【試乗】新型 スバル フォレスター|ハイブリッド車とガソリン車を豪雪地帯で乗り比べ!
カテゴリー: スバルの試乗レポート
2019/03/12
![▲2月にメディア向けの企画「SUBARUテックツアー第10弾」が、雪深い山形県で開催された。このツアーは、SUBARUとういう会社をより知るためのメディア向けの企画で、ボーイング787のスバル製中央翼を作る現場や北海道の実験研究テストコースの見学など、スバルがどのようなことを踏まえて自動車を作っているのかを知ることができる ▲2月にメディア向けの企画「SUBARUテックツアー第10弾」が、雪深い山形県で開催された。このツアーは、SUBARUとういう会社をより知るためのメディア向けの企画で、ボーイング787のスバル製中央翼を作る現場や北海道の実験研究テストコースの見学など、スバルがどのようなことを踏まえて自動車を作っているのかを知ることができる](http://wwwtst.carsensor.net/contents/article_images/_63884/stec1.jpg)
200km試乗でわかったフォレスターのキャラクター
今回で10回目を迎えた「SUBARUテックツアー」のテーマは“SUV SNOW DRIVING EXPERIENCE”という、豪雪地帯の一般道を200kmほどドライブし、その性能を堪能する企画である。
コースは、出発地点の山形市から雪深い白銀の山間部をひたすら走り、庄内空港に向かうルート。
前半100kmを試乗するモデルは『e-BOXER』というハイブリッド車で、山形の中心部から東北中央自動車道と国道、県道を走って大正浪漫あふれる銀山温泉に向かう。
![▲この日の現地気温は-2℃。山間部ではさらに気温が低かった。厳しい環境下の移動で頼りになるのは、やはり優れた4WD性能をもったモデルだろう](http://wwwtst.carsensor.net/contents/article_images/_63884/stec2.jpg)
e-BOXERの印象だが、とにかく市街地でのパフォーマンスが高い。
高速道路では加速時の出力特性と静粛面にネガティブな顔をのぞかせるが、市街地走行では車内の静粛性は良好。押し付けがましくないモーターアシストは運転していて気持ちが良いのだ。
道路の端に雪が残っているものの、想像以上に車道の除雪が行き届いていて走りやすい。
最上川から離れるように北東に向かっていくと段々と雪深くなっていく。
路面も徐々に圧雪とアスファルトが混在する危険を伴う環境に変化していく。
しかし、フォレスター e-BOXERは小さなスリップで四輪に回転差が生じてもステアリングを過度に取られることなく直進安定性を維持する。
![▲普段、フォレスターで雪道を走る場合は、センターコンソールにある切り替え可能な走行モードを「ノーマル」に設定しておけばよい。一方、スポーティに走りたいのであればSモードに切り替えればアクセルのレスポンスは向上し積極性が上がる。加えてX-MODEという最高の悪路走破性を見せるモードも選択が可能だ](http://wwwtst.carsensor.net/contents/article_images/_63884/stec3.jpg)
フォレスターを所有した場合、日常使いでは、基本的にノーマルモードのまま使用し、悪路でもそのまま切り替えることなく使うシーンが多いとイメージし、今回はあえてひたすらノーマルモードで走り、その基本性能を確かめた。
![▲銀山温泉に近づくにつれ、東京の人間にはまるで異次元ともいえるほど雪深くなる](http://wwwtst.carsensor.net/contents/article_images/_63884/stec4.jpg)
両サイドは真っ白な雪の壁。前方の道も真っ白で、遠近感がつかみにくい。
そんな状態でも、運転席からの視認性が高いフォレスターは落ち着いて運転ができる。
これがカタログの諸元表数値では簡単に比較することができない、スバルならではの考え方からなる車の作りなのであろう。
![▲雪でできた滑りやすい轍も、しっかりと四輪にトラクションがかかり続ける。ゆえに、銀山温泉付近の極度に狭い道でのすれ違いという、緊張感が増すシーンでも不安感なく走れるのだ](http://wwwtst.carsensor.net/contents/article_images/_63884/stec5.jpg)
e-BOXERはトルクの立ち上がりが早いが、それゆえにカーブでは気を使う
![▲e-BOXERはエンジンのトルクにモーターのトルクが加わることでとても力強い。発進時や坂道でのストレスは全く感じない。雪上でもその静粛性の高さと4WDの安定した直進性により運転が楽だ。ただ、トルクの立ち上がりが早いがために、雪上など不安定な路面のカーブでの不用意なアクセルワークは挙動を乱す原因となる](http://wwwtst.carsensor.net/contents/article_images/_63884/stec6.jpg)
カーブの多い峠の山間部を縫うように走り、次の目的地である肘折温泉へと向かう。
普通に走っていれば、滑りやすい路面のカーブでも、アンダーステア気味な挙動を起こす手前で車がトラクションをコントロールし、カーブの内側に向きを変えるように走る。
ただe-BOXERは、モーターのトルクとエンジンのトルクが組み合わさった際の出力特性にちょっとしたクセがあり、アクセルのコントロールが難しい部分もある。
どういうことかというと、ガソリン車よりもトルクの立ち上がりが早いため、雪道のコーナーでは慎重なアクセルワークが必要となるのだ。
カーブ途中で不用意にアクセルを踏み込めば、急激な推進力により外に膨らむ力が強まり、その挙動を抑えきれなくなるのだ。
トータルバランスが優れているガソリン車は、とにかく扱いやすい
![▲肘折温泉で昼食と車両チェンジ。昼食の板そばの麺は太めの田舎蕎麦。コシはもちろんのど越しも良かった。さらに温泉街の雪景色を見ながらいただいた山形名物の芋煮も絶品。雪上を100kmも走ってきたとは思えないほど疲れもなく、昼食の料理をゆったり味わう余裕があるのもフォレスターの性能なのか……](http://wwwtst.carsensor.net/contents/article_images/_63884/stec7.jpg)
肘折温泉で2.5Lガソリン車の『X-BREAK』に乗り替え日本海側の庄内空港に向かう。距離にして約100kmの道のりだ。
最上川沿いに出るまでは雪深く、e-BOXERとの性能の違いを存分に試すことができる。発進時や加速時のパワーも不足は感じないうえ、アクセル開度に対して素直な反応を示す。
また雪の圧雪路のカーブでは、e-BOXERがアンダー気味だったのに対し、X-BREAKはステアリングを増して切らなくてもスムーズにトレースできる。
言い換えれば、素直な加速性能とハンドリングにより、ドライビングに変な気を使わなくて済む安心感があるのだ。
首都圏などが主な利用エリアであれば、パフォーマンス的にもe-BOXERの方が適していると思うが、トータルバランスは2.5Lガソリン車の方が扱いやすく優れていると感じる。
フォレスターは、総合的なSUVとしての性能はもちろんコスパも高い1台
どちらにしても、四季の変化に適応したグランドツーリングが可能なレベルの高いSUVであることに間違いはない。
加えて、乗り慣れてからあらためて感じるのは質感の高さ。
300万円前後で独自性ある技術と性能に加えて、パワーウインドウの取り付け部分の剛性の高さなどマニアックな見えない部分にも質感の向上を感じる。
スバルを好きな人は、目に見えないプロダクトにもこだわることをエンジニアは良く知っているのだ。
新型フォレスターで200kmに及ぶ一般道の雪上試乗を行った結果、それが一層理解できたように思う。
【スペック・諸元表】※試乗車
■グレード:アドバンス ■乗車定員:5名
■エンジン種類:直列4気筒DOHC+モーター ■総排気量:1995cc
■最高出力:107(145)/6000 [kW(ps)/rpm]
■最大トルク:188(19.2)/4000[N・m(kgf・m)/rpm]
■モーター最高出力:10(13.6) [kW(ps)]
■モーター最大トルク:65(6.6)[N・m(kgf・m)]
■駆動方式:4WD ■トランスミッション:CVT
■全長x全幅x全高:4625 x 1815 x 1715(mm) ■ホイールベース:2670mm
■ガソリン種類/容量:レギュラー/48(L)
■WTLCモード燃費:14(㎞/L)
■車両価格:309万9600円(税込)
■グレード:X-ブレイク ■乗車定員:5名
■エンジン種類:直列4気筒DOHC ■総排気量:2498cc
■最高出力:136(184)/5800 [kW(ps)/rpm]
■最大トルク:239(24.4)/4400[N・m(kgf・m)/rpm]
■駆動方式:4WD ■トランスミッション:CVT
■全長x全幅x全高:4625 x 1815 x 1730(mm) ■ホイールベース:2670mm
■ガソリン種類/容量:レギュラー/63(L)
■WTLCモード燃費:13.2(㎞/L)
■車両価格:291万6000円(税込)
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