希少なコンパクトサイズのクーペは乗り心地のいいスポーツカー

BMW135iクーペの試乗会へ行ってきました。
びっくりしました。いや、乗り心地が良くて。BMWのエントリーモデルである1シリーズに、待望のクーペがラインナップされたわけですが、なにしろ3Lツインターボという大排気量エンジンを搭載する1グレードのみ。かつBMWのスポーツライン、Mスポーツの18インチアルミホイールや専用サスペンションなどを標準装備するモデルです。正直、以前の320iMスポーツに乗ったときの思い出が蘇り、きっとこの135iクーペも乗り心地が硬いに違いない…と思っていたのです。

それが、乗ってみたら「あれ?」なのです。すごくしなやか。ホントにMスポ? ランフラットタイヤ? 以前乗った320i Mスポーツより乗り心地がいいのです。このコンパクトなボディで間違いなくドイツ車の、いやまさに3や5に通じるBMWらしいしなやかさ。西湘バイパスへ繰り出しても、段差をタンタンタンタン…っといなしていく。オプションのアクティブ・ステアリングはなくとも意のままに車が動く、BMWらしい切れのいいステアリング。峠道を走らずとも「駆け抜ける歓び」の片鱗がうかがえました。

1シリーズのハッチバックと比べて全長+130mm、全幅は同じで、全高-20mmとなる全長4370mm×全幅1750mm×全高1410mmというサイズ。ホイールベースは2660mmとやはり同じです。国産ではもう小さなクーペがありませんから、イメージのためにトヨタカローラアクシオと比較してみると、全長はアクシオより-40mm、全幅+55mm、全高-50mm。つまり全幅以外はアクシオより小さいです。ちなみに20年近く前の1990年に本国デビューしたE36型(旧々型3シリーズ)クーペと比べても全長-65mm、全幅+40mm、全高+60mm。まだ短い。
  • BMW 135iクーペ インパネ|ちょい乗り試乗
  • BMW 135iクーペ 後席|ちょい乗り試乗
  • BMW 135iクーペ トランク|ちょい乗り試乗

そんなボディに最高出力225kW(306ps)&最大トルク400N・m(40.8kg-m)という3Lツインターボエンジンを搭載。特に最大トルクはわずか1300回転で達し、そこから5000回転までフラットです。ですから試乗車は6MTでしたが、クラッチを離すだけで動き出しました。またそのフラットトルクで0-100km/h加速では、さすがにポルシェ911の5.0秒には負けますが、ケイマンS(およびボクスターS)の5.4秒を上回る5.3秒をたたき出します。もうスポーツカーですね、これは。
それなら加速感は凄いだろうと思ったのですが、実はジェントル。けたたましい音はしますが、そもそもスピード感がほとんどない。しかし、0-100km/h5.3秒の俊足に偽りはなく、メーターを見るとあっという間にやばい速度に達しています。この辺は同じエンジンの335iカブリオレに以前乗ったときと同じ印象です。

乗り心地がしなやかなのは、後席でも変わりません。ハッチバックは定員5名ですがこちらは4名。左右席の座面の間には小物入れがあります。その分左右に余裕を感じられます。また、身長173cmの私が座っても膝元には余裕があります。頭は天井に触りますがこれは私が座高が高いせい(?)で、175cmのカメラマンO氏は天井に頭がつきませんでした。これなら長距離を後席で過ごしても、文句はないでしょう。
またトランク容量は370L。ハッチバックの330Lより大きめです。

ハイスペックエンジンで、Mスポ装備やカーナビ、キセノンヘッドライト、ルームミラー一体型ETC、スタートボタン、本革シート…などが標準装備。オプションなのはサンルーフにクルーズコントロール、アクティブ・ステアリング、CDチェンジャーといったくらいで、ハッチバックで考えたらほぼフル装備です。お値段538万円(6MT。6ATは549万円)。私の大好きな日産スカイラインクーペ370GTタイプSP(6MTで441万円)が買えてしまいますが、このコンパクトなサイズで、4人がきちんと座れて…という魅力がこちらにはあります。う~む。
あ、そうそう。両車ともにカブリオレの噂がありますから(BMWは本国ですでに発表済み)、それを見てから考えるのも手かもしれませんね。
<カーセンサーnetデスク・ぴえいる>