NEXCO東日本は10月16日、平成25年3月~4月に開通した圏央道3区間(海老名IC~相模原愛川IC/茅ヶ崎JCT~寒川北IC/東金JCT~木更津東IC)に関する開通3カ月後の整備効果を発表した。

それによると、まず圏央道利用者からは「移動時間が短くなった」との声が多数あり、一例として相模原愛川IC周辺から厚木ICまでの移動時間は約20分短縮されたという。

バス事業者からは「千葉県内と羽田空港・横浜方面を結ぶ路線を圏央道ルートに変更したことで所要時間が短くなり、お客様から早くなったとご好評をいただいている。利用客も2割程度増加した」との声が。

さらに物流企業は「圏央道を利用することで移動時間が読めるようになったことが最大のメリット。安定したダイヤを組むことが可能となり、朝の拠点から各店舗への配送、夕方の各店舗から拠点への配送などにおいて、約20分の短縮が図られている」という。

実際、開通前(平成25年2月)と開通後(平成25年7月)の平日午前8時台のプローブデータを比較すると、圏央道相模原愛川ICに近い内陸工業団地から東名高速厚木ICまでの所要時間はそれまでの31分から11分と、利用者の感覚同様20分の時間短縮が実現されていることがわかる。

また同様に千葉県茂原から羽田・横浜までを結ぶ高速バスの所要時間も、平成25年7月の「バス時刻表」によれば90分から70分に短縮されている。

しかし圏央道は用地買収が終わっていない区間も多く、また用地買収交渉が始まったばかりの区間もある。そして「都心部の渋滞緩和にさほど寄与しない圏央道は、果たして巨額の予算を使って開通させる必要があるのか?」という論調もあるようだ。それについて交通ジャーナリストの清水草一氏は以下のように語る。

「たしかに圏央道が全線開通しても、都心部の渋滞緩和効果は1%ほどでしかないでしょう。それをもって圏央道不要論を唱えたりしますが、それは都会に住む者の驕りです。渋滞はなにも都心部だけにあるわけでなく、国道16号線などの郊外においても顕著なのです。それを緩和できる圏央道の開通はまさに僥倖であり、また経済波及効果も考えれば、その価値は計り知れません」

今から2年半後には全線の約8割が開通するという圏央道。その経済効果を含め、行く末を見守っていきたい。

神奈川県から東京西部、千葉県を環状に結ぶ圏央道。今年春に開通したのは赤で示された3区間。用地買収が終わっていない区間も多い

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経済産業省の「工場立地動向調査」より、平成6年を1.0とした場合の新規工場立地面積の推移。圏央道沿線で工場が増えていることがわかる

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