▲大ヒットモデルが生まれるとライバルモデルの中古車相場も大きく動きます。2016年末に登場したトヨタ C-HRも、日産 ジュークをはじめとするコンパクトSUVの相場に影響を与えていました! ▲大ヒットモデルが生まれるとライバルモデルの中古車相場も大きく動きます。2016年末に登場したトヨタ C-HRも、日産 ジュークをはじめとするコンパクトSUVの相場に影響を与えていました!

超注目モデルが新車で登場すると、ライバル車の中古車相場が下がる理由

新車と違い、中古車には“定価”がありません。すべての中古車の車両本体価格は、車を欲しいと思っている人の数(需要)と店頭に並ぶ中古車の数(供給)のバランス=相場をベースに決められています。

その車を買いたいと思う人が増えると中古車の数が少なくなるため相場が上がり、反対に人々の気持ちがその車を買いたいというところから離れると売れなくなる分、お店は少し値段を下げてでも売りたいと思い相場が下がります。今、“思う”という表現を使いましたが、まさに相場とは人々の“気持ち”に左右されるもの。これは株式相場や円相場も同じです。

相場が気持ちに左右されるなら、多くの人の目がその車から離れている隙をつくことで中古車を安く買えるはず。投資の世界で言うところの“逆張り”はどのようなタイミングでできるのでしょう?

代表的なタイミングが、新車で圧倒的な人気モデル・注目モデルが登場したりフルモデルチェンジしたとき。人々の注目がその車に集中し、中古車を探していた人も「どんな車だろう?」「中古車を買うつもりだったけれど新車にするのも悪くなさそう」「実車を見てからどちらを選ぶか決めよう」など意識がそちらに向くため、ライバルモデルの中古車の動きが鈍ります。するとお店は値段を下げてでも注目度を高めようとします。ここが絶好の逆張りタイミングになるのです。

トヨタ C-HRの影響で人気コンパクトSUVの相場が軒並み下落!

▲デビュー1ヵ月後にメーカーから発表された受注状況は、事前受注も含めて約4万8000台! この勢いは当分続きそうです ▲デビュー1ヵ月後にメーカーから発表された受注状況は、事前受注も含めて約4万8000台! この勢いは当分続きそうです


圧倒的な人気モデルの登場による逆張りタイミング。まさにその波が押し寄せているカテゴリーがあります。そう。トヨタ C-HRが昨年末に登場したことで沸き立つ国産コンパクトSUVです。

発売前から大きな話題となり、発売1ヵ月後の受注状況は月販目標台数の8倍となる約4万8000台! 1月末に注文してもハイブリッドモデルは早くて4月下旬の納車、グレードやオプション次第ではそれ以上かかるといいます(トヨタ公式HPより)。

これだけC-HRに注目が集まると中古車のライバルモデルはたまったものじゃありません。もともと中古車は新車より安く買えることが大きな魅力ですが、C-HRに向いた人々の意識を自分たちに戻すため、年明けから軒並み中古車相場が下がっています。

2ドアクーペのようなスタイリッシュさが与えられつつもSUVならではの迫力も持ち合わせたデザイン。ハイブリッドシステムを搭載し30.2km/L(JC08モード)という圧倒的な低燃費を実現(ガソリン車は15.4km/L)。C-HRの魅力を語ればキリがないですが、ライバルモデルだって負けていませんよ!

日産 ジューク~1ヵ月で10万円近く値を下げたNISMO RS

▲足回りに定評のあるジュークにNISMOの技術を注ぎこんだジュークNISMO RSが大きく値を下げています ▲足回りに定評のあるジュークにNISMOの技術を注ぎこんだジュークNISMO RSが大きく値を下げています


ジュークの魅力はなんといってもデザイン。バンパーに埋め込まれたヘッドライトとボンネット上に置かれたポジションランプ&ウインカー、バイクのタンクをモチーフにしたセンターコンソールなどの特徴的なデザインは、デビューから7年近く経っているのにいまだ鮮度が落ちていません。

そしてジュークのもうひとつの魅力は足回りのよさです。フロントサスペンションにサブフレームを設けて剛性をアップ。車高が高いモデルでも思いどおりのラインをスムーズに走れる運動性能が与えられました。さらに4WDは旋回時に外側の後輪に大きな駆動力を配分して鋭いコーナリングを実現する“トルクベクトル付きオールモード4×4-i”を採用しています。

デビューから時間が経ち、2014年6月までの前期型の中古車は車両本体価格150万円が中心になりました。100万円以下のものを見つけるのも難しくありません!

その中で今回注目してもらいたいのはジュークNISMOです。エアロパーツをはじめ多くの専用部品が奢られ、ノーマルよりもパワーアップしたエンジンが搭載されるジュークNISMOは、市街地や高速道路、ワインディングなどあらゆる道でしなやかな乗り味を実現しています。そんなスペシャルモデルも昨年12月頃から値下がり基調に。なかでも2014年11月に登場したジュークNISMO RSは1ヵ月前の12月中旬から一気に10万円近く値下がりし、平均価格が約240万円になりました。今が狙い目ですよ!

ホンダ ヴェゼル~高年式のハイブリッドモデルが大幅値落ち

▲ヴェゼルで値を下げているのはハイブリッドモデル。2WDと4WDを選べるのが特徴です ▲ヴェゼルで値を下げているのはハイブリッドモデル。2WDと4WDを選べるのが特徴です


ホンダが得意とするセンタータンクレイアウトを採用し、コンパクトSUVとは思えない居住空間の広さを実現しているのがヴェゼル。とくに身長185cmの人がゆったり座れることを基準に設計したといわれるリアシートは、ライバルの追随を許しません。

さらにヴェゼルはC-HRと同じようにミッションがCVTになるガソリンエンジンモデルとツインクラッチ式7ATのハイブリッドモデルをラインナップしているのが特徴です。しかもC-HRはハイブリッドが2WDのみ、ガソリンエンジンモデルは4WDのみの展開ですが、ヴェゼルはどちらも2WDと4WDが用意されています。

2014年、2015年、2016年と新車販売台数がSUVナンバー1だったヴェゼル。新車が多く流通し、ちょうどデビューから3年が経ったこともあり、中古車の数も豊富にあります。

車両本体価格200万円以下の中古車も増えてきていますが、C-HRと比較検討している人に注目してほしいのは2016年式のハイブリッドモデル。11月にディーラーの試乗車などが一気に放出されたことにC-HRの登場が重なり、平均価格が一気に30万円近く下がって約222万円になっています。反対にガソリンモデルはやや値上がり基調に。お得な高年式低走行車を探すならハイブリッドモデル一択です!

マツダ CX-3~2015年式の2WDが狙い目

▲ディーゼルエンジンにはファンが多いためCX-3の相場は下がりにくくなっています。それでもお得なグレードを発見! ▲ディーゼルエンジンにはファンが多いためCX-3の相場は下がりにくくなっています。それでもお得なグレードを発見!


全グレード1.5Lのクリーンディーゼルエンジンを搭載するCX-3。このエンジンは最高出力こそ77kW(105ps)と控えめながら、270N・m(27.5kg-m)と3L近いガソリンエンジン並みの最大トルクを発生。これにより排気量からは想像できないほどの加速力を体感できます。一方で燃費も2WDのAT車で23.0km/Lと低燃費を実現しています。

「ディーゼルエンジンはうるさい」という印象がある人もいると思いますが、それは一昔前の話。マツダのスカイアクティブディーゼルエンジンはかなり静かで、ディーゼル特有の“カラカラカラ……”という音はほとんど気になりません。さらにマツダのディーゼルエンジンにはカラカラカラ……という音を抑制する“ナチュラルサウンドスムーザー”という技術が搭載されています。これによりディーゼル特有の音は驚くほど減っているのです。このナチュラルサウンドスムーザーはデビュー時こそ一部グレードでオプション設定でしたが、2015年12月の一部改良で全グレード標準装備になっています。

CX-3は他の2モデルに比べて流通量が少なく、また全グレードディーゼルエンジンということでかなり人気があり、値落ちがなかなか進んでいません。それでも年明けからは値下がりの兆しが見えています。注目は2015年式のXDツーリング(2WD)。流通量が多い分、年末から1月中旬にかけて平均価格が5万円ほど下がり約232万円になっています。

C-HRのような話題のモデルがデビューしたらライバルモデルに注目を


今回は昨年末にデビューしたC-HRからライバルモデルの相場動向をチェックしましたが、同じような現象は人気モデルが登場するたびに起こっていると言っても過言ではありません。2016年はセレナのモデルチェンジでヴォクシーやステップワゴンの中古車相場が下がりました。

2017年は東京モーターショーが開催される年ということもあり、各社が魅力あるモデルを登場させるはず。そのときは、ライバルモデルにも注目してみましょう。お得な中古車が見つかるかもしれませんよ。

text/高橋 満(BRIDGE MAN)
photo/トヨタ、日産、ホンダ、マツダ