世界中の車マニアが絶賛するカテゴリー「軽スポーツ」! ダイハツ コペンのエッジが効いた驚きの世界!
2022/10/30
好みや個性を発揮した200台のコペンが集合
そもそも軽自動車はエッジが効いている。なんてったって日本専売。世界に類を見ないカテゴリーで、今では世界中のA&Bセグメントが束になってかかっても太刀打ちできないほど独自の進化を果たした。ただでさえユニークな軽カー界では実際に軽クロカンや軽トラのように世界が注目するモデルもある。
中でも軽のスポーツカーは世界中の車マニアが絶賛するカテゴリーだ。安価で高性能、小さくてユニークなデザインに、どうにかして輸入できないかと画策するマニアも多い。1990年代のABC3兄弟(マツダ AZ-1、ホンダ ビート、スズキ カプチーノ)はあまりに有名で、スズキ ジムニーと並んで世界が注目するモデルたちだった。
21世紀になってから登場したダイハツ コペンは、できるだけ長期にわたって無理なく生産でき、アフォーダブルな価格で提供できるように企画されたという点で、ABC3兄弟のようなバブル期の商品企画とは一線を画す存在だ。デビュー後、今年で2世代20年。立派に根付いた唯一の軽スポーツカーであった。
そんなコペンの20周年を記念して熱心なオーナーたちが独自のイベントを企画した。コペン20周年記念『Copen Geek Meeting in SUZUKA Circuit』だ。
9月下旬、鈴鹿サーキットのGPスクエアに集まった新旧(88型と40型)コペンはなんと200台。面白かったのはほとんどすべての個体がなんらかのカスタマイズを受けていたということ。旧型の88型に至ってはフルノーマルわずかに1台。なるほどコペン人気の源泉はそこにあるというわけだ。
実際、現行型の40型はメーカーが「ドレスフォーメーション」というコンセプトを打ち出し、話題をさらった。これはコペンには4種類のモデル(セロ、ローブ、Xプレイ、GR)があって、そのうちセロとローブのボディパネルをすべて、または一部をディーラーにて交換できるというもの。ボディの着せ替えは車好き長年の夢の一つだった。
着せ替えができるということはつまり、ボディパネルの脱着が比較的簡単だということ。それを逆手にとって、サードパティが続々と誕生し、自分好みのドレスフォーメーションを実施するユーザーがコペン人気の中核を支えているのだと思う。
会場を見て回っても、あまりに多くのドレスアップコンセプトに驚いた。普通は一つのスポーツモデルに対して、あってせいぜい2、3種類のコンセプトパターンだろう。けれどもコペンベースは奥深く、レーシーなものからハイリフト、クラシック、モダン、チューニングカー風など、ありとあらゆるジャンルが存在した。皆、自分の好みや個性を発揮している。なるほどコペンは思い思いの絵を描いて走るカンバスといった存在だ。
とはいえ、コペンの魅力のベースには、やはり車としての性能の良さがあるのだと思う。大量生産モデルをベースにしつつも専用のエンジニアリングが施されたことで、普通の乗用軽自動車とは全く違う乗り味を実現している。筆者は先代の88型の大ファンで、特に最終型のモデルは真剣に買いたいと思ったほど、軽自動車離れしたパフォーマンスとデザインに惚れていた。
鈴鹿のイベントに参加するためにトヨタからコペン GR スポーツの広報車を借り受けたのだが、これがまた良かった。東京から鈴鹿までなんのストレスもなく走っていける。新東名の120km/h区間でもちゃんと流れに乗っていけるし、何より安定感があって、とてもじゃないけれど軽自動車をドライブしているとは思えない。途中で前が見えなくなるほどのゲリラ豪雨にも遭遇したけれど、車そのものの安定感は上々で、問題なく走り抜けた。
コペン GR スポーツには、昔の車好きの三種の神器が装備されている。MOMOとレカロとBBSだ。比較的シンプルなモデルゆえ、この手のパーツが機能的に働いている可能性も大きい。例えば、ドライブしていると小さい車であることをさほど感じないのは、レカロのホールド性がいいからで、視線がぶれないため、さほど広くない居住区間を狭いと感じないのだ。
昔から小さな車が好きな筆者にとってこの手のミニマム&スペシャルなモデルは、仕事がら高性能スポーツカーや最高級サルーンに慣れ親しんだ身体に対するリハビリテーションとしても有効な存在でもあった。
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ダイハツ コペン(初代) × 全国▼検索条件
ダイハツ コペン 2代目(現行型)× 全国自動車評論家
西川淳
大学で機械工学を学んだ後、リクルートに入社。カーセンサー関東版副編集長を経てフリーランスへ。現在は京都を本拠に、車趣味を追求し続ける自動車評論家。カーセンサーEDGEにも多くの寄稿がある。