▲EV専用コンポーネントが搭載されるトヨタのピュアEV。2017年の東京モーターショーで公開される予定だ。2020年のオリンピックで公道デビューするときは、イラストのような姿で登場するだろう ▲EV専用コンポーネントが搭載されるトヨタのピュアEV。2017年の東京モーターショーで公開される予定だ。2020年のオリンピックで公道デビューするときは、イラストのような姿で登場するだろう

トヨタ社内での愛称は、愛Car

現行プリウスの発売から1年が経過した2016年12月、トヨタはEV事業企画室を立ち上げて、プリウスのチーフエンジニアを移籍させた。ここで生み出されようとしている車が、トヨタ社内では愛Carと呼ばれているモデルだ。

このEV事業企画室は社内ベンチャーとして扱われ、トヨタの他に豊田自動織機、アイシン精機、デンソーから各1名が参画。計4名で構成されている。ハイブリッドカー分野でトップを走り、将来を見据えたビジョンとしてFCV(燃料電池車)を究極のエコカーに据え、開発を進めているトヨタが、なぜEVなのか。

これは、世界企業ならではの決断だ。国によっては、水素ステーションなどのインフラ整備が進まないまま、ゼロエミッション車の普及に向けて規制強化が図られるケースもあり、トヨタとしてもピュアEVの開発&投入が、避けられない状況になりつつある。

こうした背景もあって、「やはりEVは必要だ」との判断が下されたわけだ。

▲愛Carには、プリウスから実用化されているTNGA Cプラットフォームが用いられる。駆動用バッテリーが搭載されるのに伴い、室内フロアとヒップポイントは、プリウスよりも高めに設定されるようだ ▲愛Carには、プリウスから実用化されているTNGA Cプラットフォームが用いられる。駆動用バッテリーが搭載されるのに伴い、室内フロアとヒップポイントは、プリウスよりも高めに設定されるようだ

TNGA-Cプラットフォームがベース

愛Carのベースには、2017年1月のCES(コンシューマーエレクトロニックショー)に出展された、「コンセプト-愛i」が起用される。同社はAI(人工知能)搭載のスタディモデルとして、ドライバーの感情や嗜好に合わせて、関心のありそうな話題を提供するなど、車とドライバーのコミュニケーションに重点が置かれていた。市販化に合わせて、トーンダウンされるものの、その技術は開発中のEVにも用いられるだろう。

愛Carのシャシーには、プリウスと同じTNGA-Cプラットフォームが採用される。他社のEV同様、駆動用のリチウムイオン電池は床下に敷き詰められて、パッケージングへの影響は最小限に抑えられる。低重心化による、副次的な恩恵も同様にもたらされるだろう。

愛Carは、2020年に東京で開催される、オリンピック&パラリンピックで公道デビューを果たす。トヨタとしては、オフィシャルカーの座をも視野に入れて、開発しているのかもしれない。市場に登場するのはまだ先の話だが、直近の話題としては、2017年の東京モーターショーで参考出品されるとの噂だ。

もちろん、冒頭で述べたように、ゼロエミッション規制が施行される国や地域をターゲットに、市販車としてリリースされる予定だ。同じ日系EVの先駆車として、先を行く日産 リーフに追いつけ、追い越せ!の思いを胸に、開発陣の長い戦いは始まっている。

▲トヨタのEVの歴史を語るうえで欠かせないモデルが、2012年末に限定100台が発売されたeQだ。iQを流用して開発されたシティコミューターEVで、一充電あたりの走行距離はJC08モードで100km。価格は360万円だった ▲トヨタのEVの歴史を語るうえで欠かせないモデルが、2012年末に限定100台が発売されたeQだ。iQを流用して開発されたシティコミューターEVで、一充電あたりの走行距離はJC08モードで100km。価格は360万円だった
▲写真のトヨタ RAV4 EVは、トヨタとテスラのコラボにより、作り出された北米専売EV。一充電あたりの走行距離は約150km。発売から約1年半で生産&販売は終わった ▲写真のトヨタ RAV4 EVは、トヨタとテスラのコラボにより、作り出された北米専売EV。一充電あたりの走行距離は約150km。発売から約1年半で生産&販売は終わった


※2017年3月28日現在における新型車の発表についての予測記事です。発表を保証するものではありません

【SPECIFICATIONS】
■予想発表時期:2020年
■全長×全幅×全高:4450×1800×1450(mm)
■搭載エンジン:電気モーター

text&photo/マガジンX編集部