「他人と同じ」が嫌な実用車愛好家は現行フォードフォーカスに注目を

「欧州フォード」という隠し球

「打倒現行VWゴルフ」を果たせる車を、いつも探している。いや現行ゴルフに恨みなどないが、なんというかこう、たとえが古くて恐縮だがV9時代のジャイアンツのような「強すぎて憎たらしい」という感情を覚えるである。凄いのはわかるが、自分だったらそれではなく、何らかの意外な対抗馬を選びたいぜ……と。

しかし「敵」はかなり強力で、有力な対抗馬がなかなか思い浮かばない。

最初は、車格はちょっと違うがプジョー208の中古車ならば「お買い得」という点でかなり対抗できそうな気がした。なにせプジョー208プレミアムは新車時価格216万円でありながら、現在の中古車相場は、走行0.2万km程度の物件が車両175万円前後、支払総額で見ても約200万円といったところだ。かなりお買い得である。

しかし、よく考えてみればその値段で買えるのは初期の4気筒モデルで、未来の息吹を感じる最新3気筒エンジン搭載車は買えない。というか3気筒208の中古車はまだほとんど流通していない。どうせ208を買うならハイテク3気筒しかないと(個人的には)考えているため、4気筒ではゴルフの対抗馬にはなり得ない。ダメだ(※個人の感想です)。

そんなこんなを独りブツブツと考えていたとき、すっかり忘れていた一つのブランドを思い出した。「そうだ、フォードがあるじゃないか!」と。フォードといってもアメ車のアレではなく、いわゆる欧州フォードだ。

ゴルフに比肩するシャシー性能、そしてロープライス

現在、正規輸入されている欧州フォード製モデルはCセグメント(簡単に言うとゴルフクラス)のフォーカスと、Bセグメント(プジョー208やVWポロなどのクラス)のフィエスタ。超先進の1.0L3気筒エコブーストエンジンを積む現行フィエスタはかなり気になるところだが、本稿執筆時点ではカーセンサーnetの掲載数はゼロ。残念である。

ならばフォーカスはどうかといえば……こちらはなかなかの流通量! 具体的には執筆時現在で20台の掲載があり、価格は走行0.1万kmの2013年式スポーツが車両198万円、総額220万円といったニュアンス。新車価格が293万円であったことを考えればウルトラバーゲンである。

バーゲンなだけでなく、現行フォーカスには以下2つの美点もある。

●道で同型車とすれ違うことが(たぶん)ほとんどない
●現行VWゴルフに引けをとらない優秀なシャシー性能

要するに「ちょっとレアな、でもとってもいい車」ということだ。「ゴルフ的な車は欲しいが、しかしゴルフでは他人と同じすぎてイヤだ!」という人にとっては最適なCセグメントの一つと言えるだろう。

だが、問題がないわけではない。一つは、いくら現行フォーカスの中古車がお買い得プライスだとはいえ、現行ゴルフのほうは新車価格がそもそもかなり安いということ。TSIトレンドラインならば259万円であり、「その価格差なら、中古のフォーカスよりも新車のゴルフのほうが……」と思う人も多いだろう。もう一つの問題は、日本仕様のフォーカスは魅惑の3気筒エコブーストエンジンではなく、オーソドックスな2Lの4気筒であるということ。

このあたりのデメリット(?)をおしてなお、フォーカスの「レア感」を好ましいものと思えるかどうか? そこが、あなたにとっての現行フォーカス中古車の評価を決めるポイントとなるだろう。

ということで今回の伊達セレクションはずばり「現行フォードフォーカス」だ!

欧州フォードの主力車種となるCセグメント・ハッチバック。3代目の現行フォーカスは2013年4月登場。日本仕様のエンジンは2Lの直列4気筒

欧州フォードの主力車種となるCセグメント・ハッチバック。3代目の現行フォーカスは2013年4月登場。日本仕様のエンジンは2Lの直列4気筒

全長4370mm×全幅1810mm×全高1480mmというスリーサイズは、3項目とも「現行VWゴルフよりほんのちょっとだけ大きい」といったところ

全長4370mm×全幅1810mm×全高1480mmというスリーサイズは、3項目とも「現行VWゴルフよりほんのちょっとだけ大きい」といったところ

筆者の個人的嗜好からするとやや装飾過多にも思えるフォーカスのインパネ回りだが、各部の作りや素材の質感は上々。写真は欧州仕様の内装

【伊達軍曹 Sergeant DATE】東京都杉並区出身の輸入中古車研究家。外資系消費財メーカー本社勤務の後、出版業界に。現在は「輸入中古車は、その価格にかかわらず素晴しい!」との見方を核とする輸入中古車研究家として各誌で活躍。雑誌「カーセンサーEDGE」では「中古車相場 威力偵察隊」を連載中

【伊達軍曹 Sergeant DATE】東京都杉並区出身の輸入中古車研究家。外資系消費財メーカー本社勤務の後、出版業界に。現在は「輸入中古車は、その価格にかかわらず素晴しい!」との見方を核とする輸入中古車研究家として各誌で活躍。雑誌「カーセンサーEDGE」では「中古車相場 威力偵察隊」を連載中

文・伊達軍曹 text/Sergeant DATE