▲自動車・カーライフに関する調査研究機関「リクルート自動車総研」の膨大な統計データを基に、ユーザーの購買行動や世の傾向を勝手に予想したり解説したりするコラム。今回は人気のボディタイプの遷移について。人気の傾向はハイブリッド車がカギ?▲自動車・カーライフに関する調査研究機関「リクルート自動車総研」の膨大な統計データを基に、ユーザーの購買行動や世の傾向を勝手に予想したり解説したりするコラム。今回は人気のボディタイプの遷移について。人気の傾向はハイブリッド車がカギ?

ミニバン人気をけん引するハイブリッド車

まずは下のグラフ①をご覧いただきたい。

リクルート自動車総研が毎年実施している『中古車購入実態調査』の、「実際に購入した中古車のボディタイプ」という設問に対する回答だ。

調査開始した2015年から4年連続でトップは軽自動車だった。
 

※2015年~2018年にリクルート自動車総研が行った『中古車購入実態調査』より ※2015年~2018年にリクルート自動車総研が行った『中古車購入実態調査』より

他のカテゴリーを大きく引き離しての一強体制には変わりないものの、年々購入者の割合が減少傾向にあることがわかる。

ここでいくつか疑問が湧いてくる。まず、軽自動車を買わなくなった人は、どこへ行ったのかという疑問だ。その答えもグラフ①にくっきり示されていた。そう、ミニバンだ。

軽自動車のグラフを左右反転させたように、ミニバンのそれは右方上がりを描いている。特に2018年の伸びは顕著だ。

では、なぜここにきて中古ミニバンを買う人の割合が増加したのか。

ライフスタイルや車の使い方の変化、ブームをけん引するようなヒットモデルの存在などいくつかの要因が考えられるが、中でも興味深いのがグラフ②で示した「実際に購入した中古車のエンジンタイプ」のデータだ。
 

※2015年~2018年にリクルート自動車総研が行った『中古車購入実態調査』より ※2015年~2018年にリクルート自動車総研が行った『中古車購入実態調査』より

ミニバン購入者の伸びとほぼ相似形を示すように、ハイブリッド車(以下HV)を買った人の割合が増えているのがわかる。

カーセンサーnetに掲載されている軽自動車の物件の内、HVが占める割合は6%(2019年7月11日現在)と少ない。

そのためグラフ②のガソリン車の減少は、グラフ①の軽自動車の減少と関連性が高いと考えて良さそうだ。

一方、掲載物件の29%がHVとなるハッチバックは、グラフ①では購入者の割合が減っている。

同じく、HVが設定されているセダンやクロカン/SUVの割合も増えていない。

以上のことから帰納法的に考えると、グラフ②のHVの増加分は、ミニバンの増加と関連していると考えて間違いないだろう。

いよいよ疑問の核心に迫ってみよう。
 

「人気のボディタイプ」は多様化に向かうか

なぜ、中古ハイブリッドミニバンを購入する人が増えているのか。

ここからは仮説だが、平均的な予算(2018年は131.3万円)で買えるハイブリッドミニバンの種類と数が増えたから、というのが有力な説だ。

新車時価格が比較的安いハッチバックのHVで考えると、予算100万円を超える物件ではお得感がやや薄い。

近ごろ人気のクロカン/SUVは、まだ予算130万円で狙える物件は少ない。

つまり、新車時価格が高かったにも関わらず予算圏内で選択肢が増え始めたハイブリッドミニバンは、お得感をたっぷり味わえるターゲットとしてキラキラ輝いて見えている可能性が高いのだ。

仮にこの仮説が正しかったとしたら、新車時価格の高いクロカン/SUVやスポーツカー、輸入車、高級セダンなども、平均購入予算圏内でHVの種類と量が増えれば、中古車のニーズは軽自動車を主とするガソリン車からシフトすることも十分に考えられる。

そうなれば、長らく続く軽自動車の一強時代から、HVを軸にした多様なボディタイプへと、中古車選びのトレンドも大きく変化していくに違いない。
 

もうすぐ予算130万円圏内に来そうな中古ハイブリッド車3選

1:トヨタ シエンタ(現行型)

▲トヨタの最小ミニバン。2015年7月に登場した現行型はHVも設定されている。中古HVの最安値帯は総額160万円前後。3列目シートを畳んでワゴン的に使えるのも◎ ▲トヨタの最小ミニバン。2015年7月に登場した現行型はHVも設定されている。中古HVの最安値帯は総額160万円前後。3列目シートを畳んでワゴン的に使えるのも◎
 

2:ホンダ ヴェゼル(現行型)

▲SUVのHVでは中古車流通量が最も多いヴェゼル。今年に入り相場の下落スピードが加速し、最安値帯が総額160万円前後まで下がってきた。数は少ないが4WD車も選べる ▲SUVのHVでは中古車流通量が最も多いヴェゼル。今年に入り相場の下落スピードが加速し、最安値帯が総額160万円前後まで下がってきた。数は少ないが4WD車も選べる
 

3:日産 ノートe-POWER NISMO(現行型)

▲スポーツ色の濃いHVならノート e-POWERのNISMO に注目。最安値帯は総額200万円の水準だが、スポーツHV自体レアなジャンルゆえ相場下落をじっくり待つ価値はある ▲スポーツ色の濃いHVならノート e-POWERのNISMO に注目。最安値帯は総額200万円の水準だが、スポーツHV自体レアなジャンルゆえ相場下落をじっくり待つ価値はある
 
文/編集部
写真/トヨタ、ホンダ、日産