第5回 予算50万円で人とは違うコンパクトカー選び 【おいしい中古車】

■50万円でも“スリーポインテッドスター”は手に入る
予算50万円でのコンパクトカー選び。このクラスは、売れ筋の人気カテゴリでもあります。となれば当然各メーカーも、ヴィッツやマーチ、フィット、デミオなど数多くの車種をラインナップしているわけです。それ自体は選択肢の幅が広がり消費者にとってはいいことなのですが、逆に選択肢が多すぎてどれがいいのか迷ったり、売れ筋であることから、街には同じ車が群れのように走っていたりすることも当然考えられます。

今回のおいしい中古車は「それはイヤだなぁ、安くて他人とは違ったコンパクトカーが欲しい」という人にオススメのモデルを紹介します。忘れてはいませんか？ステイタスの象徴、スリーポインテッドスターが作り出すコンパクトカーを…。

そう、M･ベンツが生み出したコンパクトカー、Aクラス。実はこのAクラス、予算を50万円程度と考えるとターゲットは旧型になるのですが、とってもおいしいんです。国産の人気コンパクトの中から、ヴィッツ（旧型）を例にとって比較してみましょう。同年式で、同じくらいの走行距離で比べてみると

●トヨタ ヴィッツ（旧型）：1.0F Dパッケージ＋H13年式＋3.7万km＋修復歴なし＝62万円
●M・ベンツ Aクラス（旧型）：A160＋'01年式＋3.9万km＋修復歴なし＝49.9万円

よく見れば分かるように、ほぼ同条件にもかかわらず、ヴィッツのほうが10万円以上高いんです。 　
↑M・ベンツ初のFFモデルがAクラス。他のM・ベンツと同じく、フロント、リアの中央には“スリーポインテッドスター”が鎮座する

■知名度や人気、消費者の心境によって価格は変動する
なぜか？これにはやはり、知名度や人気が大きく関わってきます。ヴィッツは今や車に興味がない人でも知っている国民的コンパクト。一方のAクラスは、M・ベンツのエントリーモデルとはいえ、多少は車を知っている人でないと、選択肢には入ってきにくい車。このアタリに価格のカラクリがあります。また「輸入車の中古車より、国産のほうが壊れないかも…」と考える人もいるかもしれません。そのためヴィッツは高くても売れる、ところがAクラスは安くしないと売れない、という図式が成立してしまったのです。平成13年の新車購入時には100万円以上あった価格差が、6年の歳月を経て、なくなるどころか逆転してしまいました。
　
↑シンプルで機能的ながらも高級感を漂わせるインパネ(左)。走りに関しても国産コンパクトに比べ若干硬めで安定感は高い(右)

ただ、肝心の中身が負けていてはお話になりません。そのあたりも例に挙げた2台を比較してみましょう。まずエンジン。ヴィッツの1Lに対し、Aクラスは1.6L。排気量は約1.6倍です。当然動力性能はAクラスのほうが上ですね。そして内装などの質感。これは言わずもがなでしょう。いくら最も安いモデルのAクラスとは言っても、そこはM･ベンツ。国産のコンパクトカーとは一線を画します。

そしてあのエンブレム。街中で国産コンパクトとすれ違った時には、多少なりとも優越感に浸れることでしょう。近所の人には「あらベンツ？いいわねぇ」と思われることでしょう。それでいて、実はAクラスのほうが安いときたら、あなたはどっちを選びますか？