THE!対決

PART1 走行性能が優れているのはどっち?

日産 ムラーノ
日産 ムラーノ 走り|THE!対決
↑搭載されるエンジンは、2.5Lの排気量をもつ直4DOHC。ボディサイズから考えると多少心もとないが、デキの良いCVTとの組み合わせで、動力性能に不満を感じる場面は少ない。また、マイルドな乗り味とやわらかめのシートの採用により、優れた快適性を実現している
日産 ムラーノ ドライビングポジション|THE!対決 日産 ムラーノ リアシート|THE!対決
マツダ CX-7
マツダ CX-7 走り|THE!対決
↑ターボを備えた2.3L直4エンジンはスポーティな味つけで、回すほどにパワフル。特に2000rpm台後半から上の生き生きした回りっぷりが気持ち良い。乗り味はエンジン同様スポーティな雰囲気で、クイックなハンドリングと硬めの足回りは、ムラーノとは対照的
マツダ CX-7 ドライビングポジション|THE!対決 マツダ CX-7 リアシート|THE!対決

快適な居住性が確保されたラグジュアリィ志向のムラーノ

クラス/キャラクターともに、今や幅広いバリエーションが市場に揃うSUV。が、もともとは、北米市場をターゲットに生まれた分野。それだけに“大きめサイズ”のモデルから増殖してきた経緯がある。

今回のムラーノ(試乗車は250VX FOUR)も、もともとは北米市場専用車として生まれた。だが先代のうちに日本をはじめ、他の市場にも展開。2世代目となる現行型は、世界170カ国に展開させる…という。

それだけに、先代以上に“説得力のある走りっぷり”が印象的だった。特に乗り味がしっとりと滑らかなのは、先代から大きく磨かれた点。ステアリングの操舵フィールもしっとりとしており、神経を逆なでしない上等な質感が演出されている。

コーナリング時にジワリとボディが沈み込むマナーも秀逸。大柄でハイトのある車ながら、不安感はまったくない。

もちろんパワーフィールもなめらかさを保ちつつ、CVTながらよくできたATのように自然かつダイレクトなタッチ。2.5Lの直4ではあるが、アクセルを深く踏み込まなくとも、たいていの場面ではこと足りる余裕の動力性能を発揮してくれる。

アイドリング時の静粛性の高さでいえば(高回転時のやや耳障りなエンジン音を除けば)、高級感のある走りっぷりが印象に残った。

では、ムラーノのフル乗車での“評判”はというと、快適性が高いせいか、試乗開始後しばらくは記録用のICレコーダーに残された全員のコメントは「…………」。強いて挙げれば、後席から「3名乗車でヘッドレストが微妙にズレている。頭上空間は十分だが…」「Aピラーの傾き具合が助手席ではやや気になる」の声が聞かれた程度。

「乗り味は総じてマイルド」「装着タイヤが65のブリヂストンという点も乗り心地に利いている」「やわらかめのシートも評価できる(=良い)」「後席足元の床に段差がないのが良い」「ティアナとプラットフォームが同じだけあり快適、乗り心地は良い」「前後席で普通に会話できる」「Bピラー部の後席用エアコン吹き出し口があるのは安心」「高級セダンっぽい」「コーナリング中も姿勢が崩れなかった」と、ほぼ好評だった。

走りはもちろん乗り味もスポーティなフィーリングのCX-7

対してCX-7(クルージングパッケージ)はムラーノと比べると、若々しいというか、スポーツカーのフィーリングだ。

とりわけパワフル感が肌で感じられる、活気あふれるエンジンフィールは印象的。2.3Lの4気筒ターボエンジンは“走る気満々”といったふうで、回すほどにパワフルに。2000rpm台後半から上の生き生きとした回りっぷりが気持ちよく、走らせている実感もひとしお。220km/hまで目盛られたスピードメーターも見せかけではない…と思わせられる。その一方で100km/hは6速で1800rpmほどと、効率を意識した設定でもある。

足回りもスポーツカー的な設定。コーナー進入でステアリングを操作するとスパッと切れ込み、車がインに向きを変える。全体のレシオもSUVとしてはクイックで、今回の比較車ムラーノとは対照的。ただし引き換えに、乗り味は常にピッチングを感じるのも事実。高速領域でやっと落ち着きを実感できるのだが…。

フル乗車でのCX-7の評価は、走り出すなり「ムラーノが静かなのがよくわかった」「後席はムラーノのほうが足元がゆったり。前席のフレームが足にぶつかる」「乗り心地が“痛い”」など、厳しいものに。シート自体にも、表皮素材が「滑る」「しっとりしていない」「体格によっては横に小さく感じる」といった声が。

また、「走らせているとボディ剛性が少し物足りなく感じる」「いつも車が揺れている」の指摘も。「スポーティと呼ぶのだろうが、突き上げのある乗り心地はいかがなものか」との声も挙がった。さらに「後席は適度に静か」「前席は常にタイヤとエンジンの音がする」など、前後席での印象の差もみられた。
今回のまとめ
CX-7ではなくCX-9(北米専用)なら、ムラーノとより正当な比較になったかもしれない。図らずもラグジュアリィなムラーノと、スポーツ志向のCX-7とのキャラの違いが明確に。結果判定は、快適性を支持しムラーノ。
今回のテスト車両
日産 ムラーノ フロント|THE!対決
日産 ムラーノ リア|THE!対決
日産 ムラーノ インパネ|THE!対決          
日産 ムラーノ
テスト車両 250XV FOUR
357.0万円
駆動方式 4WD
トランスミッション CVT
全長×全幅×全高(mm) 4825×1895×1730
ホイールベース(mm) 2825
車両重量(kg) 1790
最小回転半径(m) 5.7
乗車定員(人) 5
エンジン種類 直4DOHC
総排気量(cc) 2488
最高出力
[kW(ps)/rpm]
125(170)/5600
最大トルク
[N・m(kg-m)/rpm]
245(25.0)/3900
使用燃料 無鉛レギュラー
燃料タンク容量 82L
10・15モード燃費
(km/L)
11.0
実用燃費 (km/L)
e燃費提供
現在調査中
タイヤサイズ 235/65R18
※実用燃費のデータはe燃費の提供です
マツダ CX-7 フロント|THE!対決
マツダ CX-7 リア|THE!対決
マツダ CX-7 インパネ|THE!対決
マツダ CX-7
テスト車両 クルージング
パッケージ
340.0万円
駆動方式 2WD
トランスミッション 6AT
全長×全幅×全高(mm) 4680×1870×1645
ホイールベース(mm) 2750
車両重量(kg) 1640
最小回転半径(m) 5.7
乗車定員(人) 5
エンジン種類 直4DOHC+ターボ
総排気量(cc) 2260
最高出力
[kW(ps)/rpm]
175(238)/5000
最大トルク
[N・m(kg-m)/rpm]
350(35.7)/2500
使用燃料 無鉛プレミアム
燃料タンク容量 69L
10・15モード燃費
(km/L)
9.1
実用燃費 (km/L)
e燃費提供
現在調査中
タイヤサイズ 235/60R18
※実用燃費のデータはe燃費の提供です
Report/島崎七生人 Photo/奥隅圭之