ノスタルジックな味わいにも浸れる

楽に運転するならAT車に限ります。しかも最近のATは進化していて、変速スピードは速いし、ドライバーのアクセル踏み込み量に瞬時に反応してキックダウンもしてくれます。だからハンドル操作に集中できますし、楽なんです。しかし、そこには運転という行為を形骸化している面があることも否めません。右足と左足を上手に使いアクセルコントロール、クラッチ操作、そしてシフトチェンジをする、という古典的な運転、今一度楽しんでみませんか? 気になる車は中古車カタログや物件をチェックしてみてください。

第5位はジープラングラー(旧型)。本格派クロカンであるラングラーをマニュアルで乗るって、ハードコアな雰囲気が伝わってきませんか?オフロードを重視した足回りゆえに、お世辞にも現代のレベルではオンロード性能はプアと表現せざるを得ません。ただ、そんな走りにノスタルジーを感じるのも事実です。それをドライバーがせっせとシフトチェンジして操ることが、運転する楽しさを感じさせてくれます。うまく運転できたときに味わえる達成感、支配感が癖になります。

第4位はアルファロメオアルファ156(絶版)。デビュー当時、セミATやATもラインナップされていましたが、やはり気持ち良いのはMTでした。いずれの自動変速機もタイムラグが若干大きめで、せっかくエンジンが味わわせてくれる官能が損なわれてしまう気がします。ブレーキタッチやクラッチのミートポイントは、個体によって異なる感じがするアルファロメオのMT車ではありますが、MTで操る楽しさはピカイチ。アクセルに連動したエグゾースト音を、自分のシフト操作で楽しみましょう。

第3位はVWルポ(絶版)。MTが設定されていたのは最上級モデルのGTIのみでした。よって今回オススメするのはルポGTIです。全長わずか3525mmのコンパクトカーで大人4人がちゃんと座れて、しかも予想だにしない高速安定性を実現させています。アウトバーンで200km/h走行することを前提にしてあるせいか、短いホイールベースの割にしっかり走るのには驚かされます。1.6Lエンジンはパワフルとは言えませんが、MT操作でちゃんとパワーを引き出してあげることに醍醐味があります。

第2位はトヨタマークII(絶版)。意外性を求める人にオススメです。iR-Vと呼ばれるターボモデルにのみ5MTが奢られていました。ドリフトベース車としての人気が根強く、意外に高値安定しています。あえてファミリィカーとして、社外エアロパーツに身を包んでいない個体を狙いたいものです。昨今、この手のミドルクラスセダンでMTの設定はほとんどありません。そういう意味では、MT車のファミリィカーって個性的です。ついでに言うとMT車を乗りこなす女性に男性は弱いです。

第1位はミニ(絶版)。1959年に登場したミニは、基本コンセプトをそのままに約40年間販売され続けた車です。よくぞそんな昔から、ここまで作れたものだと感心させられます。そして最近の中古車でも、デビュー当初のノスタルジーに浸ることができます。AT車の設定もありますが、あまり良い出来映えではありません。MT車は、五感を研ぎ澄ませ、車と対話しながら運転するような雰囲気があって、運転する行為が特別なものに感じられることでしょう。アンティーク的味わいです。

フォトコレクション

写真:第5位:ジープラングラー(旧型)|なんでもベスト10

第5位:ジープラングラー(旧型)

写真:第4位:アルファロメオアルファ156(絶版)|なんでもベスト10

第4位:アルファロメオアルファ156(絶版)

写真:第2位:トヨタマークII(絶版)|なんでもベスト10

第2位:トヨタマークII(絶版)

写真:第1位:ローバーミニ(絶版)|なんでもベスト10

第1位:ローバーミニ(絶版)

Report / 古賀 貴司