▲初代RAV4は当初3ドアモデルのみでデビューしましたが、市場のニーズに応えてロングホイールベース5ドアモデルも追加されました ▲初代RAV4は当初3ドアモデルのみでデビューしましたが、市場のニーズに応えてロングホイールベース5ドアモデルも追加されました

ノスタルジックながら今でも近未来的で実用的な都会派SUV

原稿執筆時点でカーセンサーに1台のみ掲載されている希少車をご紹介します。今回、2015年8月23日に発見したのは「トヨタ RAV4(初代)」です。最近でこそ珍しくなくなったクロスオーバーSUVですが、“元祖”と呼べるのがRAV4でしょう。1989年の東京モーターショーにおいて「RAV-FOUR」という名のコンセプトカーとして登場。1993年にはプロトタイプへと進化し、1994年から販売が開始されました。初代はカーセンサーに9台掲載されていますが、当該中古車を“1台しかない”と言ったのは5速MTを搭載しているから。しかも寒冷地仕様となっています。

RAV4のRAVはRecreational Active Vehicle(リクリエーショナル・アクティブ・ビークル)の略で、“遊べる車”だという意味合いが込められています。最大の特徴は、一般的な乗用車と同じモノコックボディが採用されたことでした。

それまでのSUV(クロカンという方が一般的だったかもしれません)といえばトラックなどに用いられるラダーフレームを採用していました。ラダーフレームの車は一般的に悪路走破性を確保した代償としてヘビーウェイトで燃費が悪め。アスファルトでは乗用車と異なる独特な乗り心地で、さほど快適ではありませんでした。

一方、RAV4は乗用車にSUVの雰囲気が与えられたような車でした。軽量コンパクトでフルタイム4WD。初代は5ナンバーサイズに収まっていました。後に北米市場のニーズからどんどん大きくはなりましたが……。

▲フロントフェンダー上部からウインドウフレーム、そしてリアにかけてだんだん上向きに“流れる”ラインが特徴的 ▲フロントフェンダー上部からウインドウフレーム、そしてリアにかけてだんだん上向きに“流れる”ラインが特徴的

乗用車をベースにしたSUVという意味でRAV4は「クロスオーバーSUV」と呼ばれ、そのコンパクトさから“都会派SUV”という言葉も生まれました。RAV4の成功を見習ってか、そもそも計画があったのかは定かではありませんが、後にホンダがCR-Vを、スバルがフォレスターを、日産がエクストレイルを投入したんです。

初代がモデル全体でも10台しかないのは、新車時登録から古いもので21年経過していること、ロシア向けの中古車輸出需要が強かったことが理由でしょう。

▲SUVっぽさを演出するためか、インパネまわりは“低め”で視界がとにかく広いんです。インパネそのものは時代を感じさせます ▲SUVっぽさを演出するためか、インパネまわりは“低め”で視界がとにかく広いんです。インパネそのものは時代を感じさせます

当該中古車は、トヨタ系ディーラーからの販売ではありますが、新車時登録から21年が相当経過していることもあって「現状販売」ということです。外装には擦り傷、10円パンチの跡が見受けられますが年式、走行距離、そして価格を考えたら目くじらを立てるようなものではないと思います。内装は思いのほかキレイなので、意外と丁寧に乗られてきた車のように見受けられます。

▲前後のシートを倒せばフルフラットになる、ということがウリのひとつでしたが、今見ると寝るには凹凸が多いような気がします ▲前後のシートを倒せばフルフラットになる、ということがウリのひとつでしたが、今見ると寝るには凹凸が多いような気がします

丸みを帯びてキュートなルックスは、今となってはノスタルジックながらもやっぱり近未来的。RAV4をMT操作で運転してやれば決して速いわけではありませんが“操ってる感”が強く、楽しいものです。

昨今、都会派SUVは輸入車勢が力を入れているカテゴリーですが、その元祖であった初代RAV4を今さら味わうってオシャレだと思います。

■本体価格(税込):23.0万円 ■支払総額(税込):---
■走行距離:10.0万km ■年式:1994(H6)
■車検:無 ■整備:無 ■保証:無 
■地域:北海道

text/古賀貴司(自動車王国)