【伊達セレクション】異端の中古車評論家・伊達軍曹、空冷ポルシェ911購入について意見する
カテゴリー: クルマ
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2014/02/27
空冷911は本当に素晴らしい。しかし注意点したい点が2つある
頑丈な車ではある。が、やはり金はそれなりにかかる
前回の当欄にて水冷911の選び方について検討した。となれば当然出てくるのが、「じゃ、空冷のほうはどうなんだ?」という疑問である。
不肖伊達軍曹、もちろん空冷ポルシェ911についても日頃から考えを巡らせており、巡らせるどころか、赤のカレラ2を購入したこともある。ということで、今回は空冷ポルシェ911の選び方についてわたくしなりに考えてみたい。
空冷ポルシェ911。もちろん名車である。お好きであるならば、もちろん買ったほうがいい。しかし、次の二点だけは軽く覚悟したうえで購入に臨むべきであるとは思う。
まず第一に「それなりに手間とお金はかかりますよ」ということだ。
といっても、クソボロのハズレ物件でない限り「金食い虫で困っちゃいますわ」ということにはならないはずなので、過剰な心配は必要ない。空冷時代のポルシェ911は、ティプトロニックと呼ばれたAT機構を含め、基本的にはかなり頑丈な車だ。
とはいえ約20年前の車である。ポルシェ云々ではなく単純に自動車として、あちこちの部品が寿命を迎えたり、過去に交換された部品も第二、第三の交換タイミングを迎えることが予想される。実際筆者のカレラ2も購入後、特に問題があったわけではないのだが「足回りをもう少しシャンとさせたい」と思い、ショックアブソーバーなどを純正新品に交換した。その際にはやはり30万円ほどの費用がかかったように記憶している。
また、有名なオイル漏れ問題も付いてまわる。前述のとおり頑丈な車なので、オイル漏れを起こしていたとしても、オイルを継ぎ足しながら乗ることも十分可能だ。しかしあまりにもひどくなるとやはりオーバーホールせざるを得ず、その際の費用は箇所にもよるが約30万円から100万円ほどである。
このあたりのことをまったく考えず、スキーの葛西選手じゃないが「やっぱレジェンドでしょ!」とか言って安易に空冷911を選ぼうとしているのならば、「ちょっと待った」と言いたい不肖軍曹である。
良質空冷911の相場は絶賛高騰中。それを承知で突撃せよ
そして第二の覚悟は「相場高騰問題」についてである。ここ1年ほど、空冷911の良質物件は「異常」といえるほど相場が高騰してしまった。条件の良い物件(ワンオーナーまたはツーオーナーぐらいで、屋根付き車庫保管、ディーラーまたは有名専門店でのフル整備明細付きとか)のMTモデルは、それまでと比べてざっと50万円から100万円は確実に高くなっているのが現実だ。
まぁコンディションを良好に保っておけば、売却する際もそれなりに高く売れるのが空冷911という車だ。しかし、この値上がりはやはり痛い。それを押してなお、あなたは本当に空冷911が欲しいのか? 水冷じゃダメなのか? 今一度自問してみることをオススメしたい。
だが、「メンテナンス費用がそれなりにかかる可能性も、相場が高騰してる件も了解した。それでも俺は(ワタシは)空冷が欲しいんだっ!」というそこのあなた。あなたに対して筆者は、もはや止める言葉を持たない。ていうかむしろ積極的に背中を押したいぐらいだ。「買うの? それはイイですね!」と。
空冷ポルシェ911。それは一生の宝物である。仮に一生は乗らずに数年で手放すとしても、「一生の宝」なのだ。なぜならば、ああいった車はもう二度とこの地球上に新車としては現れないから。そんな空冷911と暮らす数年間の記憶は、あなたの一生の宝物となるだろう。
ということで今回の伊達セレクションはずばり「空冷ポルシェ911」だ!
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89年から93年まで販売された「タイプ964」。状態の良いMT車は人気沸騰中で、20年以上前の車であるにもかかわらず400万円以上は当たり前の状態
こちらは89年まで販売された「タイプ930」。これも絶賛高騰中で、フルノーマルかそれに近い上物は300万円台後半から400万円台となっていることが多い
98年まで生産された最後の空冷911「タイプ993」。リアサスペンションがマルチリンクになったことで、乗り味は現代的に。そこが逆に好みが分かれる点か?
【伊達軍曹 Sergeant DATE】東京都杉並区出身の輸入中古車研究家。外資系消費財メーカー本社勤務の後、出版業界に。現在は「輸入中古車は、その価格にかかわらず素晴しい!」との見方を核とする輸入中古車研究家として各誌で活躍。雑誌「カーセンサーEDGE」では「中古車相場 威力偵察隊」を連載中