▲一部の年式&グレードは「車両価格50万円以下」という超お手頃プライスでも狙えてしまう旧型BMW 1シリーズ。お安いのは結構だが、実際買うとなるとどうなのか? いろいろ検討してみましょう ▲一部の年式&グレードは「車両価格50万円以下」という超お手頃プライスでも狙えてしまう旧型BMW 1シリーズ。お安いのは結構だが、実際買うとなるとどうなのか? いろいろ検討してみましょう

確かに価格は魅力的だが、いくつかの問題点も?

「人生には上り坂、下り坂、そして“まさか”という3つの坂があります」というのは昭和の結婚披露宴における定番おやじスピーチだが、輸入中古車の世界でも希に「まさか」という車種(商品)が登場する。

例えば、それは旧型BMW 1シリーズだ。

旧型1シリーズの中古車相場が今やけっこうお安いことは、車好きならよくご存じだろう。そして車にさほど詳しくない人も、なんとなく「まぁそんな高い車ではないのだろうな」ぐらいの認識はあるはずだ。

しかし安いといってもコレ、「実は車両価格50万円以下でも狙えてしまうんですよ」と聞かされたら「まさか!」と驚く人はそれなりに多いのではないだろうか?

そう、旧型(初代)BMW 1シリーズは今や車両価格50万円以下のメチャ安時代に突入しているのである。それもオンボロ系の物件ではなく、走行4万km台までのまずまず悪くない条件の中古車が、である。

これはもう「お手頃予算でちょっとしたヨーロッパ車を買ってみたい」と考えていた人は猛烈に注目するしかない事態と思われる。しかしながら当然、物事すべて光があれば影もあるように、車両価格50万円以下の旧型BMW 1シリーズにもいくつかの検討すべき課題はある。

そこんとこって正直どうなのか? 次章にて一つずつ検討していこう。

▲旧型BMW 1シリーズは04年10月に登場したいわゆるCセグメント(フォルクスワーゲン ゴルフぐらいのクラス)に属するプレミアムコンパクト。同セグメントでは唯一となるFRレイアウト採用モデルだ ▲旧型BMW 1シリーズは04年10月に登場したいわゆるCセグメント(フォルクスワーゲン ゴルフぐらいのクラス)に属するプレミアムコンパクト。同セグメントでは唯一となるFRレイアウト採用モデルだ
▲基本となるグレードは1.6L直4エンジンを搭載する116iと、2L直4搭載の118iおよび120i。その他、最高出力265psの3L直6を搭載する130iも途中から追加されている ▲基本となるグレードは1.6L直4エンジンを搭載する116iと、2L直4搭載の118iおよび120i。その他、最高出力265psの3L直6を搭載する130iも途中から追加されている

やや非力な116iでもOKとするかどうか?

検討課題その1は「車両50万円以下で狙える比較的低走行な旧型BMW 1シリーズは、そのほとんどが116iである」ということだ。

前章の写真説明文で述べたとおり、旧型1シリーズの主なグレードは116i/118i/120iの3種類に分けられるが(その他、強力な3L直6を積む130iもありますけど)、そのなかの最もベーシックな1.6L直4エンジンを積む116iが、この価格帯での主たるターゲットとなるわけだ。

で、ぶっちゃけこの116iはやや非力である。

▲写真は116iではなく08年以降の120iだが、1.6L自然吸気の116iは決して「速い!」という類の車ではない ▲写真は116iではなく08年以降の120iだが、1.6L自然吸気の116iは決して「速い!」という類の車ではない

もちろん走るのに難儀するほど非力というわけでは決してないが、1370kgの車両重量に対して最高出力115ps(※10年5月からは122ps)なので、まぁお世辞にも速い車とは言い難い。

それゆえ高速道路での長距離移動が多い人や、その際に流れをリードしないと気が済まないタイプの人には、旧型116iは正直向かないだろう。

しかし、世の中というのは長距離移動やハイスピード巡航をしている人ばかりで成り立っているわけでなく、むしろ「割と近場の移動が多い」「速度は割とのんびりさんです」という人もいる。ていうか最近は世の中の傾向として「あんまり飛ばす気はない」という人の方が多いかもしれない。

もしもあなたがそんな人――つまり長距離移動が多いわけではなく、常にぶっ飛ばしたいという欲求が希薄な人であるならば、基本的には旧型BMW 116iでも特に問題は感じないはずだ。せいぜい高速道路の長~い上り坂を巡航する際に「もうちょっとだけパワーとトルクがあればいいんだけどなぁ……」と感じるぐらいだろう。

いくばくかの「整備貯金」は用意しておくべき?

第2の検討課題は「さすがにちょっと古い車であるという点をどう考えるか?」だ。

車両価格50万円以下で狙える走行4万km台までの旧型BMW 1シリーズの年式は、主に04~08年式。約10年から13年落ちとなるだけに、「機械としてどうなのか?」という不安と、「ビジュアル的にどうなんだ?」という疑問はどうしたってあるわけだ。

まず前者の「機械としてどうなんだ?」だが、車というのはちゃんと整備さえしておけば、10年やそこらの歳月で朽ち果てるものでもない。だがそれは「ちゃんと整備しておけば」の話で、放置プレイ気味だった10年落ち以上車は、当然ながらリスクが高まる。

となれば我々にできるのは、「なるべく最近まで定期的なメンテナンスを、しかるべき工場で受けていた116iを探す」ということだ。整備記録簿や、(もしもあれば)随時行った整備の明細書などを頼りに、極力「ちゃんとケアされてたっぽい116i」を見つけ出す。そうすれば、さほどのドツボにはハマらずに済む場合が多いだろう。

とはいえ相手は中古車であり、なおかつ何かと部品代が高いドイツ車なので、「ある程度のメンテナンス貯金」は用意しておくべきだろう。5万円とか10万円ぐらいだろうか? それが用意できない場合は、残念だが地味な国産コンパクトカーの中古車を選んだ方が無難なはずだ。

▲ちなみにこちらの写真は初期モデル(04~07年式)のインパネまわり(※本国仕様) ▲ちなみにこちらの写真は初期モデル(04~07年式)のインパネまわり(※本国仕様)
▲で、こちらが08年式以降のインパネまわり。同じく本国仕様で、こちらのトランスミッションはAT ▲で、こちらが08年式以降のインパネまわり。同じく本国仕様で、こちらのトランスミッションはAT

そして「ビジュアル的にどうなんだ?」という問題については……これはもう主観の問題なので、ここでは何とも言い難い。ただ個人的な見解では、旧型BMW 1シリーズというのはちゃんと洗車とワックスがけ(またはコーティング)さえしておけば、今なおなかなか個性的でステキな、決して古びては見えないビジュアルなのではないかと思っている。

ということでアンダー50万円級の旧型BMW 1シリーズ、手頃でナイスな何かを探していた人は、ぜひ一度ご検討を!

▼検索条件

BMW 1シリーズ(初代)×50万円以下×走行距離5万km以下×修復歴ナシ
text/伊達軍曹
photo/BMW