ホンダ フィット/フィットハイブリッド|ニューモデル試乗

旧型よりもやや筋肉質になった印象を受けるエクステリア。ボディサイドに深く刻まれたキャラクターラインが印象的だ

完成度では1.5Lガソリンエンジン搭載のRSが秀逸

HVに搭載される7速DCTに課題あり

3代目となる新型は、1.3Lと1.5Lのガソリン車、そして1.5Lハイブリッド(HV)の3タイプでスタートを切った。

まずは注目のHV。目玉は7速DCT(デュアルクラッチトランスミッション)だ。7速DCT採用の狙いは、低燃費とスポーティな走りの両立。

だが走り出しの加速感は少々緩慢だ。これはDCTが、CVTやATよりも伝達効率が良く、アクセルレスポンスを上げた際に発生するギクシャク感を抑える配慮なのだろう。アクセルを踏み込みスポーティーに走らせれば、切れの良いMT車のようなシフトアップダウンが可能だ。

通常運転では連続的にシフトアップするかのような滑らかなプログラミングになっている。それでも元祖であるフォルクスワーゲンのそれに比べるとまだ緩さが否めない。高い性能を秘めた7速DCTだけに更なる改良を期待したい。

ただし、エンジンサウンドはホンダらしくHVでも心地良い。

サスペンションとタイヤのマッチングが良いRS

バランスが良いのは1.3Lガソリン+CVTのエントリーグレードだ。

CVTはDCTより伝達効率で劣るが、万人が低燃費かつスムーズに走れるようなホンダ独自のノウハウが生かされている。126万5000円の本体価格とFFで26km/Lの燃費、そして欠点の少ない走りのフィールを考えれば、非常に値ごろ感がある。

1.5Lエンジン搭載のスポーツグレードであるRSは、非常に完成度が高い車に仕上がっている。

サスペンションとタイヤのマッチングが良く、HVのスポーツ仕様であるSで出ていたリアハッチ回りの振動があまり気にならなかった。ボディへの共振を抑えたセッティングの賜物だ。

またRSのシートファブリックが他のモデルと異なり、張りがあって心地よい。

新型には初代がもっていたエポック感が薄い。だが、これから成熟する要素をもったモデルであることは間違いない。

タッチパネル式エアコンはガソリン仕様の13Gと13G Fパッケージ以外に標準装備。デザイン性と質感の向上に一役かっている

タッチパネル式エアコンはガソリン仕様の13Gと13G Fパッケージ以外に標準装備。デザイン性と質感の向上に一役かっている

前方車両との衝突の回避・軽減を自動ブレーキで支援するシティブレーキアクティブシステム(メーカーオプション)のレーダー部

前方車両との衝突の回避・軽減を自動ブレーキで支援するシティブレーキアクティブシステム(メーカーオプション)のレーダー部

ガソリン車のトランク下。通常は工具が収納されている。HV車の場合は代わりにブルーエナジー社製のリチウムイオンバッテリーが搭載される

ガソリン車のトランク下。通常は工具が収納されている。HV車の場合は代わりにブルーエナジー社製のリチウムイオンバッテリーが搭載される

SPECIFICATIONS

グレード 13G 15X RS ハイブリッド Sパッケージ
駆動方式 FF 4WD FF
トランスミッション CVT 6MT CVT
全長×全幅×全高(mm) 3955×1695×1525 3955×1695×1550 3955×1695×1525
ホイールベース(mm) 2530
車両重量(kg) 970 1120 1050 1140
乗車定員(人) 5
エンジン種類 直4DOHC 直4DOHC+モーター
総排気量(cc) 1317 1496
最高出力[kW(ps)rpm] 73(100)/6000 97(132)/6600 81(110)/6000+22(29.5)/1313-2000
最大トルク[N・m(kg-m)/rpm] 119(12.1)/5000 155(15.8)/4600 134(13.7)/5000+160(16.3)/0-1313
JC08モード燃費(km/L) 26.0 19.0 31.4
ガソリン種類/容量(L) レギュラー/32 レギュラー/40
車両本体価格(万円) 126.5 176.9 180.0 193.0
Tester/松本英雄 Photo/篠原晃一