トヨタハイラックスサーフ

【連載:どんなクルマと、どんな時間を。】
車の数だけ存在する「車を囲むオーナーのドラマ」を紹介するインタビュー連載。あなたは、どんなクルマと、どんな時間を?
 

湘南移住を機に訪れたサーフとの出会い

「自然の中で友達と料理したり酒飲んだりっていうのがキャンプの楽しみ」と語る井垣さん。都内在住中は友人たち3人とハイエースをシェアして、それぞれのキャンプ道具を積み込み、いつでもキャンプに出かけられるようにしていたという。
 

トヨタハイラックスサーフ

その友人たちは中古マンションのリノベーションと販売を手がける仕事仲間。内装の設計を手がける井垣さんがスキルを生かしてオリジナルの収納を設計し、みんなで荷室に組み付けたり、取引先の作業場を借りてボディの塗装をしたりと手をかけ、キャンプ仕様のハイエースに仕上げた。
 

トヨタハイラックスサーフ▲以前シェアしていたハイエース(写真は井垣さん提供)

そんな井垣さんは2年半ほど前、都内から奥さんの実家近くの江の島に転居したのを機に、夫婦でマイカー探しをすることになった。

まず探し始めたのは、奥さんがどこかで見かけて気に入ったという初代日産 テラノだ。井垣さんも「もともとジープ チェロキーの古いものとか、四角いSUV系が好きだった」そうで夫婦の意見は一致したものの、ただでさえ流通台数が少ないうえに、奥さんはAT限定免許ということもあって断念。

次なる目標として“テラノ的な”ちょっと古い四角いSUVに狙いを定め、ランクルなどを物色していたところたまたま出合ったのが、この3代目ハイラックスサーフ(以降サーフ)だ。
 

トヨタハイラックスサーフ▲オールペンで仕上げたボディカラーは、スバル XVの純正カラーからサンプリングしたそう
トヨタハイラックスサーフ

「ランクルの形を気に入って実際見に行ってみると、ちょっと大きすぎて。それまでサーフは知らなかったんですけど、いろいろ見てるうちに3代目のN185がよさそうだねっていうことでお店に探してもらうことにしました」

N185の中でも顔が好みの前期型に絞って何台か見ていたところ、グレー内装がほどんどの中でベージュ内装の個体を気に入り、ベース車両として購入。夫婦で相談しながら好みのボディカラーにオールペンするなど、すっきり洒落た佇まいに仕上げた。その仕上がりは、かつて一緒にハイエースをシェアしていた友人が「だいぶイイのにいって悔しかった(笑)」とうらやむほどだ。
 

トヨタハイラックスサーフ▲井垣さんご夫婦が惚れ込んだというベージュの内装。純正のフロアマットもレトロなカラーで可愛らしい
トヨタハイラックスサーフ▲ボディは2インチアップ。足元にはフェンダーモールとオールテレーンタイヤを装着

燃料は夫婦の愛情! ふたりを乗せて今日もジムへと走る

夫婦で意見が割れたりしなかったんですか? と聞くと、「そうですね。今のマンションを買うときもそんな感じで、妻がよさそうっていう物件を見つけて、相談しながらリノベーションしたので、同じような感じです」という。そもそもお互いの好みや条件が近いこともあるのだろうが、柔軟性をもって理想の共有財産を作り上げることができる関係は素敵だ。

奥さんはふたり好みに仕上げたサーフを「コンパクトで運転しやすいし、もう手放したくない」というほどいとおしんでいるそう。まさに愛車となったサーフは、日頃の買い物や夫婦でのジム通い、キャンプやゴルフにと活躍している。
 

トヨタハイラックスサーフ▲サーフの広々とした荷室は、キャンプギアやゴルフバッグを積んでもまだ余裕あり

江の島に住んでいるというと、ほとんどの人に「サーフィン?」と聞かれるそうだが、じつは引っ越して来てから海に足を漬けたことすらないという。

「こんな車だし、なおさらサーフィン始めないとねって妻と話してます」

モノもコトも柔軟に変化させながら生きていくのが、井垣さん夫妻らしさなのかもしれない。
 

トヨタハイラックスサーフ

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トヨタ ハイラックスサーフ×全国
文/竹井あきら、写真/尾形和美
トヨタ ヴィッツ

井垣さんのマイカーレビュー

トヨタ ハイラックスサーフ

●購入金額/280万円(オールペン、オールテレーンタイヤ、モール類のカスタム込み)
●年式/1998年 3代目ハイラックスサーフ(N185前期型)
●年間走行距離/1万km
●マイカーの好きなところ/ボディカラー(スバル XVの人気色「デザートカーキ」)と、純正のベージュ内装
●マイカーの愛すべきダメなところ/計器やスイッチ類が簡素でレトロ……でもそれも好き
●マイカーはどんな人にオススメしたい?/コンパクトで運転しやすい車が欲しい人に

竹井あきら

ライター

竹井あきら

自動車専門誌『NAVI』編集記者を経て独立。雑誌や広告などの編集・執筆・企画を手がける。プジョー 306カブリオレを手放してからしばらく車を所有していなかったが、2021年春にプジョー 208 スタイルのMTを購入。近年は1馬力(乗馬)にも夢中。