▲4.2L V8エンジンは最高出力340ps、最大トルク420N・mを発揮。駆動方式はアウディの4WDシステム「クワトロ」が採用されています ▲4.2L V8エンジンは最高出力340ps、最大トルク420N・mを発揮。駆動方式はアウディの4WDシステム「クワトロ」が採用されています

S6のコストパフォーマンスの高さに注目!

中古車選びにおいて個人的に重要視しているのは「コストパフォーマンスの高さ」です。つまり、支払う価格に対して、得られる“対価”にこだわっています。そんなコストパフォーマンスの高さという観点から最近、普段の足としてアウディ S6(旧々型)に興味が湧いています。

S6はアウディのミドルクラスセダン、A6をベースにアスリートと呼ぶにふさわしい筋力アップを図ったかのような存在でした。とはいえ、ハイパフォーマンスモデルとしてギラギラしていないんです。エクステリアでパッとA6との違いを感じさせるのは、ワイド化されたフェンダー、大型ホイール、そしてドアミラーの艶消しメタルくらいです。

A6よりも上級なスポーツモデルであることを感じさせながらも、どこまでも控えめなんです。S6の兄貴分としては、RS6がラインナップされていますが、コチラは声高にスポーツモデルであることを主張しています。S6をアスリートに例えるなら、こんな言い方もなんですが、RS6はステロイドでドーピングした感じです(笑)。日常の足としては、S6の“羊の皮を被った狼”ぶりがスマートに感じられます。

大きすぎず、小さすぎないボディサイズゆえに街中での取り回しに苦労することはありません。また、適度なボディサイズゆえに大人5名乗車しても窮屈に感じることもありません。搭載するエンジンは図太いトルクが自慢の4.2L V8。アウディの4WDシステム「クワトロ」がどんな場面でも路面を掴んで走ります。

▲インテリアの基本的なデザインはA6譲り。スピードメーターは300km/hまで刻まれ、随所にS6専用のエンブレムが配されています ▲インテリアの基本的なデザインはA6譲り。スピードメーターは300km/hまで刻まれ、随所にS6専用のエンブレムが配されています
▲フロント、リアともにタイヤサイズは255/40R17となっています。また、ブレーキは前後ともにベンチレーテッドディスクが採用されています ▲フロント、リアともにタイヤサイズは255/40R17となっています。また、ブレーキは前後ともにベンチレーテッドディスクが採用されています

中古車流通台数はもはやごくわずか

中古車は新車時登録から時間が経つにつれ、その価値が下がっていきます。そして約20年ほどが経過して「ネオクラシック」と呼ばれるようになると、最近は値上がりに“反転”する傾向が見受けられます。そんな状況を踏まえても、S6は今まさに底値な雰囲気です。

現在、S6の最安値物件は総額79万4000円。初代RS6の最安値物件は総額188万2000円なので、半分以下です。RS6の派手さに魅力を感じないわけではありませんが、S6はとにかくリーズナブルなんです。だって、RS6を買うなら価格的にはS6が2台買えるわけですから……。

カーセンサーに掲載されている旧々型S6の平均車両価格は約104万円(2015年9月24日現在)。直近3ヵ月の中古車相場は若干上昇傾向にあります。ただ、掲載台数は6台しかなく“高め”の車が市場に1台でも投入されるだけで相場が上がるので、そこまで神経質にならなくてもいいのかもしれません。「100万円台前半でかつてのハイパフォーマンスミドルクラスセダンが買える」と思えば、かなりのコストパフォーマーです。

新車時デビューからもう10年以上が経過していますが、その走りはいまだ現役バリバリです。室内のキッチリカッチリ、精緻に作り込まれた雰囲気は完璧主義を感じさせ、今なお通用する高級感が漂っています。これほどの走行性能と高級感を、100万円台前半で手に入れられるなら幸せだと思います。

text/古賀貴司(自動車王国)