1000万円オーバーの国産車がまた1台増えます。1100万円(税込)のレクサス LX。世界初の量産FCV「MIRAI」でさえ723万6000円(税込)であることを考えると、実に贅沢なSUVです。ランドクルーザー 200でもなかなか手が届かない存在ですが、これは気になりますね。では、1週間夏休みをいただいていた「今週の車ニュース斜め読み」いってみましょう。

インフラ

■ついに電気自動車のノンストップ走行が可能に?(8月20日|産経ニュース発)

『電気自動車(EV)は大きな可能性を秘めているが、充電時間の長さが導入の障害になっている場合が多い。最も速いDC急速充電器でも、再充電には30分近くかかる。そんなに長く待てないというドライヴァーたちへの回答になるかもしれない方法の実験が、英国で開始されようとしている。走行中の自動車に給電できる道路だ。

英国政府は8月11日(現地時間)、「Electric Highways」の実験を開始すると発表した。現在は、試験道路システムを開発したい業者に入札を求めている。18カ月のトライアルを経た後、イギリス国内の道路で、実際の設置実験も行われる予定だ』

走行中に充電できる。EVオーナーとオーナー予備軍にとっては朗報ですね。しかし、これはインフラ側だけの話ではないのです。

走行中に充電できるようになると、EVに積まなければならないバッテリーを減らせる可能性があります。バッテリーが小さくなると、EVの価格がお安くなる、車体が軽くなってさらに電費が伸びる、室内空間が広がるといったメリットがあります。つまり波及効果が大きいのですね。高速道路と言わず、一般の道路にも電線が埋設されることを期待しちゃいますね。

▲ちなみに非接触充電そのものはスマホをはじめ、広く実用化されている技術なので実現の可能性は低くなさそうです ▲ちなみに非接触充電そのものはスマホをはじめ、広く実用化されている技術なので実現の可能性は低くなさそうです

ニューモデル

■日本最高峰のSUVが再発進(8月20日|朝日新聞DIGIAL発)

『トヨタ自動車は20日、高級車ブランド、レクサスの新型車として、大型SUV「LX」を9月14日に発売すると発表した。消費税込み1100万円の高級車で、国内のレクサスで初の3列シート。これまで米国や中近東など海外限定だったが、日本にも投入する』

世界中で一目置かれている日本車の代表格といえば、実はランドクルーザーなのです。60年以上の歴史をもち、日本車の海外進出の布石を作ったとも言われるほどです。そのランドクルーザーのレクサス版がLX。海外で不振にあえいでいたレクサスにあっても、このLX人気は別格でした。

そのLXが再び日本に凱旋します。再びというのは、ランドクルーザー100系ベースのLXが日本名「ランドクルーザーシグナス」として国内販売されていたことがあるのです。シグナスをカーセンサーで検索すると74台あり、中古車平均価格は約263万円(2015年8月21日現在)。生産終了してから約8年が経つのですが、高い人気を誇ります。1000万円オーバーとはいえ、レクサス LXも人気車種になるのは間違いないでしょう。

▲スピンドルグリルによるフロントマスクの押し出し感は圧巻です。唯一無二の迫力をもったSUVですね ▲スピンドルグリルによるフロントマスクの押し出し感は圧巻です。唯一無二の迫力をもったSUVですね

ニューモデル

■大河原邦男さんデザインのEVが実現?(8月21日|IT media発)

『「機動戦士ガンダム」に登場するモビルスーツのデザインなどで知られるメカニックデザイナー・大河原邦男さん。クラウドファンディングサイト「Nextwaves」で、大河原さんがデザインした電気自動車「エクスマキナ」のアニメ化プロジェクトが始動、サポーターを募集している。目標金額は800万円で、期限は9月30日まで。

エクスマキナは、もともとは独自の電気自動車ブランドを確立し、新潟県の自動車やIT関連の部品を製造する地域産業を活性化することを目的に制作がスタート。ただ走るだけではなく、アームが付いていたり、コンテナが合体したりと、まるでアニメに出てくるような機能も搭載する。フォー・リンク・システムズで開発・制作しており、約2年後、公道走行の認可が下りた後に一般販売される予定』

電気自動車が普及すると、自動車製造業への新規参入が増えると言われてきました。そんな一例が、大河原邦男さんデザインのEV。面白いのは、実車とアニメというクロスメディアな取り組みが行われる可能性があるということ。アニメから飛び出してきたかのようなEVが公道を走り、自分が実際に乗っているEVがアニメドラマや劇中で活躍するかもしれないのです。

これ、面白いですよね。EVというハードウェアではなく、ソフトェアとして海外へ出て行く可能性もあります。新なるクールジャパンの芽生えを予感させます。

▲単なるEVではありません。大河原邦男さんデザインのクールな内外装に加え、コンテナが合体するといったギミックが搭載されるかもしれません ▲単なるEVではありません。大河原邦男さんデザインのクールな内外装に加え、コンテナが合体するといったギミックが搭載されるかもしれません

カルチャー

■戦艦、城、刀剣の次は車! レーシング娘。始まる(8月19日|GAME Watch発)

『DMMゲームズは、ブラウザ/Android/iOS用愛車擬人化&シミュレーター「レーシング娘。」の事前登録を8月19日より開始した。9月下旬配信予定。Android/iOS版が10月下旬配信予定。利用料金は無料で、ビジネスモデルはアイテム課金制。「レーシング娘。」は、プレーヤーがレーシングチームの監督となり、ゲームに登場する“R娘。”たちをレースに派遣したり、スポンサーから依頼される様々な依頼をこなしたり、様々なミッションをクリアしながらチームを運営していくシミュレーションゲーム』

戦艦や刀剣でさえ萌えキャラになる時代なのですから、車版もあって当然。車を擬人化したソーシャルゲームはありましたが、今度はブラウザゲームで登場です。気になるのは、設定に地味なリアリティがあること。モータースポーツがベースの展開ですと速さを競うことに主眼が置かれがちですが、なんと「スポンサーから依頼される様々な依頼をこなしたり……」とあります。スポンサー抜きにしてモータースポーツ活動を継続するのは困難な時代、ゲームプレイヤーはその辛酸さえリアルに味わえることになるのでしょうか。これは試してみたいですね。

▲ゲームに登場するR娘は総勢40名以上がいて、それぞれカスタマイズできるだけでなく、ワックスがけで「愛でる」こともできるのだとか…マジ!? ▲ゲームに登場するR娘は総勢40名以上がいて、それぞれカスタマイズできるだけでなく、ワックスがけで「愛でる」こともできるのだとか……マジ!?

まとめ

今週のニュースの一部を強引にまとめますと、ゲーム設定中の萌えキャラをモチーフにしたEVが発売されて、給電道路の上をノンストップで走り続ける日が来るかもしれない……となるのでしょうか。そんな長閑(のどか)で平和なニッポン、嫌いじゃありません!

今週も最後までお付き合いいただきありがとうございました。

text/ブンタ
photo/KAIST、トヨタ自動車、エクスマキナプロジェクトチーム、DMM