激安メルセデス・ベンツ Vクラスを自分らしくカスタム! 旅を楽しむ野遊び賢人のバンライフ
2023/06/01
車の数だけ存在する「車を囲むオーナーのドラマ」を紹介するインタビュー連載。あなたは、どんなクルマと、どんな時間を?
積んで寝られる“ハコグルマ”を自分仕様に
生活や遊びの中で、できることは何でも自分の手でやってきたという木村泰河さん。まきを割り、山を走り、湖で遊び、二輪や四輪をイジる生活は、自然が好きな父の代から河口湖に拠点を構える木村家にとって、ごく自然なことなのだという。
「車に求める条件は自転車やカヌーを積めて、中で寝られること。トランスポーターと車中泊の機能を兼ね備えていればベストです。それもなるべくリーズナブルに抑えて、足りない部分はDIYでなんとかする。その過程さえも楽しみたいんです」
昨年、それまで乗っていた古い国産ステーションワゴンから買い替えることになり、日産 キャラバンやマツダ ボンゴなどの中古車を探していたという。
「そんな中で見つけたのが、メルセデス・ベンツの初代Vクラス。これまでにも古い輸入車を所有したことはありますが、故障で痛い目に遭ってきたことから、当初は候補に入れていなかったんです」
それでもVクラスを選んだのは、ずばり「安さ」。
「2001年式で走行距離9万9000kmの中古車が19万円というのに引かれました」
25万円で理想の空間を構築
泰河さんが手に入れたVクラスは、前のオーナーによって車中泊仕様にカスタマイズされていたそう。それを自分のスタイルに合わせるため、内装の作り替えを行った。
「設計図を引き、床材を張り替え、棚板をスライドさせることで2人が寝られるサイズになるベッドを制作しました。」 天井などには防虫効果のあるヒノキを使いながら、随所に廃材を取り入れることで、カスタマイズ費用は25万円に抑えることができたそう。
「11万円したサブバッテリーを含んでいるので材料費は安いし、工具も自前。試行錯誤しながら作るのが楽しいんです」
安く抑えられたのは豊富なDIY経験のたまものであり、しゃれたログハウスのような室内空間を作り上げてしまうセンスは、自然の中で遊びながら磨き上げられてきたのだろう。
ちなみに泰河さんの父は、ファッションモデルを経て豊かなアウトドアライフを実践する木村東吉さん。フォードの大きなバンに乗っていて、全長467mm×全幅1890mm×全高1890mmのVクラスさえも、フォードと並ぶと小さく見えるほど。
多少の不便も含めてすべてがバンライフ
昨夏、泰河さんはカスタマイズしたVクラスで北上。青森からフェリーに乗って、北海道を旅した。
「旅をしながら自転車や登山の動画撮影もしてきました。そうした機材を使うこともあり、電気は欠かせません。Vクラスではそのあたりも考慮していて、ルーフには180Wのソーラーパネルを設置。晴れた日には割と充電できるし、それでも足りないときはキャンプ場に宿泊して電源を使わせてもらって賄いました」
古い車ゆえ、それなりに問題もあるそう。
「すでにフューエルポンプ、プラグ、マフラーを交換しています。エアコンも不調ですね。2.3Lの4気筒エンジンと4速ATの組み合わせで出足は重いですが、スピードが乗ってくるとドイツ車らしいしっかりした走りが楽しめます。直しながらゆるく楽しみたいですね」
思いどおりにならない自然の中で、ギアやスキルを駆使しながら楽しむのがアウトドア。
アイデアを駆使して理想の車を作り上げ、多少のトラブルも含めて旅を楽しむ泰河さんのライフスタイルにこそ、バンライフの真髄があるのではないだろうか。
木村さんのマイカーレビュー
メルセデス・ベンツ Vクラス(初代)
●購入金額/カスタム費用も入れて25万円
●年間走行距離/約2.4万km
●マイカーの好きなところ/走り出しは重いがスピードに乗ると気持ちいい
●マイカーの愛すべきダメなところ/トラブルの多さ
●マイカーはどんな人にオススメしたい?/トラブルを覚悟してでもドイツ車のしっかりとした作りを楽しみたい人
フリーエディター
櫻井 香
男性総合誌の編集者を経て、フリーランスに。雑誌メディアを中心に、カルチャー、アウトドア、ファッションなど、様々な企画を編集・執筆。これらのジャンルとクロスオーバーする形で車の楽しみ方を俯瞰し、非マニア層にもわかりやすい企画を得意とする。