日産が「先進技術説明会&試乗会2012」を開催し、「安全」「環境」「ダイナミックパフォーマンス」「ライフオンボード」という日産の掲げる「4つの柱」に関係する様々な先進技術を紹介した。

安全技術においては、1995年時と比べ、2015年に死亡・重傷者数を半減、2020年にはさらにそれを半減することを目指している(ちなみに2015年の目標はすでに2009年時点で達成済み)。追突を防ぐ緊急自動ブレーキは既にスバルの「EyeSight」などの市販車に搭載されているが、日産は飛び出しなどによってブレーキでは避けきれない事故を自動操舵で対応する「緊急操舵回避支援システム」を開発。その実用化を進めている。

環境技術では、まず2~3.5L車用の新世代エクストロニックCVTを開発し、燃費を改善。ハイブリッドカーには、1モーター2クラッチとCVTを組み合わせたFF車用ハイブリッドシステムを開発した。EVではワイヤレス充電システムの機能性向上や、EVパワーステーション「LEAF to Home」の導入促進など、普及率を高める試みが行われている。商用車「e-NV200」も市販化の準備が進められている。

ダイナミックパフォーマンスでは、操舵系を完全電子制御化した次世代技術を公開。今後1年以内に商品化される予定だ。よりクイックなハンドリングが味わえるほか、細かな路面の凹凸や傾斜、突風でハンドルを取られないようセッティングされている。安全性の向上やドライブ時の疲労軽減にもつながりそうだ。

減速や制動をエンジンブレーキがアシストする「アクティブ・エンジン・ブレーキ」も公開された。カーブへオーバースピードで進入したとき、電子制御によって自動的に減速。信号などで停止するときも、ブレーキの踏み増しを抑制してくれる。CVTのギヤ比を調節してエンジンブレーキをかけるため、意識しないと気付かないほどなめらかだ。

ライフオンボードでは、体の胸部や骨盤部をしっかり支え、乗車時の疲労を少なくする「スパイナルサポート機能付きコンフォタブルシート」を前席、後席用に開発。さらに、すでにフーガやノートに搭載されている、人の持つ「触感」の仕組みを科学的に研究して作られた新素材についても紹介された。

電子制御化された次世代ステアリングシステム。電気信号は複数のECUが相互に作動状況を監視。「いざ」というときはクラッチが機械的につながり安全性には支障なし

電子制御化された次世代ステアリングシステム。電気信号は複数のECUが相互に作動状況を監視。「いざ」というときはクラッチが機械的につながり安全性には支障なし

1モーター2クラッチのハイブリッドシステム。エンジンとモーターの間、モーターとCVTの間にクラッチが設置され、パワフルさと燃費向上を両立させる

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開発が進められているEV用の非接触型ワイヤレス充電システム。駐車位置のズレは10cmまで許容。アラウンドビューモニターの「アドバンストパーキングアシスト」機能を生かせば自動的に駐車できる

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