この車に乗るなら……という視点で人気車が持つ魅力に注目するカーセンサー(雑誌)の連載。今回は日産 ノートe-POWERをクローズアップ!

▲2代目となる現行型ノートは2012年9月に登場した日産のコンパクトハッチバック。ノートe-POWERは、昨年11月に追加設定された新グレードだ。今回登場する「X」はe-POWERの中の標準的なグレードで、ノートの中でも最も人気がある(2017年4月末時点)。より安価な「S」や、上質な装備がプラスされた「メダリスト」も用意される▲2代目となる現行型ノートは2012年9月に登場した日産のコンパクトハッチバック。ノートe-POWERは、昨年11月に追加設定された新グレードだ。今回登場する「X」はe-POWERの中の標準的なグレードで、ノートの中でも最も人気がある(2017年4月末時点)。より安価な「S」や、上質な装備がプラスされた「メダリスト」も用意される

電気モーター駆動なのに、プラグ差し込み口がない……!?

小さい頃から新しいモノ好きで、PCもスマホもゲーム機も、新機種が出ると気になってしかたがない。自動車もそう。日産 リーフが登場した際、量産車初の電気自動車が気になって気になって何度も試乗した。価格的にも買えないわけではない。しかし、集合住宅のため自宅で充電ができず、買えないでいる。セールス氏は自宅充電は必須ではないと背中を押してくれるのだが、イマイチ踏み切れないでいる。

全国に多数いるであろう、そうしたリーフに“踏み切れない”人たちに、日産はある日「じゃこれならどうですか?」とノートe-POWERを提案してきた。電気モーターで駆動するから挙動や乗り味は電気自動車そのもの。けれど外部から充電する必要はなく、ガソリンを入れればエンジンが発電し、その電力でモーターが駆動する。乗った印象はまさに電気自動車そのもの。発進とともに最大トルクを発揮するため、少し踏んだだけでぐいっと前へ進む。また強い回生ブレーキが得られるので、アクセルペダルのオンオフ加減だけでスピードをコントロールできる。このワンペダルドライビングが新感覚で、走らせて楽しい。まさに集合住宅民の電気自動車じゃないか!

▲高速のサービスエリアの充電区画にノートe-POWERを止め、プラグの差し込み口を探すも見当たらない……そういえばこの車は充電のいらない電気自動車だったんだ! というややわざとらしいカット。あるのはこれまでのノートと同じように給油口のみ。ガソリンでエンジンを動かして発電し、その電力で電気モーターを動かして駆動するのがこの車の仕組み ▲高速のサービスエリアの充電区画にノートe-POWERを止め、プラグの差し込み口を探すも見当たらない……そういえばこの車は充電のいらない電気自動車だったんだ! というややわざとらしいカット。あるのはこれまでのノートと同じように給油口のみ。ガソリンでエンジンを動かして発電し、その電力で電気モーターを動かして駆動するのがこの車の仕組み

大きなバッテリーがないから、車内空間は損なわれない

走行中、ドライバーの意思とは直接リンクしないかたちで時折エンジンがかかる。これは車が自動的に効率よく発電しているのだ。乗り始めて数分は戸惑うが、すぐに慣れる。エンジンがかかる条件はいろいろあるが、例えば40㎞/h以上で走らせたり、寒くてヒーターを作動させたり、54ps以上の高負荷をかけたりするとかかりやすい。大きなバッテリーを搭載すればこんなにしばしばエンジンをかけて発電する必要はないのだろうが、大容量バッテリーを積むとコストがかさみ価格に反映されてしまうし、車両重量も増える。そうなると他のハイブリッド車と変わらない。

大容量バッテリーを積まないため、荷室や後席への影響も最小限。普通のノートよりもやや荷室フロア高が高い程度だ。

パワートレインのクオリティが一気に上がったゆえに、コーナーでやや車体がふらつくのが目立つようになった気がする。ボディや足回りのチューニングがもう少し煮詰まれば、もっともっと楽しい車に仕上がるはずだ。

▲必要に応じてそのつど発電するため、バッテリー容量は必要最小限で済み、価格を抑えられる。減速エネルギーを回生する他、エンジンも効率のよい領域しか使わないため燃費もよい ▲必要に応じてそのつど発電するため、バッテリー容量は必要最小限で済み、価格を抑えられる。減速エネルギーを回生する他、エンジンも効率のよい領域しか使わないため燃費もよい
▲グリルのVモーションの内側に青いアクセントがあしらわれるのがe-POWERの特徴 ▲グリルのVモーションの内側に青いアクセントがあしらわれるのがe-POWERの特徴
▲e-POWERは大きな駆動用バッテリーが不要のため、荷室も後席もほとんどスペースは失われていない ▲e-POWERは大きな駆動用バッテリーが不要のため、荷室も後席もほとんどスペースは失われていない


【解説した人】塩見智
1972年、岡山県生まれ。自動車雑誌編集部を経てフリーランスの自動車ライターへ。パワフルだったりスタイリッシュだったりするよりも、キャディバッグが入る車を評価する。

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日産 ノート(現行型)×e-POWERグレード
text/塩見智
photo/篠原晃一