履歴書▲履歴書には普通自動車免許を正式名称で書かなければいけないので、記載する前にはきちんと確認しておこう!

普通自動車免許は履歴書に書くことができる資格だが、記載時の正式名称で悩む人も少ないない。そこでこの記事では、普通自動車免許の正式名称や第一種と第二種といった区分の違いを解説。併せて普通自動車免許を取得したい人に向け、取得方法や手順も紹介しよう!
 

 

普通自動車免許とは?

普通自動車免許とは、国の法律に基づいた国家資格。いわゆる運転免許のひとつで、取得すれば日本の公道で普通自動車などを運転することが認められる。

普通自動車免許の区分

普通自動車免許には3つの区分がある。「第一種運転免許」と「第二種運転免許」、「仮運転免許」に分けられる。

■第一種運転免許
普通自動車などを、公道で運転するための免許。普通自動車免許と言った場合、第一種運転免許を指すのが一般的だ。

■第二種運転免許
営利目的でお客を乗せて運転するための免許。バスやタクシーといった旅客自動車の運転や、普通自動車の代行運転を行う場合には取得が求められる。

■仮運転免許
路上練習や試験を目的として公道で運転するための免許。普通自動車の第一種免許を取得しようとする場合は、普通自動車免許の仮免許を必ず取得しなければならない。

履歴書

普通自動車免許で運転できる車

普通自動車免許で運転できるのは3種類。普通自動車と小型特殊自動車、原動機付自転車だ。
 

普通自動車 車両総重量3.5t未満/最大積載量2t未満/乗車定員10人以下の自動車
小型特殊自動車 トラクターなど、全長4.7m以下×全幅1.7m以下×全高2.0m以下/最高速度15km/h以下の特殊な形状・用途の自動車(ヘッドガードなどの装置により2.0m超2.8m以下であるものを含む)
原動機付自転車 排気量50㏄以下/定格出力0.60kW以下の二輪自動車
普通自動車 車両総重量3.5t未満/最大積載量2t未満/乗車定員10人以下の自動車
小型特殊自動車 トラクターなど、全長4.7m以下×全幅1.7m以下×全高2.0m以下/最高速度15km/h以下の特殊な形状・用途の自動車(ヘッドガードなどの装置により2.0m超2.8m以下であるものを含む)
原動機付自転車 排気量50㏄以下/定格出力0.60kW以下の二輪自動車

なお、道路交通法の改正によって過去2回、普通自動車の条件が変更した。併せて普通自動車免許自体も見直されたため、2017年3月12日以前に取得した人は運転免許の種類自体が異なる。

間違いがないよう、現在の名称と運転できる車を改めて確認しておこう。
 

普通免許の取得日時 免許の俗称 運転できる車
2007年6月2日~
2017年3月11日
準中型5t限定免許 車両総重量5t未満/最大積載量3t未満/乗車定員10人以下の車までを運転可能
2007年6月1日以前 8t限定中型免許 車両総重量8t未満/最大積載量5t未満/乗車定員10人以下の車までを運転可能
普通免許の取得日時 免許の名称 運転できる車
2007年6月2日~
2017年3月11日
準中型5t限定免許 車両総重量5t未満/最大積載量3t未満/乗車定員10人以下の車までを運転可能
2007年6月1日以前 8t限定中型免許 車両総重量8t未満/最大積載量5t未満/乗車定員10人以下の車までを運転可能
 

普通自動車免許の正式名称

履歴書などに記載する、普通自動車免許の正式名称はそれぞれ下記のとおりだ。

・普通自動車第一種免許
・普通自動車第二種免許
・普通自動車仮免許


AT限定の場合は「普通自動車第一種免許(AT限定)」と補足する。ただ、履歴書に書く際にはMT免許が必要な職場でない場合は(AT限定)を省略しても構わない。なお、MT免許の場合は補足不要だ。
 

運転免許を記載した履歴書▲履歴書に運転免許を資格として書く際は、一番上に書くことが通例となっている

2017年3月11日以前に普通自動車免許を取得した人の場合

前述のとおり、普通自動車免許は2017年3月11日以前に取得した人は、運転免許が変更されているので注意が必要だ。もし普通自動車第一種免許と書くと、現行の普通自動車免許と混同される恐れがある。

取得日時点では普通自動車免許として取得しても、現在の正式名称で記載すること。下記を参考に、間違えないようにしてほしい。
 

普通免許の取得日時 免許の俗称 免許の正式名称
2007年6月2日~
2017年3月11日
準中型5t限定免許 準中型自動車第一種免許(5t限定)
2007年6月1日以前 8t限定中型免許 中型自動車第一種運転免許(8t限定)
普通免許の取得日時 免許の俗称 免許の正式名称
2007年6月2日~
2017年3月11日
準中型5t限定免許 準中型自動車第一種免許(5t限定)
2007年6月1日以前 8t限定中型免許 中型自動車第一種運転免許(8t限定)
 

普通自動車免許を取得するための条件

普通自動車免許を取得するには免許試験に受からなければならないが、そもそも前提となる条件を満たしている必要がある。

普通自動車第一種免許の条件

年齢:18歳以上
視力:両眼で0.7以上、左右それぞれで0.3以上(眼鏡など使用可)
色彩識別能力:赤色、青色、黄色の識別ができる
聴力:10mの距離で90dBの警音器の音が聞こえる(補聴器使用可)
運動能力:自動車の運転に支障を及ぼす身体障害がない。障害がある場合は義足などの補助手段によって運転に支障をきたさない
受験資格:普通運転仮免許の取得後、過去3ヵ月以内に5日以上運転の練習をしている

上記を満たしていても、認知症や統合失調症など一定の病気を抱えていたり、睡眠薬を常用していたりする人などは、普通自動車免許が取得できないケースがある。運転に支障をきたす症状や状態にある人は、各地域にある運転免許試験場の安全運転相談室に相談しよう。

普通自動車第二種免許の条件

年齢:21歳以上
視力:両眼で0.8以上、左右それぞれで0.5以上(眼鏡など使用可)
深視力:奥行知覚検査器による検査3回の平均誤差が2cm以下
色彩識別能力:赤色、青色、黄色の識別ができる
聴力:10mの距離で90dBの警音器の音が聞こえる(補聴器使用可)
運動能力:自動車の運転に支障を及ぼす身体障害がない。障害がある場合は義足などの補助手段によって運転に支障をきたさない
受験資格:普通自動車第一種運転の取得後3年以上が(免許停止期間除く)経過、または他の二種免許の保持

二種免許であっても色彩識別能力や聴力、運動能力は一種免許と同条件。しかし、深視力の条件が追加されたり、視力の条件が少し高めに設定されたりと、取得条件に違いはある。

なお、二種免許は2022年5月13日より取得年齢が見直された。「受験資格特例教習」を修了した場合、「普通免許の取得後1年以上」であれば19歳でも取得可能になった。

ただし、本来の取得年齢である21歳までの「若年運転者期間」に一定以上の違反をしたら、若年運転者講習を受講しなければならない。さらに講習への不参加や、講習後に一定以上の違反が再度あった場合は、取得した免許が取り消される。
 

 

普通自動車免許を取得する3つの方法

普通自動車免許の取得には、運転免許試験に合格しなければならない。そのための方法は、大きく3つに分けられる。それぞれの特徴を踏まえて、最も自分に合った取得方法を選ぼう。

【方法1】指定自動車教習所への通学
【方法2】指定自動車教習所での合宿
【方法3】一発試験


【方法1】指定自動車教習所への通学

自動車教習所には、都道府県の公安委員会に指定された「指定自動車教習所」と、都道府県の公安委員会に届け出をした「届出自動車教習所」がある。普通自動車免許を取得する際に利用するのは指定自動車教習所で、主な特徴は下記のとおりだ。
 

教習所の種類 メリット デメリット
指定教習所 ■仮免許を教習所で取得可能
■卒業すれば運転免許試験場での技能試験が免除
■1日に受けられる技能教習が2~3時限
■教習料金が届出自動車教習所より高い傾向にある
届出教習所 ■学科教習が必須ではなく、技能教習のみで卒業可能
■1日に受けられる技能教習に制限なし
■教習料金が指定自動車教習所より安い傾向にある
■仮免許を教習所で取得できない
■卒業しても運転免許試験場での技能試験が免除されない
教習所の種類 メリット デメリット
指定教習所 ■仮免許を教習所で取得可能
■卒業すれば運転免許試験場での技能試験が免除
■1日に受けられる技能教習が2~3時限
■教習料金が届出自動車教習所より高い傾向にある
届出教習所 ■学科教習が必須ではなく、技能教習のみで卒業可能
■1日に受けられる技能教習に制限なし
■教習料金が指定自動車教習所より安い傾向にある
■仮免許を教習所で取得できない
■卒業しても運転免許試験場での技能試験が免除されない

指定自動車教習所に通うメリットは、プロの教官に時間をかけて教えてもらえること。卒業すれば運転免許試験場での技能試験が免除されることも利点だ。

指定自動車教習所でも一発試験でも試験に合格する必要があるが、見知った教習所で技能試験を受けられるので、安心して試験に挑めるのもありがたいだろう。

対するデメリットは、指定自動車教習所で合宿した場合と比べて、卒業までに時間を要すること。また、入学に相応の費用が必要なこともネックだ。
 

教習所の技能講習▲学校や仕事をしながらでも免許が取得しやすいのも、指定自動車教習所に通うポイント!

【方法2】指定自動車教習所での合宿

指定自動車教習所での合宿は、卒業までの期間が短いことが特徴。教習所に泊まり込んで、運転免許取得のための教習を集中的に受ける。「合宿免許」と呼ばれることもある。

メリットは教習所に通うよりも早く卒業できること。教習所に通学するより費用が安い傾向にあるのも見逃せない。デメリットは、合宿に参加するための日数を確保する必要があることと、技能や知識を短期間で習得しなければならないことだ。

【方法3】一発試験

一発試験とは、運転免許取得に必要な試験をすべて運転免許試験場で直接受験する方法。一発免許や、飛び込み試験などとも呼ばれる。

メリットは、指定自動車教習所への通学や合宿と比べて費用を抑えられること。デメリットは、運転免許取得までのハードルが他の方法より高いことだ。試験に受からず、何度も受験することになれば、高くつくこともある。なお、届出自動車教習所を利用して一発試験を受けた場合も同様のメリット・デメリットが挙げられる。
 

 

普通自動車免許取得の手順・進め方

普通自動車免許を取得する手順は大きく2つ。前述の方法1と方法2に該当する「指定自動車教習所を利用する場合」と、方法3に該当する「一発試験を利用する場合」に分けられる。

自動車教習所や地域によって詳細が異なることもあるが、東京都で普通自動車一種免許を取得する際の手順を下記にそれぞれ挙げておく。参考にしてみてほしい。

指定自動車教習所を利用した場合の流れ

1.教習所に入校する
教習所の入校受付を済ませる。その後にオリエンテーションを受ける。

2. オリエンテーション・適性検査を受ける
教習所内でオリエンテーションを受ける。適性検査では免許取得の条件を満たしているか確かめる。また、自分が運転に適した性格かどうかを判断する「運転適性検査」も受けるが、結果が悪くても免許の取得には関係がない。

3.第一段階教習を受講する
技能教習と学科教習がある。学科は10時限、技能は最短でMT免許なら15時限、AT車なら12時限を受講する。自動二輪免許を保持している場合は学科が免除され、技能はMT・AT問わず2時限短縮される。学科をすべて受講したら、仮免前学科効果測定を受ける。

4.修了検定・仮免学科試験で合格する
教習所所内で、技能の修了検定と仮免学科試験を受ける。試験に受からなかった場合は、再試験手数料を払って受かるまで受験しなければならない。

5.仮免許が交付される
技能の修了検定と仮免学科試験の両方が受かったら、普通自動車仮免許が交付される。

6.第二段階教習を受講する
技能教習と学科教習がある。学科は16時限、技能は最短で19時限を受講する。自動二輪免許を保持している場合は学科が2時限、技能は通常と同様に19時限を受講しなければならない。学科をすべて受講したら、卒検前学科効果測定を受ける。

7.卒業技能検定に合格する(教習所を卒業)
卒業技能検定を受ける。一般的には教習所付近の公道などを走行し、減点方式で採点される。一定点以上の点数であれば合格となり、教習所は卒業となる。

8.運転免許試験場で学科試験・適性検査に合格する
運転免許試験場で学科試験・適性検査を受ける。教習所を卒業してから1年以内に合格しなければならない。

9.運転免許証が交付される
学科試験・適性検査に受かったら、当日に運転免許試験場で免許証が交付される。

教習所の卒業技能検定▲指定自動車教習所を利用した方が一発試験よりスムーズに取得しやすいのでオススメだ!

一発試験を利用する流れ

1.運転免許試験場で適性試験を受ける
運転免許試験場で適性検査を受け、免許取得の条件を満たしていればクリアとなる。

2.仮免学科試験に合格する
運転免許試験場で仮免学科試験を受ける。不合格の場合は再度受験する。

3.仮免技能試験に合格する
仮免学科試験の合格者は運転免許試験場で予約をして、仮免技能試験を受ける。

4.仮免許が交付される
仮免技能試験に受かったら、普通自動車仮免許が交付される。なお、仮免許の有効期間は6ヵ月となるので、その期間内に本免許にも受かる必要がある。

5.特定講習を受講する
特定届出自動車教習所で、危険予測や応急救護処置などの講習を受ける。後に取得時講習を受けるなら不要だが、仮免許所得後に特定講習を受けておけば、本免試験の合格当日に運転免許証が交付されるのでスムーズだ。

6.指導員を乗せて規定の路上練習を行う
「仮免許練習中」の標識を付けた車両に指導員を助手席に乗せて路上練習を行う。練習は1日2時間ほどを5日に分けて行なわなければならない。指導員は「普通自動車免許の取得後3年以上が経過」または「2種免許を取得している人」であれば一般の人でも問題ない。練習後は、指導員や練習日などを路上練習申告書に記載する。

7.本免学科試験に合格する
路上練習申告書を提出して、運転免許試験場で本免学科試験を受ける。不合格の場合は再度受験する。なお、路上練習から3ヵ月以内でないと本免学科試験は受けられない。

8.本免技能試験に合格する
本免学科試験の合格者は運転免許試験場で予約をして、本免技能試験を受ける。

9.取得時講習の申し込みをする(※特定講習を受けた場合は不要)
運転免許試験場で取得時講習の申し込みをする。後日、危険予測や応急救護処置などの講習を指定された自動車教習所で受ける必要がある。

10.運転免許が交付される
特定講習か取得時講習を受け終わったら、運転免許試験場で免許証が交付される。
 

 

普通自動車免許にかかる費用

普通自動車免許の取得にかかる費用は、取得の方法や試験を受ける地域で異なる。当然、教習所によっても費用が異なるので、一概に言うことはできない。

ただ、「なんとなくでも良いから相場感を知りたい!」という人のために、東京都で取得する場合の費用の目安を紹介する。こちらを参考にしつつ、通う予定の教習所や地域の運転免許試験場に問い合わせてみると良いだろう。

指定自動車教習所で通学・合宿した場合

教習所代 教習所によって異なる
(通学25万~35万円/合宿20万~30万円が相場)
運転免許試験場での試験 3800円
(試験手数料1750円+交付手数料2050円)
教習所代 教習所によって異なる
(通学25万~35万円/合宿免許20万~30万円が相場)
運転免許試験場での試験 3800円
(試験手数料1750円+交付手数料2050円)

一発試験を受ける場合

仮免許試験 5500円
(受験料2900円+試験車使用料1450円+仮免許証交付手数料1150円)
本試験 5400円
(受験料2550円+試験車使用料800円+免許証交付手数料2050円)
取得時講習 1万5400円
(普通車講習料1万1200円+応急救護処置講習料4200円)
仮免許試験 5500円
(受験料2900円+試験車使用料1450円+仮免許証交付手数料1150円)
本試験 5400円
(受験料2550円+試験車使用料800円+免許証交付手数料2050円)
取得時講習 1万5400円
(普通車講習料1万1200円+応急救護処置講習料4200円)
 

普通自動車免許に関するQ&A

Q. 普通自動車免許の取得にかかる期間は?
A.普通自動車の第一種運転免許の場合は、指定自動車教習所での通学なら平均で2~3ヵ月。合宿免許の場合は2~3週間が一般的だ。一発試験の場合は本人次第であるため、一概には言えない。第二種運転免許の場合は一種免許より短期間で取得できる。通学なら1ヵ月、合宿なら8日でも取得可能だ。

Q. 普通自動車免許をオトクに取得する方法は?
A.最も効果的なのは、料金がリーズナブルな自動車教習所を探すこと。MT車に乗る予定がないなら、料金が安く設定されているAT限定免許を取得するのもひとつの手だ。加えて、教習所の料金は時期によって変動し、閑散期にオトクとなる。費用を抑えたいなら、通う人が少ない傾向にある5月~6月や10月~11月に入学するのもアリだろう。

Q.普通自動車免許試験の合格率は?
A.警察庁交通局運転免許課が発表する「運転免許統計 令和3年版」によると、第一種免許なら、MTの場合は74.2%、AT限定の場合は73.4%。第二種免許なら、MTの場合は50.2%、AT限定の場合は50.2%となっている。

Q.普通自動車免許の取得日や種類の確認方法は?
A.保有している運転免許の種類は、免許証の下部中央に略称で記載。また、一部の運転免許の取得年月も免許証の下部左に書かれる。普通自動車の場合は一種免許なら「他」の欄、二種免許なら「二種」の欄に記載。「二・小・原」には二輪・小型特殊・原付の一種免許が記されるが、それぞれの欄には最も昔に取得した免許の年月が記載されるのだ。

つまり、前述の免許の中で普通自動車を最初に取得した人は免許証で確認可能。そうでない人は警察署や運転免許更新センターなどにある「ICカード読み取り装置」か「運転免許経歴証明書」で確かめよう。
 

文/綱島剛(DOCUMENT) 写真/Adobe Stock

※記事内の情報は2023年3月24日時点のものです。