空力と足回りをブラッシュアップしたヤンチャなオープン

FFの多いホンダ車(レジェンドなどのビッグセダンもFF)としては珍しく、FRの2シータースポーツカーとしてファンを獲得していたS2000は、1999年から2009年まで10年以上の長きに渡って生産されたモデルでした。2005年11月のマイナーチェンジで排気量が2Lから2.2Lへと変更され、型式もAP1からAP2へと変更されましたが、そのAP2のさらに後期仕様に設定されたのが今回ご紹介するタイプSです。

タイプSが登場したのは2007年10月の2008年モデル発表時。スポーティ仕様であるタイプVと入れ替わる形で設定されました。新車時の車両本体価格は399万円。カタログモデルとは思えないほどトンがったフロントのエアロバンパーとリアのスポイラーが、実に印象的なデザインとなっています。
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エンジンは最高で242ps、トランスミッションも6MTと、実は標準的なモデルと違いはありません。違いは空力とサスペンションのセッティング。高速域での安定性と操舵感が向上しています。とはいえサーキット走行前提モデルではなく、あくまでメインステージは公道。ワインディングロードでの走行が重視されています。

2.2Lに排気量が拡大した際に低速トルクが厚くなったため、走り出しは意外に扱いやすくなっています。煮詰められたサスペンションはもちろん硬めですが、日常走行に支障の出る範囲ではないところが、いかにも「タイプR」ではなく「タイプS」といった感じ。一方で男らしさが全面に出たS2000らしいラフな感触も健在です。

室内には専用のファブリックシートとインテリア、アルミのシフトノブが、エクステリアでは専用のエンブレムとアルミホイールが設定されています。軽量化のためスペアタイヤは搭載せず、応急パンク修理キットを装備。ソフトトップは車内のレバーを2カ所外せば、あとは電動で開閉が可能となっています。
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4月19日時点でカーセンサーnetに掲載されている中古車は19台。価格は248万円~ですが、修復歴車を除くと320万~498万円とかなり高額。ホンダのラインナップからスポーツカーが事実上ほぼ消えているため、特に最終年の仕様では一部プレミアがついているよう。今後もかなり激しい争奪戦が繰り広げられそうです。

昔ながらの男らしい走り、エアロバンパーとリアウイングのヤンチャな外見、6MTのみに割り切ったバリエーション展開など、S2000タイプSは昨今ではめずらしい個性をもった一台でした。そんなトガった部分に興味をもった方は、下の検索窓に「S2000 タイプS」と入力して、検索してみてください。


Text/渡瀬基樹