▲若い頃と中年期以降では「似合うモノ」の種類が変わる。もしもあなたが「若い頃好きだったモノが最近は似合わなくなってきたなぁ……」と感じているなら、このボルボ V60に注目すべきかも ▲若い頃と中年期以降では「似合うモノ」の種類が変わる。もしもあなたが「若い頃好きだったモノが最近は似合わなくなってきたなぁ……」と感じているなら、このボルボ V60に注目すべきかも

四十男に似合う衣服とは、そして車とは?

輸入中古車評論家を自称するわたしだが、自慢じゃないがカネはない。いや日々の食事に困窮するほど貧乏しているわけではないが、「テレビ本体は一番コスパが良い32インチで十分。47インチの大画面とか、ましてや4Kとかは不要!」と心に決めながら、ニッポンの中流ど真ん中を生きている。

そんな感じの筆者ゆえ、普段の上着はアディダスのジャージであり、乗ってる車はおおむね100万円前後で購入した中古の輸入車だ。それで何の不満も不便もないし、むしろ「逆にファッショナブルだろ!」ぐらいに思っていた。しかし最近、そういったチープシック路線に限界を感じ始めている。

なぜならば、そういった「安いモノ」が加齢により似合わなくなってきたからだ。

若い頃は、変に高級なモノをまとうより、安手の(でも悪くないセンスの)モノを身に着けていた方が何となく似合うものだ。しかし40代も後半となった今のわたしがそういったモノを身に着けると、「チープシックを楽しんでるお兄さん」ではなく「みじめなおっさん」に見えてしまうのだ。面と向かってそう指摘する者はいないが、鏡を見ればわかる。わたしはみじめなおっさんである。

「……これはマズい、変えねばならない」と思った。自慢じゃないがカネはないが、人々から憐れみの視線を受けるほど困窮しているわけではないのだから、まずは擦り切れたアディダスのジャージを脱ぎ捨てよう。そして今後はよくわからないがビームスとかの、まあまあこじゃれたジャケットを羽織ることにしよう。

▲若い頃から着慣れているジャージを卒業し、小ぎれいなジャケット姿になる必要が出てきた筆者 ▲若い頃から着慣れているジャージを卒業し、小ぎれいなジャケット姿になる必要が出てきた筆者

そして車も、年齢相応な何かに替える必要がある。

40代後半という年齢にふさわしい高級感とサイズ感があり、それに見合った「ブランド力」みたいなものが世間に浸透していて、それでいてチャラくない何か……がいいだろう。メルセデスやBMW、アウディはできれば避けたい。いや、それらがチャラいわけでは決してないが、なんとなく超メジャーブランドは避けた方が、より「わかってるオトナ」っぽいと個人的には思うのだ。

そしてここが一番重要だが、ある程度安価な予算で入手できるものでなくてはならない。これまでのように「100万円」とは言わないが、せいぜい「199万円以下」ぐらいで抑えたいものだ。なぜならば、自慢じゃないがカネはないからだ。

だが、そんな虫のいい選択肢=高くないのに高級感とサイズ感と知名度がある選択肢って、世の中に存在しているのだろうか? ……実は存在している。ボルボ V60の前期型だ。

▲ボルボ V60の中古車こそ、お手頃なのに格式感もある、中年男には最適な選択か? ▲ボルボ V60の中古車こそ、お手頃なのに格式感もある、中年男には最適な選択か?

最新世代の方が実力は当然上だが、前期型も決して悪くない

今さら説明するまでもないだろうが、ボルボ V60は11年6月に登場したボルボのミドルサイズワゴン。ステーションワゴンではあるがクーペを思わせる流麗なフォルムが特徴で、その走りも、それまでのボルボ=質実剛健(悪く言えば鈍重)というイメージを大きく裏切るスポーティで俊敏なものだ。ボディサイズは現行BMW 3シリーズツーリングと似たような数字である(全長はV60の方がわずかに短いが、全幅と全高はV60の方が少々デカい)。

そして今、それの13年7月までの前期型が結構な安値水準まで落ちてきており、新車価格おおむね395万円~だったものが、中古車市場では車両価格100万円台後半で狙えるようになってきているのだ。走行距離多めの個体であれば100万円台半ばでイケるが、まぁわたしとしては5万km以下を目安に狙いたい。それでも十分100万円台だ。

▲シンプルビューティであると同時に温かみも感じられるという、いわゆる北欧テイスト全開なボルボ V60前期型のインテリア ▲シンプルビューティであると同時に温かみも感じられるという、いわゆる北欧テイスト全開なボルボ V60前期型のインテリア

もちろん、世の中安いモノには理由があるわけで、V60前期型が安いのにも3つの理由がある。一つは、13年8月に行われたビッグマイナーチェンジ。これにより、良く言えば個性的な、悪く言えば変顔だった顔つきはフツーにシュッとしたものに変わった。それゆえ前期型は安いわけだが、筆者個人としてはフツーにシュッとしているよりも、ちょっとぐらい変顔な車の方がより深く愛せる気がしている。まぁこのあたりは人それぞれだが、少なくともわたしはそう思う。

もう一つの理由は、年を追うごとに充実していった安全装備レベルだ。アクティブセーフティに関してはもともとかなり優秀だったV60だが、それは年々「さらにすごいことに!」という感じで進化していき、前期型の商品価値は相対的に低下していった。それゆえの安さということであり、最新世代の「インテリセーフ標準装備!」を選ぶに越したことはないのは確かだが、なに、前期V60のアクティブセーフティだってかなりのものだよ。足りない部分は注意力と精神力で何とかする所存だ。

第三の理由はパワートレインの変更である。V60は2014年モデルから「Drive-E」と称する新世代のパワートレインとなり、2015年にはいわゆるクリーンディーゼルエンジンも導入された。動力性能と燃費性能の両立という点に関しては、当然ながら中古車は最新世代にかなうはずがない。しかし前期パワートレインが悪いというわけでは決してなく、新車と中古車の200万円以上という価格差を考えれば十分許容範囲というか、むしろ個人的には中古前期の方を積極的に選びたいとすら思う。

▲こちらが13年8月からの後期フェイス。このフツーにシュッとしてる感じも当然ステキではあるが ▲こちらが13年8月からの後期フェイス。このフツーにシュッとしてる感じも当然ステキではあるが

以上のとおり非常に高コスパな選択肢であり、先述のとおりクーペライクな流麗フォルムであり、内装デザインもスカンジナビア半島のアレを感じさせるステキさがあり、これは指摘している人が少ないような気がするが、シートの出来も非常に秀逸であり、「ボルボ!」という問答無用のブランド的存在感もある。で、それが車両価格100万円台。……40代後半の「自慢じゃないがカネはないが、別に困窮しているわけでもない」男としてはイクしかないと思っているのだが、どうだろうか。

▲筆者が不勉強なだけかもしれないが、ボルボ V60のフロントシートの出来の良さを絶賛している記事をあまり見たことがない。いやコレは往年のフランス車のシートに勝るとも劣らぬ絶品ですよ! ▲筆者が不勉強なだけかもしれないが、ボルボ V60のフロントシートの出来の良さを絶賛している記事をあまり見たことがない。いやコレは往年のフランス車のシートに勝るとも劣らぬ絶品ですよ!
text/伊達軍曹
photo/ボルボ