【オンリーワンを探せ】今も昔もリーズナブルなプライスの高級車!?
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2013/06/25
原稿執筆時点でカーセンサーnetに1台のみ掲載されている希少車を紹介するこの企画。今回、2013年6月17日に発見したのは「デイムラー コンクエスト」です。
デイムラーは1910年代にイギリスのBSA(バーミンガム・スモール・アームス)という武器、自転車、バイク、自動車、航空機メーカーの傘下に入り、1930年代にランチェスターという自動車メーカーを吸収。ランチェスターとデイムラー、ブランドは別でも、要は合弁したんです。
その後、デイムラーがジャガー傘下に収まったことは皆さんご存じでしょうが、ランチェスターもずっと一緒なんです。現在、ジャガー・ランドローバーはインドのタタ傘下ですが、ランチェスターは休眠会社ではあるものの、現在もブランドとして存続しています。
なぜランチェスターの話に触れたかといえば、このコンクエストはランチェスター・フォーティーン/レダと同じ基本デザインだから。デイムラー社に新たな社長が就任して4ヵ月で完成させた車両です。
フロントにダブルウィッシュボーン、リアにリーフスプリング式サスペンションを採用し、「リーズナブルな価格の高級車」として販売。ウッドパネルやレザーはたんまり使用しています。今も昔も「高級」といえば、木目と本革なようですね(笑)。5年間で4568台のセダンが販売され、その他派生モデル(オープンカー、リムジン仕様)も生産されていました。
当該車両は、内外装をリフレッシュ済みのようで、写真で見るかぎり58年前の車とは思えません。発売当時、メーカーが発表しているのが0−48km/h加速5秒、0−110/kmh加速30秒、最高速度132km/hですから、多くを期待しないでください。でも、ゆっくり走る相棒として、これほど強烈な車は少ないと思います。
しかも誰がこの車が298万円だと思うでしょう? オーラは3000万円クラス、現在の値段は298万円。まさに発売当初の「リーズナブルな価格の高級車」というコンセプトがぴったり当てはまっています。
クラシックカーレースやラリーという優雅な車道楽に浸るもよし、隠居生活の楽しみにするもよし、実は使い道はたくさんあります。リーズナブルに始める高級クラシック輸入車ライフ……。ちょっと思い浮かべただけでも、ウットリしませんか?
Text/古賀貴司(自動車王国)