンマーティンたち
2022年6月号のカーセンサーEDGE「美のチカラ」で紹介したブラッシュパールのDB11。販売していたアストンマーティン横浜の他の物件をよく見てみると、他にもレアな車両ばかりが並べられている。なぜひとつの店舗にこうした車両が集まるのだろうか。「白」「黒」「シルバー」の定番色の方が売りやすい気がするのだが……。
一見不思議なこのビジネスを展開するアストンマーティン横浜のゼネラルマネージャー山本貴之氏に尋ねてみた。
まず訪れて驚くのがショールームに展示されている車両のインパクトの強さ。イリデッセントエメラルドの外装色にディープパープルとブラックという2トーンカラーの内装を組み合わせたヴァンテージに、サテンゼノングレイの外装色にレッドオキサイドの内装色を合わせたDB11などなど、店内にはいわゆる定番色の物件がない。
「弊社の最大の特色がこうした特別な車を作るためのノウハウ、そして実際に作った車を販売してきた実績です。ショールームに並んでいる展示用の新車もすべて本国にオーダーをして1台1台特注で作っているんですよ。通常の新車販売だけでなく、お客様と相談、時にはアドバイスをしながらカタログにない仕様の新車をオーダーすることも多いんです。それら唯一無二のアストンマーティンがまた弊社に戻ってきて、今度はそれが中古車として販売される。カーセンサーEDGEの誌面に出たブラッシュパールのDB11もそのパターンです。おかげさまで「特殊なアストンマーティン=横浜」というイメージを持っていただいてるお客様も多いようですね」
ただでさえレアなアストンマーティンに、さらに個性を加えるビジネスはリスクも伴う気がするのだが……。同店が在庫している中古車物件の大半はこうした特殊な車両になっているという。
「結果的に差別化を図ることにもつながりますが、 他社には真似できないオーダーセンスに自負があります。ビスポークで常に新しい仕様のデモを行なっており、弊社がショールーム展示用に作成した仕様を、到着前に購入したいとオーダーをいただくことも少なくありません」
聞けば山本氏は、ランボルギーニやマセラティといった高級車ブランドの販売店でオーダーメイドの業務を長く務めていたそうで、いわば本社との折衝や交渉のスペシャリストでもある。
「これまでも、カスタマイズメニューにはない色や模様などを本国にかけあって作ったりもしてきました。その分、納期までの時間も増えますし、予算も増えてしまいますが、お客様と相談しながら最高の1台を作るためのお手伝いをさせていただいています」
こうした車両は車好きのこだわりがギュッと詰まった、まさに至極の贅沢品と言えるだろう。見つけた人、手に入れられた人は、まさに幸せ者……と呼ぶべきではないだろうか。