運転中、後続車両などの状況はフロントガラス部分に設置されるルームミラーやドア(またはフロントフェンダー)についたサイドミラーを見て確認するのが当たり前。日産自動車は「走行中の後方確認は鏡を見る」という常識を覆す新機能「スマート・ルームミラー」を開発した。

車の後部座席に大きな人が乗っていると、ルームミラーの中に人が映ってしまい後方をきちんと確認できないことがある。荷室にたくさんの荷物を積んだときも同様だ。リアウインドウにカメラが付いたスマート・ルームミラーなら、条件に左右されることなく後方の安全確認を行える。

この機能、リアウインドウに高性能狭角カメラを設置。このカメラがとらえた映像を液晶モニターに映す。液晶モニターはなんとルームミラーに内蔵され、ミラーに映る風景とカメラがとらえた映像は、ルームミラーの防眩機能を使うようにレバーひとつで切り替えることができる。

液晶モニターとミラーは、重ねて使用すると、後方からの光がミラー反射とモニター透過によって「2重像」となり、良好な視界が得にくくなる。日産は研究を重ね、この問題を解決。後方の映像をミラー全体=全画面で映すことに成功した。

これまで車載用には広角カメラが使われることが一般的だった。ところが広角カメラは広い範囲を映し出すことができる反面、距離感を掴むのが難しくなり、画質も大きく悪化するという問題があった。

そこで後方映像を撮影するカメラには、新開発の130万画素の高性能狭角カメラを採用。これにより撮影した画像を高画質かつ正しい距離感でモニターに映すことが可能になったという。

車のリアガラスは運転中に後方視界を確保するうえで欠かせない存在。一方でボディスタイルによっては荷室内部が見えてしまうので、トノカバーなどを使って防犯対策をしている人も多いはずだ。現段階でスマート・ルームミラーはミラーとモニターを併用するが、この機能が普及しモニターの映像のみで後方確認が安全にできるような時代が来れば、リアガラスはいらなくなるかも? そうなれば車のデザインにも大きな影響を与えそうだ。

モニター比率を4:1とすることでミラー全面に映像を映し出せる。通常のミラー位置にモニターがあるので走行中も自然に後方確認が可能に

モニター比率を4:1とすることでミラー全面に映像を映し出せる。通常のミラー位置にモニターがあるので走行中も自然に後方確認が可能に

降雨時や降雪時、また薄暮や夜間などにおいても鮮明な画像を映し出せる。朝夕の逆光や後続車のヘッドライトにも対応するプログラムを搭載

降雨時や降雪時、また薄暮や夜間などにおいても鮮明な画像を映し出せる。朝夕の逆光や後続車のヘッドライトにも対応するプログラムを搭載