▲ラジエターグリルにメッキ仕上げの横バーが並ぶ次期ヤリスのフロントマスク。バンパー両端にはL字型のガーニッシュが配されフォグランプが埋め込まれる。エンジンは全機種3気筒に統一される見通しだ ▲ラジエターグリルにメッキ仕上げの横バーが並ぶ次期ヤリスのフロントマスク。バンパー両端にはL字型のガーニッシュが配されフォグランプが埋め込まれる。エンジンは全機種3気筒に統一される見通しだ

世界で知られた名前に日本国内も改称

コンパクトカー用のTNGAプラットフォーム完成を待って登場するヴィッツの後継車ヤリスには、新しいパワートレインや世界市場を見据えて国内外で差別化されるボディ寸法など、見逃せない話題が盛りだくさんだ。

18年のブランクを経て、2017年にWRCラリーのフィールドに帰ってきたトヨタは、Bセグメント2BOXのヤリス(日本名ヴィッツ)で参戦している。よほど下準備が念入りに行われていたのかデビュー戦で表彰台に上がり、第2戦で早々に優勝してカムバックを印象づけた。

ラリーで健闘しているこのイメージを市販車に結びつけて販売増を図りたいトヨタは、次のモデルチェンジで、ヴィッツの名称を引っ込めて、国内でもヤリスのネーミングを起用する。全世界で名称を統一すれば、プロモーションが行いやすくなることは想像に難くない。

すべてのエンジンを3気筒にリニューアル

4代目にして国内でもヤリスを名乗る次期型だが、2020年2月の発売をめざして開発が進められている。2010年にデビューした現行3代目は、都合10年のモデルライフを送る計算になる。

これはTNGA世代の新しいシャシーが、完成するのを待って起用されるため。ボディ前後がマイナーチェンジで2回も手直しされてきたのは、まさに延命を図って真新しさを演出するためにほかならない。

TNGAプラットフォームの実用化に合わせ、搭載エンジンも一新される。国内向けには1L、1.3L、1.5Lをラインナップ。また、モデルライフ途中に追加された、1.5Lハイブリッドも継続設定される。ただし、見逃せないのはこれらすべてのエンジンが3気筒化されることだ。
 

▲海外専売だったハイブリッドが追加設定された2回目のマイチェンモデル。ヘッドランプやバンパーなどのフロントフェイスはもちろん、後ろ姿も大幅刷新されている ▲海外専売だったハイブリッドが追加設定された2回目のマイチェンモデル。ヘッドランプやバンパーなどのフロントフェイスはもちろん、後ろ姿も大幅刷新されている

フェンダーを作り分けて、海外向けはワイドボディ化

こうしたメカニズムを覆うボディには、低重心に見えるアンダープライオリティ思想が踏襲され、視線を下方に導く大型エアインテークがフロントマスクに配される。その表情は冒頭のイラストに示したとおりだが、フォード フィエスタに似ていることにスクープ班は気がついた。

日本での正規販売が打ち切られて、親近感が薄れてしまった同社だが、最新モデルには端正なイメージをもたらすメッキ仕上げの細いルーバーが並んだグリルが起用されている。

▲2017年秋にヨーロッパで発表された最新型のフォード フィエスタ。輪郭こそ違えど、次期ヤリスはそれに似たメッキグリルが用いられている。ヤリス同様、WRCラリーで活躍中 ▲2017年秋にヨーロッパで発表された最新型のフォード フィエスタ。輪郭こそ違えど、次期ヤリスはそれに似たメッキグリルが用いられている。ヤリス同様、WRCラリーで活躍中

フロントフェイスはともかく、ボディサイドが肝になりそうだ。フロントドアは国内外で同じだが、前後フェンダー(とリアドアもか?)は仕向地によって異なる見通しだ。というのも、国内では全幅を1700mm未満に抑えて、5ナンバー幅を死守することが必須条件だからだ。

かたや海外では、スタンスの良さと走行安定性を高めるため、ワイドトレッド化が優先されるので、全幅は数十mm広げられ1700mm台前半に突入する。国内外でボディを作り分ける方式は、スズキが現行スイフトで実践しており、トヨタもこれにならうわけだ。

トヨタの場合は生産拠点も振り分け、3ナンバー幅の海外仕様はフランスで組み立てる。ヴィッツのネーミングに幕を下ろす暗示も兼ねて、次期ヤリスは早ければ2019年秋の東京モーターショーで先行披露されるかもしれない。

※2018年5月27日現在における新型車の発表についての予測記事です。発表を保証するものではありません

【SPECIFICATIONS】
■予想発表時期:2020年2月
■全長×全幅×全高:3950×1695から1735×1480(mm)
■搭載エンジン:1.3L 直3 他

text/マガジンX編集部
photo/マガジンX編集部、トヨタ、フォード