原稿執筆時点でカーセンサーnetに1台のみ掲載されている希少車を紹介するこの企画。今回、2012年10月18日に発見したのは初代「トヨタ・カリーナED」です。EDが何を指していたかというと、「Exciting Dressy(エキサイティング・ドレッシー=刺激的でオシャレ)」です。いやぁ、時代を感じさせるダサさですね(笑)。80年代のイケイケ時代、いわゆる“ハイソカー・ブーム”で皆がこぞって狙ったプチ高級モデルでした。とはいっても値段は200万円前後で、今の高級車の価格帯からすればかわいいものです。

最近でこそクーペっぽいセダンが(M・ベンツ CLS、アウディ A7など)もてはやされていますが、カリーナEDは20年以上も前に時代を先取りしていました。全高は1310㎜しかありませんが、ウインドウの傾斜により思いのほか解放感があります。まぁ、車内空間の広さうんぬんよりも、カッコを重視していたのは時代の勢いを反映する“心のゆとり”ゆえでしょう。Bピラーがありませんから、前後ウインドウを下げると異様な解放感が漂います。前シートはサイドサポートの効いたバケットタイプでスポーティさを演出。純正ながら低音の効いた“ライブサウンド”なるカーステレオも、当時は注目を浴びていました。

この車両ですが、販売店がうたうように「奇跡の1台」かもしれません。23年前の車で走行距離1.5万km。写真を見るかぎり、まったくと言っていいほど経年劣化を感じさせません。それにしても20年以上も前にクーペスタイルのセダンがトヨタから発売されていた、ってちょっと斬新ですよね。80年代後半、流行った音楽を聴きながらカリーナEDを走らせれば、タイムマシンに乗ったような気分に浸れることでしょう。かつてカリーナEDに乗っていた人にはあらためて手にしてほしい1台ですし、バブル期を知らない人たちには、良くも悪くもかつて日本にあった優雅さを知るのにうってつけな1台だと思います。

カリーナEDの新車時価格が200万円弱であったことと、23年前の車であることを考えれば88万円という価格は決して安くはありません。でも、これほどの個性派はなかなか探せませんし、ネオクラシックとしての価値を認めざるを得ません。それにしても中古車市場にはいろいろな車が埋もれているものですねぇ。オンリーワンを探しているとホント…、宝探しでもしている気分になれます(笑)。

Text/古賀貴司(自動車王国)

トヨタ・カリーナED | オンリーワンを探せ
本体価格(税込)88.0万円
支払総額(税込)---万円
走行距離1.5万km
年式1989(H1)年式
車検
整備別(費用6万3000円)
保証
地域埼玉