トヨタ ハイエース


2014年に情報誌 カーセンサーで始まった、スチャダラパー Boseが珍車を見に行く人気連載「Bosensor」。

当時取材した珍車は販売店の売り物だったが、数年たった今“実際に購入した人”に会いに行こう! という難易度高めな企画で再スタートすることに! あの時の珍車は今誰の手に……!?

Bose

スチャダラパー

Bose

1990年にデビューし、1994年「今夜はブギー・バック」が話題となる。以来ヒップホップ最前線で、フレッシュな名曲を日夜作りつづけている。12月14日には毎年恒例となる『暮れの元気な5あいさつ(KG5)』を恵比寿リキッドルームで開催。チケット詳細は公式HPへ。愛車はフォルクスワーゲン ゴルフIIとフィアットウーノターボ

トヨタ ハイエース▲【今回の車】2017年に取材した「フレックス Renoca世田谷店」で出合ったトヨタ ハイエース のリノベーションカー。どんな人が買ったのか……!? 写真は取材当時のもの

現行型ハイエースをクラシカルにカスタム

スチャダラパーのBoseです!

自動車メーカーが大量生産する車は快適で安心。でもどうにもデザインが自分の感性とマッチしない……。こんな悩みを抱えている人は少なからずいるもの。

で、彼らはカーセンサーでヤングタイマーと呼ばれる中古車を探したりするわけだけど、やっぱり30年以上前の車だとそれなりの覚悟も必要になるのが悩みどころ。

今回、紹介するリノカ(リノベーションカー)は、現行型ハイエースをベースにアメリカンなスタイルを盛り込んだカスタムモデル。ユルイ雰囲気がいい感じだし、何より故障を心配しなくていいから助かるよね。

今回は「フレックス Renoca世田谷店」の計らいで、リノカデビューしたオーナーと対面!

湘南の海の近くに新築の家を建てて、ハイエースのリノカに乗る矢澤勝さん&義枝さんご夫妻

トヨタ ハイエース▲再開したトヨタ ハイエースのリノベーションカー。ベース車は2004年8月にフルモデルチェンジして登場した、現行型 ハイエース

店頭に並んだこのハイエースに、奥さんが一目ぼれ!

Bose 絵に描いたような幸せ家族だよね。このリノカはいつ手に入れたの?

義枝さん 2019年の6月に納車されました。

勝さん 妻の趣味はフリマに出店することです。妻がフリマの帰りにたまたま店頭に並んだこのリノカを見つけて一目ぼれしたんですよ。で、僕もお店に見に行って一発で気に入り、その場で契約しました。

Bose リノカにはランドクルーザーベースのものもあるけれど、ハイエースを選んだということは1BOXが好きだったのかな。

勝さん 初めて乗った車がフォルクスワーゲン(VW)タイプIIで、次がVW ユーロバン。その後、日産 キャラバンを2台乗り継いで、このハイエースです。目線が高い車に何十年も乗って慣れているので、他のタイプにはなかなか行けないですね。

義枝さん 最初店頭でこの車を見つけたとき、ハイエースだってわかりませんでした。でも色がすごくかわいくて、これに乗りたいと思ったんですよね。

勝さん 最初のキャラバンは水色のメタリックで、2代目のキャラバンはタイガーアイブラウン。どちらもいい色なんですが、タイプIIやユーロバンほどの満足感は味わえませんでした。リノカのデザインはすごく気に入っていて、大満足ですよ。

Bose 1BOXは室内が広くて便利だけれど、一方でどうしても商用車のイメージがぬぐえないから敬遠する人もいる。とくに白はその傾向が強い。その点、このリノカは商用車っぽさがゼロだもんね。顔が変わることで、ぐっとかわいくなった。

勝さん 家の近所で1BOXに個人で乗っている人はローダウンしてフルエアロにインチアップという人が多いです。そこにうちの車が並ぶと、「なんだこれ!?」という感じで驚いていますよ(笑)。

義枝さん 私、この車を運転していて「外車ですか?」って聞かれたことがあります。

勝さん 昔のハイエースを知っている人だと「いい感じだね、懐かしい」と言ってくれたり。

トヨタ ハイエース▲再会したリノカの縦目は1982年デビューの50系ハイエースをモチーフにしている

Bose 車の趣味は人それぞれ。中には「目立ちたくない」「人と同じのがいい」という人もいるけれど、僕は逆の考えで、せっかく高いお金を出すのだからステルス性の高いものより人と違う車を選んだ方が楽しいじゃんって思う。その意味で、リノカはすごくいい選択だよね。

勝さん エアロパーツを取り付けるのではなく、ボンネットから専用に作っているそうですから。僕はエアロパーツをいろいろ付けてバランスが悪くなったものは好きではないのですが、これは全然違和感がないのでとても気にりました。

Bose 車は大きいからカスタムでバランスを取るのが難しいからね。プロが仕上げてくれたのをチョイスすれば失敗がない。

勝さん 色もワンオフだから同じ色がありませんからね。「この色は世界に1台だけですよ」というのが営業さんの決めゼリフでした。

Bose しかもよく見ると、外側だけじゃなくてドアの内側とかも塗ってあるんだ。

勝さん それ、買うときに私も驚きました。単に上から塗ったのではなく、ドアとかを全部ばらして塗っているんだって。だからドアやボンネットを開けたときも高級感があるんです。

トヨタ ハイエース▲「見えないところも手を抜いていないので、満足度が高い」と勝さん

オシャレな家+オシャレな車。幸せすぎでしょう!

Bose リノカはかなり趣味性の高い車。やっぱり2人もアウトドアが好きだったり?

勝さん はい。私たちはキャンプやフェスが趣味で、道具にもこだわっています。このハイエースなら私が使っているノルディスクのテントに似合うと思って。残念ながら家庭の事情で今年はフェスに行けなかったので、来年は思い切り楽しみたいなと。

Bose GO OUTやFeel EARTHのノリだね。絶対に似合うよ! しかもハイエースだから大きなキャンプ道具もガンガン積めるし、最高じゃん。

義枝さん この車は私が通勤に使っています。だから乗り心地がよくなったのは助かっています。職場の人たちは車に詳しいわけではないですが、かわいいねと言ってもらえますよ。車は古くないのにレトロな雰囲気を楽しめるからいろんな人に勧めたいです。

勝さん 趣味のアウトドアでも使い倒したいですが、僕らはこの車に日常でも乗ります。だから購入したとき、リアにスタビライザーを入れてもらったんですよ。

トヨタ ハイエース▲ストライブ柄のシートがインテリアの雰囲気を高めている

Bose 知らない人のために簡単に説明すると、スタビライザーはコーナリング時のロール(車体の傾き)を抑えてくれるパーツ。やっぱり車高が高いからかなりロールは気になるもの?

勝さん 以前乗っていたユーロバンが、車高が高いのにノーマル仕様でほとんどロールしなかったんですよね。その乗り味に慣れてしまったので、キャラバンに乗り替えたときにロールがすごく嫌でした。そんな話をお店にしたら、「スタビを入れればロールも抑えられるし、ゴツゴツした乗り味も軽減されるだろう」とアドバイスをもらったんです。

Bose ハイエースをはじめ、1BOXは荷物をたくさん積むことを前提に作られているから、空荷だと逆に衝撃がくるって聞くよね。

勝さん リアが板バネなので、どうしても突き上げ感は大きくなります。

Bose お2人は車だけでなく家も新築したばかり。このサーフスタイルの家にマッチしているね。

勝さん 家から職場が近いので私は自転車で通勤していますが、仕事が終わって家に戻るとしばらく道の反対側から家と車を眺めたりします(笑)。

義枝さん 納車されて自宅の駐車場に車を止めたとき、「むっちゃ似合うわ~」と思いました(笑)。

トヨタ ハイエース▲「これだけ広いと子供なら横に寝られるよ。バックドアのポールもいろいろ使えそう」とBoseさん

Bose 僕は常々感じているんだけれど、最近は車の流行とファッションの流行が合っていなくて、チグハグになっている人が多いんだよね。それが家となると合わせるのはさらに難しいしい、とてつもなく大きな買い物だからやり直しがきかない。でもお2人は自分たちの趣味を取り入れた家を建ててもらったから、すごくマッチしているよ。でもここに突然、普通の車が止まったらしっくりこなくなるじゃん。

義枝さん それ、嫌です(笑)。

Bose その意味でも、引っ越してすぐにこの車に出合えて本当によかった。きっと多くの人がここを目指して頑張って仕事をしているわけだけれど、現実にはなかなか難しい。そして幸せな暮らしをしているから仕事も頑張れそう。これからの人生を思い切り楽しんでほしいな。

【Boseの称賛タイム】夢を実際に手に入れる。これをやってのけたことに拍手!

2年前に店頭でリノカのハイエースやランクルを見たときもおもしろさを感じたけれど、こうやって実際に買って暮らしている人に会ってみて、うらやましくなったな。

自分の気に入った家に暮らし、その家に似合う車に乗る。多くの人が憧れるけれどなかなかできるものじゃない。

それをやってのけたことに根性を感じますよ。

新築したばかりだからこれからいろいろ大変なこともあるだろうけれど、矢澤さん夫婦は自分が理想とする暮らしを手に入れて生活が楽しいから気持ちが元気になる。いい循環だね。

トヨタ ハイエース▲夢を実現した夫婦に敬意を表するBoseさん。今回の取材かなりうらやましそうだった
文/高橋満(BRIDGE MAN)、写真/篠原晃一