▲PapaMama CAR'S ▲大阪にあるPapaMama CAR'Sはシエンタをベースに、購入者の好みに合った車を制作・販売している
 

色に個性を求める女性のハートをつかんだ

「人とかぶっちゃうのが嫌だ」 普段、外見に気を使う女性ほど、車選びの際にこんな思いを抱いているのではないだろうか。

Papa Mama CAR'S代表の市口慎太朗さんは、独立前にトヨタの販売店に勤務していたときから、女性客のそんな気持ちに気づいていた。

「車の大きさや装備といった条件は満たされているけれど、見た目が差別化できないので購入に踏み切れなかったり『見た目は妥協をする』という声を聞いていました」

だから、独立したらそんな女性たちの不満を解消できるような車を販売したいと思っていたそうだ。

そんな市口さんが、ベースの車に選んだのはトヨタ シエンタだ。

「コンパクトなのに両側スライドドアの7人乗り。利便性の高さをひしひしと感じ、独立したらシエンタをメインに扱おうと決めていました」
 

▲PapaMama CAR'S▲「車を買うときに何かを妥協してほしくはない」という市口さん

パッケージは優れているが、先代のデザインはややあっさりしているし、街でもよく見かける。

そこで、購入する人が「この色の車なら乗ってみたい」という色に仕上げて販売をすることにした。

「色はデザインの中でも車の印象を大きく左右する部分。せっかく高いお金を出して車を買うのに妥協させてしまうのは申し訳ないと」
 

▲PapaMama CAR'S▲クラシカルで柔らかい雰囲気をまとったシエンタ
▲PapaMama CAR'S▲丸~い目を引き立てるアイラインメイク。ライトのまわりとグリルのフィン上部をルーフやホイールと同じ色に塗って、フロントフェイスのアクセントに
▲PapaMama CAR'S▲サイドミラーにも、足元、屋根と同色のカラーリングが施されている

市口さんがイメージするのは鞄だ。物を入れて運ぶという役割と同じくらい、デザインや色、風合いが購入の際のポイントになる。

鞄は毎日持つ物、利便性が大事だが、見た目も人と違う物を持ちたい。

一方、個性を出したいからといってデザインをやりすぎてしまうと、今度は奇抜すぎて日常使いがしづらくなる。

あくまでさりげなく、よく見れば人とはちょっと違うスタイル。そして、色でとことん遊んで個性を主張する。

そんな車を提供するPapa Mama CAR'Sは、これまでカスタムに目を向けなかった人からも支持されるようになった。

「今、お客さまの約8割は女性です。シエンタの性格から小さなお子様がいるファミリー層も多いのですが、色はご主人ではなく奥様が決めるというケースが圧倒的に多いですね。みなさん、鞄やアクセサリーを選ぶ感覚で長く愛せる車の色選びを楽しんでいます」
 

▲PapaMama CAR'S▲ボディは自社工場で全塗装をし直している

個性車なら納車までの時間も楽しみに変わる

Papa Mama CAR'Sでは、オリーブグレーやシダーグリーンなどお店がオススメする色に塗装した中古車を店頭に並べている。

しかし「こんな色に乗りたい!」と、色選びからスタートするお客さんの方が多いという。

カスタムや全塗装というと、一部の車マニアが楽しむものというイメージがあるかもしれない。

しかし、今では「車も自分の好みに合った色のものがいい」と、ファッション的な感覚で楽しむ人が増えているという。

「色を塗る部分などはパッケージになっているので、すべてをお店に任せてもらってOKです。カスタムという言葉に不安を感じる人も希にいますが、駆動系は一切改造しません」

しかもベースとなる車は古くても10年前後前の年式で、まだまだ安心して乗れる。

だからこそ多くの“普通の人”が、難しく考えずに、カスタムカーへ最初の一歩を踏み出せたのだ。

「色づくりからスタートする際は、塗る前にカラーサンプルを数種類つくってお客さまにお渡ししています。その際『家の中だけでなく、朝日や夕方、夜などいろいろな光の中で見てください』と話します。車の色は光が変わるとイメージも変わりますからね」

色を一からつくっていくので、納車までには数ヵ月かかることも。その間、お客さんはカラーサンプルを見ながらいろいろなイメージを膨らませているはずだ。
 

▲PapaMama CAR'S▲何種類もの色を調合し購入車が思い描く色に近づける

だからこそ納車は、「待ち焦がれた子がやっとうちにやってきた」という気分になるのだろう。

そしてこのスタイルは、当初考えてもいなかった点でも好評を得ている。

「お客さまの好みの色で全塗装やシートカバーの装着をするので、キズなどがない状態で納車できます。遠方にお住まいで納車までに実車を見られないお客さまからもご好評をいただいています」

新車と同じくらいの価格で、新車とは全く違う満足感を得られる新たな中古車。しかも店任せだから面倒がない。

シエンタで気軽に個性を主張してみる、カーライフも楽しそうだ。

現在発売中のカーセンサー11月号では、PapaMama CAR'Sのように、”個性が出せてかつフツーに乗れる車”を特集している。

自分の趣向に合った車を手に入れたオーナーや、人とかぶらない車を制作・販売するお店も多数掲載。

あなたにピッタリはまる“個性車”を、ぜひ誌面でチェックしてみてほしい。

▲PapaMama CAR'S▲ベージュをベースにしたデザインはアメリカな雰囲気を感じさせる
▲PapaMama CAR'S▲シエンタの他にもトヨタ プロボックスなどを同様のコンセプトで制作している
文/高橋 満(BRIDGE MAN)、写真/稲葉 真

高橋 満(たかはしみつる)

インタビュアー

高橋 満(たかはしみつる)

求人誌編集部、カーセンサー編集部を経てエディター/ライターとして1999年に独立。独立後は自動車の他、 音楽、アウトドアなどをテーマに執筆。得意としているのは人物インタビュー。著名人から一般の方まで、 心の中に深く潜り込んでその人自身も気づいていなかった本音を引き出すことを心がけている。 愛車はフィアット500C by DIESEL