12年ぶりにラリージャパン開催! 3位入賞の勝田選手と下位カテゴリーの車両に注目【EDGE Motorsports】
カテゴリー: カーライフ
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2022/12/07
唯一の日本人ドライバー、勝田選手が3位入賞
2022年11月10日(木)から13日(日)にかけて、愛知県と岐阜県でWRC(FIA世界ラリー選手権)のシーズン最終戦となる「ラリージャパン」が開催された。日本でWRCが開催されるのは、2010年に北海道で行われて以来12年ぶりのことだ。
最終結果では、トップカテゴリーであるRally 1にトヨタから唯一日本人として参戦している勝田貴元選手が3位表彰台を獲得。母国ラウンドで劇的なフィナーレを飾った。
トップカテゴリーは3メーカーの争い
ここでは少しWRCを戦うモデルに注目してみたい。現在のWRCはトップカテゴリーのWRCをはじめ、WRC2、WRC3といった、フォーミュラでいえばF1、F2、F3に該当するカテゴリーが用意されている。
2022年シーズンにトップカテゴリーに参戦していたのは、トヨタ、ヒョンデ、Mスポーツ(フォード)の3メーカー。使用されるマシンは、それぞれトヨタ ヤリス、ヒョンデ i20、フォード プーマというBセグメントハッチバックをベースとした「Rally 1」車両とよばれるスペシャルマシンだ。
2022年シーズンからは新たな規定が導入されており、各モデル共通のハイブリッドシステムを備えているのが特徴。ラリー競技もカーボンニュートラルへの取り組みをスタートさせたというわけだ。
トヨタのRally 1車両「GR YARIS Rally 1 HYBRID」を例に見てみると、1.6L直噴ターボエンジンにハイブリッドユニットを組み合わせている。ユニットは3.9kW/hのバッテリーとモータージェネレーターユニット(MGU)からなり、加速時には最大で100kW(約134馬力)のパワーと180N・mのトルクを発生。システムトータルとしては、最高出力500ps以上、最大トルク500N・m以上を発揮する。
トランスミッションはコスト抑制のために簡素化され、前後機械式デフによる四輪駆動で、シンプルな機械式シフトの5速ギアボックスとする。
そして燃料には合成燃料とバイオ燃料を混合した非化石燃料が用いられる。F 1でも一部合成燃料が使用されているが、FIA世界選手権のモータースポーツで100%の非化石燃料が用いられるのは、Rally 1が初めてだ。
下位カテゴリーには多くの車両が登場する
WRC2を戦うのがRally 2車両。WRCがメーカー選手権なのに対して、WRC2以下は基本的にはプライベートチームによって争われる。Rally 2車両は自動車メーカーが製造、販売するラリー専用のスペシャルマシンであり、オンロードマシンでいうところGT 3車両といったところだ。エンジン排気量の上限は1620ccで駆動方式は4WD。ギアボックスは5速シーケンシャルを組み合わせている。
今回のラリージャパンで見かけたRally 2マシンは、フォルクスワーゲン(ポロ GTi)、フォード(フィエスタ)、シトロエン(C3)、ヒョンデ(i 20)、シュコダ(ファビア)といった顔ぶれ。
そしてサプライズとして、ラリージャパンの開催中にトヨタがGRヤリスをベースに開発中のRally 2マシンを世界初披露した。これはトヨタがさらにラリーに注力し、裾野を広げていこうという意思表示といえるものだ。2023年シーズンには、このGRヤリス Rally 2がおそらくどこかのタイミングで投入されるはずだ。
日本開催ということもあり、下位カテゴリーでは全日本ラリーなどに参戦している日本人ドライバーの姿も多く見られた。Rally 1や2は、市販車をベースにしているとはいうものの、実際のところは完全なレーシングマシンであるのに対して、下位カテゴリーは軽量化や安全のためのロールケージによる補強などを除けば、ほぼ市販車のままだ。トヨタ GRヤリスをはじめ、トヨタ 86、プジョー 208、ダイハツ コペンといった馴染みのある車が走っていた。
2022年シーズンのWRC(Rally 1)は、ドライバー&コ・ドライバー、マニュファクチャラーのすべてのタイトルをトヨタが獲得。そして2023年は、トヨタの育成プログラムに参加してきた勝田貴元選手が、晴れてトヨタのワークスチームであるTOYOTA GAZOO Racing WRTへと昇格。来シーズンもふたたび、愛知県と岐阜県でラリージャパンの開催が予定されている。国産メーカーのマシンを日本人ドライバーがドライブし、表彰台のてっぺんに上る、そんな快挙を目の当たりにすることができるかもしれない。