原稿執筆時点でカーセンサーnetに1台のみ掲載されている希少車を紹介するこの企画。今回、2013年12月19日に発見したのは「ポルシェ 968カブリオレ」です。ポルシェの頑固さ、そして変革期を感じられる歴史の1ページだと言っていいでしょう。

968は部品の8割を一新しルックスも大幅に変えたとはいえ、1983年から生産されていた944シリーズの進化形です。ひとつのモノを長く進化させていく、というのが従来のポルシェにおける方策だったのでしょう。エンジンをフロントにミッドシップしトランスミッションをリアに搭載する「トランスアクスル」式のFRモデルは、前後の重量バランスが非常に良く、ポルシェが頑固にこだわり続けた「スポーツカーの理想像」でした。

ご存じの方も多いでしょうが、ポルシェ社内では911廃止論がずっとありました。911の歴史的価値や、ブランドにおけるポジショニングを認識しながらも“代替え”を模索していたのでしょう。しかし、そのポルシェの意図とは裏腹に市場が求めたのは、やっぱり911でした。

変革期の1ページと記したのは、968シリーズでポルシェが多彩なモデル展開を試みたからです。要はこの頃から、市場の声に従来以上に敏感になり、需要の活性化に取り組み始めたんです。

いざとなれば、ガンガン走ることができますが、普段はオープンカーでサラッと流すイメージの968カブリオレ。つまりは“能ある鷹は爪を隠す”系な車なんです。今乗れば懐かしくも珍しくもありますし、“頑張って買った感”もゼロでしょう。気取った感じもなく「ああ、車が好きなのね」と周囲に好印象を与えてくれるはずです。

当該中古車は、オプションであったスポーツシート装着車(ランバーサポートが大きい)のようです。中古車市場的にはクーペのほうが需要が多く、カブリオレは安く流通量も少ないようです。ボクならチャラチャラっとカブリオレを足に使いたいですね(笑)。

Text/古賀貴司(自動車王国)

ポルシェ 968カブリオレ

ポルシェ 968カブリオレ

本体価格(税込)77.7万円
支払総額(税込)---万円
走行距離7.0万km
年式1994(H6)年式
車検
整備
保証
地域香川