▲「Honda エコ マイレッジ チャレンジ」は思い思いのマシンを製作して低燃費記録を目指すレースですが、参加者のスタンスは十人十色。空力を無視した「むき出しボディ」の2人は、なんだかとても楽しそう ▲「Honda エコ マイレッジ チャレンジ」は思い思いのマシンを製作して低燃費記録を目指すレースですが、参加者のスタンスは十人十色。空力を無視した「むき出しボディ」の2人は、なんだかとても楽しそう

ホンダから渡されるのは、わずかなガソリンだけ

2014年9月28日(日)にツインリンクもてぎで行われた「Honda エコ マイレッジ チャレンジ」は、30年以上続く低燃費競走。ルールはシンプルで、ホンダ製の4ストロークエンジンを使用して車両を製作すること。50cc未満のクラスと、50cc~150cc未満のクラスで燃費走行を競います。参加者は創意工夫を凝らしてマシンを製作します。軽量フレームに流線型のボディを乗せて、レースではなるべくアクセルを「開けないで」走るのがセオリーです。

ホンダからのメッセージは「君はガソリン1リットルで日本一周できるか?」という挑戦的なもの。ですが実際に日本を一周するわけではありません。一周およそ2.4kmあるオーバルコースを7周(合計16.9km)して、消費した燃料を計測。例えば100cc消費していれば、燃費は169km/L、という具合です。

ちなみに過去最高の低燃費記録は3644.869km/L。日本一周とまでは行きませんが、日本縦断(約3200km)なら余裕でクリアできてます!

とあるチームの監督さんは「マシンの製作が5割、当日の天候が3割、ドライバーの腕が2割」とおっしゃっていました。同じカブのエンジンを使っていても、ピストンの形状やクラッチのつながり具合ひとつでずいぶん燃費に影響するようです。実験して、計測して、検証して、改良するの繰り返しでマシンを仕上げていくそう。

マシンの性能を磨いても、雨が降ったり、気温が上がったりすると燃費はガタ落ちだそうです。特に気温の上昇は燃料密度を下げてしまい、好記録が望めなくなります。また、マシンや天候が万全でも、ドライバーがブレーキをかけてしまえばすべてがパーに。減速を防ぐライン取りと、他車をうまくかわすアクセルワークが大切なのです。

この大会はもちろん大真面目で社会的意義の高いレースなのですが、参加者が皆、陽気であることも特徴です。学生も大人も、すてきな笑顔でレースに参加していました。

▲こんな容器に入ったガソリンが配られます。使用前と使用後の重さを厳密に測ります ▲こんな容器に入ったガソリンが配られます。使用前と使用後の重さを厳密に測ります
▲中学生から社会人まで、全389チームがエントリー。100チームあまりが、そもそも始動できなかったり、途中で止まってしまったり、タイムオーバーなどでリタイヤとなりました。平均速度25km/hを下回ってはいけない決まりです ▲中学生から社会人まで、全389チームがエントリー。100チームあまりが、そもそも始動できなかったり、途中で止まってしまったり、タイムオーバーなどでリタイヤとなりました。平均速度25km/hを下回ってはいけない決まりです
▲50cc~150cc未満のクラスで優勝を飾ったチーム「PANJAVIDHYA」。遠路はるばるタイから初参戦! 車輪がボディの中に収められ、流線型のボディは高価なカーボン製。ガチな燃費特化仕様です ▲50cc~150cc未満のクラスで優勝を飾ったチーム「PANJAVIDHYA」。遠路はるばるタイから初参戦! 車輪がボディの中に収められ、流線型のボディは高価なカーボン製。ガチな燃費特化仕様です
▲こちらは「50cc市販二輪車」部門に出走するマシン。そば屋の出前でよく見るスーパーカブです。ドライバーの東京電機大学の学生さんにライディングポーズをとってもらいました。なるべく空気抵抗を減らすための姿勢のようです ▲こちらは「50cc市販二輪車」部門に出走するマシン。そば屋の出前でよく見るスーパーカブです。ドライバーの東京電機大学の学生さんにライディングポーズをとってもらいました。なるべく空気抵抗を減らすための姿勢のようです
▲とっても穏やかなレースですが、ごくまれにクラッシュも。最終コーナーの立ち上がりにある「周回路」と「ゴール」の分岐表示板に衝突してしまったマシン。ドライバーが無事でなによりでした ▲とっても穏やかなレースですが、ごくまれにクラッシュも。最終コーナーの立ち上がりにある「周回路」と「ゴール」の分岐表示板に衝突してしまったマシン。ドライバーが無事でなによりでした
▲空力を意識していないチームもちらほら。こちらは車輪の連結棒までちゃんと回ってます(笑) ▲空力を意識していないチームもちらほら。こちらは車輪の連結棒までちゃんと回ってます(笑)
▲総合優勝は社会人チーム「水曜クラブ」。記録は2503.332km/L。燃料消費量は6.550ccでした。参加された皆さん、お疲れさまでした! また来年に向けて頑張りましょう! ▲総合優勝は社会人チーム「水曜クラブ」。記録は2503.332km/L。燃料消費量は6.550ccでした。参加された皆さん、お疲れさまでした! また来年に向けて頑張りましょう!
text/松井良幸(編集部)