スズキ ジムニー

【連載:どんなクルマと、どんな時間を。】
車の数だけ存在する「車を囲むオーナーのドラマ」を紹介するインタビュー連載。あなたは、どんなクルマと、どんな時間を?
 

MTの次はエンジン交換? そして目指せ40万km!

2024年4月20日(土)、富士山の麓にある富士山パーキングで開催された『JTP(ジャパン峠プロジェクト)ミーティング』。イベントのタイトルからわかるように、全国の峠を楽しむ人たちが集まるイベントだ。

峠を楽しむイベントだけに会場にはスポーツカーがたくさん集まっていたが、よく見るとSUVで参加している人もいる。その中でも目立っていたのが、先代のJB23型ジムニーに乗る大塚祐樹さんだ。
 

スズキ ジムニー

「僕も昔はインプレッサのGDBのA型(第2世代前期型のSTI)に乗っていたんですよ。当時はよく峠に走りに行っていました。そして各地の峠ステッカーを集めるようになってから地方の峠にも足を運ぶようになったんです」
 

スズキ ジムニー

大塚さんが峠以外にもうひとつ楽しんでいたのがキャンプ。SUVを愛車に選んだのもキャンプを存分に楽しむためだった。でも車を走らせる楽しみも捨てたくない。そう考えて選んだのがジムニーだった。

「新しい車を探すうえで絶対に妥協したくなかったのが、FRであること。そしてMT+ターボということでした。この条件でSUVを探すと、ジムニーがベストチョイスなんですよ。ジムニーはパートタイム4WDなので普段はFRらしい走りを味わえるし、MTの中古車もたくさんありますから」

もちろん瞬発力などはインプレッサWRX STIには遠く及ばないが、実際に乗ってみるとJB23型ジムニーはスポーツカーに通じる走りを味わえたという。

「一番感じたのは足回りのセッティングです。最低地上高が高くて悪路走行を想定したリジッドアクスル式サスペンションなのに、思ったよりもふわふわせずにカッチリ感を楽しむことができました。実は現行型(JB64)にも試乗しましたが足はJB23よりも柔らかかったので、JB23の方が僕好みだったんです」
 

スズキ ジムニー▲タイヤは悪路走破性の高いR/Tタイヤ

インプレッサSTIを降りてからも、大塚さんは峠ステッカー収集で各地を旅することを続けている。そのため長距離を走っても身体への疲労を減らせるよう、ドライビングポジションの調整にはとことんこだわったそうだ。シートをスポーツシートに交換して、ハンドルの距離と高さを自分の体格に合わせて調整。3つのペダルの高さも自分好みに調整した。
 

スズキ ジムニー

大塚さんは群馬県在住だが、関西や東北方面にも車中泊をしながらこのジムニーで向かうという。そのときは高速道路をほとんど使わず、下道で行くそうだ。

「だって高速道路だとほとんど5速に入れっぱなしじゃないですか。僕はシフト操作を楽しみたくてMTを選んだのに、それじゃATと変わらないでしょう。一応ETCは付けていますが、高速道路を使うのはよほど急いでいるときくらいです」

このジムニーは2006年式の6型。生産から18年経過し、走行距離は17万kmに達した。ここまで走るとさすがに不具合が出てくるようになった。固さが好みだった足回りはだいぶヘタったので、JB64型の足回りを移植した。試乗時は自分には柔らかすぎるかなと感じていたが、あらためて乗ってみると、これはこれでアリだなと感じている。そして、つい先日はトランスミッションが故障。ここまでくるとさすがに車を買い替える人が多いが、大塚さんはトランスミッションを交換。その後は快調に走っている。
 

スズキ ジムニー

「ジムニーの魅力はとにかくパーツが豊富にあることです。だから壊れたからといって自分好みに仕上げたものを泣く泣く手放さくてもいいんですよね。足回り、トランスミッションときたから、次はエンジンかな(笑)。でも、気に入った車を直しながら乗り続けるのも楽しいものですよ」

キャンプに行くときはリアシートを格納し、ルーフラックを含めて荷物を満載にして出かける。スタイルはソロキャンプか、ソロの仲間が何人か集まって思い思いの時間を楽しむ感じだが、大塚さんは快適性を重視するため必然的に道具は多めになるという。
 

スズキ ジムニー▲ジムニーにもたくさんのステッカーが貼られている
スズキ ジムニー

スポーツカーを長く楽しんでいた人が何かのきっかけでスポーツカーから降りると、新しい車の走りに満足できず寂しさを覚えることも多いが大塚さんはまったくないという。

「ジムニーはスポーツカー的な感覚で楽しむことができるし、スポーツカーとは全く違うジムニーならではの良さも楽しんでいますから。例えば河川敷のキャンプ場だとスポーツカーじゃ入っていくことはできませんが、ジムニーならちゅうちょなく進むことができるし、雪道だって楽しい。ジムニーにしてから楽しみが広がった感じです」
 

スズキ ジムニー

大塚さんは今後もこのジムニーに乗り続けていくつもり。足回りとMTは交換したが、ボディは問題ないので40万km、50万kmと乗り続けられるんじゃないかなと話す。そうなると、軽く10年以上はこのジムニーと過ごすことになるだろう。行けるところまでとことん走り続けてほしい。
 

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スズキ ジムニー(JB23)×全国
文/高橋満、写真/尾形和美
ブルーバード

大塚祐樹さんのマイカーレビュー

スズキ ジムニー(JB23)

●年間走行距離/1万km
●マイカーの好きなところ/MTで走りが楽しい
●マイカーの愛すべきダメなところ/シフトが入りにくいところ
●マイカーはどんな人にオススメしたい?/MT操作でどんな道でも走りたい人
 

高橋満(たかはしみつる)

自動車ライター

高橋満(BRIDGE MAN)

求人誌編集部、カーセンサー編集部を経てエディター/ライターとして1999年に独立。独立後は自動車の他、音楽、アウトドアなどをテーマに執筆。得意としているのは人物インタビュー。著名人から一般の方まで、心の中に深く潜り込んでその人自身も気づいていなかった本音を引き出すことを心がけている。愛車はフィアット500C by DIESELとスズキ ジムニー