▲現在、箱根山で規制されているのは、大涌谷噴煙地を中心とした半径約300mの範囲内。そのため、大涌谷を通るロープウェイや、そこへ繋がる道路およびハイキングコースの通行止めを行っている ▲現在、箱根山で規制されているのは、大涌谷噴煙地を中心とした半径約300mの範囲内。そのため、大涌谷を通るロープウェイや、そこへ繋がる道路およびハイキングコースの通行止めを行っている

火口周辺規制から1ヵ月半、箱根は今どうなってる?

5月6日、箱根山の噴火警戒レベルが「2」に引き上げられた。火口周辺の立ち入りは規制され、観光名所である大涌谷周辺も封鎖。食べると7年寿命が延びるなどといわれている縁起の良い名物「黒たまご」も食べられなくなっている。

黒たまごとは、大涌谷にある約80度の温泉池で1時間ほど茹でて作るゆでたまご。殻に付着した鉄分に硫化水素が反応して黒くなるのだとか。お湯で作ったゆでたまごと比較してみると、うまみ成分が20%ほど高いという実験結果もあるという。

しかし、食べられないと言われれば、より口が求めるもので……。そんなとき、編集部の福嶌くんから「芦ノ湖畔で販売を再開したらしいですよ」との情報をGET。マジッすか。

実は自動車業界は箱根でのロケが多い。当然、カーセンサーでも度々訪れてお世話になっている土地だ。「“箱根”山が噴火」という表現から、規制区域ではない一帯の観光への影響も懸念されている。ここは、風評被害を払拭するためにも、実際に行ってみなくては。

黒たまごの前に、箱根をぶらりお散歩

ということで、箱根神社の鳥居が印象的な箱根、芦ノ湖畔にやってきた。「黒たまご」の前に、まずは芦ノ湖を巡る遊覧船でもと思ったら、目の前で出港。時間の関係で割愛です。

▲写真は、国道1号線の成川美術館のそばにある第一の大鳥居 ▲写真は、国道1号線の成川美術館のそばにある第一の大鳥居
▲芦ノ湖には遊覧船と海賊船があり、遊覧船は西武グループが、海賊船は小田急グループが運航している。写真は海賊船 ▲芦ノ湖には遊覧船と海賊船があり、遊覧船は西武グループが、海賊船は小田急グループが運航している。写真は海賊船

「いや、今回の目的は黒たまごでしょう」と冷静に突っ込む、情報提供者で本日の運転手、福嶌くん。せめて、箱根の関所くらいは拝ませて頂戴。

▲教科書にもあった「入鉄砲に出女」で有名な箱根の関所。江戸幕府は、謀反を押さえ込むために、江戸への鉄砲の流入と大名の妻女が国元に逃げ帰るのを厳しく取り締まった ▲教科書にもあった「入鉄砲に出女」で有名な箱根の関所。江戸幕府は、謀反を押さえ込むために、江戸への鉄砲の流入と大名の妻女が国元に逃げ帰るのを厳しく取り締まった

いよいよ念願の黒たまご、しかし、驚きの一言が……

歴史ロマンを堪能した後は、いよいよお目当ての黒たまご。寿命、延ばしちゃいましょう。

場所は元箱根の交差点から国道1号を三島方面に徒歩2~3分程度。店頭には巨大な黒たまごオブジェが鎮座している。

▲立ち入り規制区域で名物の黒たまごを販売していた土産物店が営業を再開している ▲立ち入り規制区域で名物の黒たまごを販売していた土産物店が営業を再開している

意気揚々と店内に足を踏み入れ、「黒たまごください~」と注文するも、なんと驚きの一言が……。

「売り切れなんです。すみません」

ななな、なんと。本日分は売り切れということなのか~。

「いえ、販売していたのは規制される前に作った黒たまごの燻製の真空パックなんです。120袋ほどを準備していたのですが、売り切れました」

確かに、黒たまごは大涌谷の温泉池で作られている。よく考えると、芦ノ湖畔じゃ作れないよな……。おい、福嶌よ。どうなってんだ。寿命、7年縮めてやろうか。

「まあ、でも黒たまごグッズは色々あるじゃないですか。とりあえず、このお菓子でも買って」と福嶌くん。

うーん、釈然としない部分もあるが、まぁいいとしよう。とりあえず、編集部への土産として購入してゴマをすっておくか。

▲ということで、購入した『大涌谷温泉銘菓 たまご饅頭』というお菓子。カスタードクリームが美味だ。小分けされているのでお土産にぴったり ▲ということで、購入した『大涌谷温泉銘菓 たまご饅頭』というお菓子がこちら。9個入りで720円
▲たまご饅頭自体はこんな感じ。カスタードクリームが美味だ。小分けされているのでお土産にぴったり ▲たまご饅頭自体はこんな感じ。カスタードクリームが美味だ。小分けされているのでお土産にぴったり

芦ノ湖名物「公魚」を堪能。これ、読めますか?

しかし、このままでは帰れない。なんとか箱根名物を堪能しなければということで、芦ノ湖近くのお店に入り、そばをセレクト。さらに、芦ノ湖名物のワカサギも追加して舌鼓を打つ。雑な情報提供のお詫びの意味もこめて、福嶌くんがお支払い。より美味しく感じたぞ。

▲こちらは、福嶌くんが勝手にレモンを絞ったワカサギのフライ。実は芦ノ湖はワカサギが有名で、宮内庁の献上される逸品なのだとか ▲こちらは、福嶌くんが勝手にレモンを絞ったワカサギのフライ。実は芦ノ湖はワカサギが有名で、宮内庁の献上される逸品なのだとか

帰りは箱根湯本を経由したのだが、駅前からの目抜き通りは平日にも関わらず賑わっている。しかし、噴火警戒レベル引き上げ前は、もっと大勢の人が来ていたという。箱根湯本は規制区域からは離れているのだが、やはり多少なりとも影響があるようだ。

今回、実際に芦ノ湖周辺や箱根湯本に足を運んだが、店舗の営業も交通機関の運行もすべて平常どおりだった。箱根山で規制されているのは、大涌谷噴煙地を中心とした半径約300mの範囲内。それ以外は、普通に観光して楽しむことができる。もちろん、関連情報には十分な注意が必要だが、「箱根は噴火で危険」という風評に惑わされないでいただきたい。

text&photo/コージー林田