絶対速度とコントロール性を向上させて、戦闘力を大幅UP

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コンセプト

サーキット重視で初代の正常進化版

バブル景気のピーク時に登場したNSXは、発売と同時に納期8年という声が出るほどの人気となった。しかし景気の後退とともに、キャンセルが相次ぐ。そんな状況の中、ライバルのポルシェ911はRSなるスポーツバージョンをデビューさせた。

本来なら排気量の拡大など大幅なバージョンアップでポルシェに対抗すべきだったのだろうが、残念ながらホンダ自身の業績も悪化。しかし逆に考えるなら販売台数が落ち着き、熟練した技術者を確保できる環境は整った。

それじゃあ、ということでエンジンのバランスを入念に取り、足回りを固め、ボディを軽量化してリリースされたのが初代NSX-Rだったというわけ。1995年のマイナーチェンジでカタログから消えたのだが、NSXの進化とともにリバイバルデビューとなった。
室内&荷室空間

エンジンのチューン度はレーシングエンジン並み

新型NSX-Rの最大のポイントは、3.2Lになったエンジンだろう。タイヤのサイズアップやボディの補強などによって、初代より25.6kgも重くなってはいるが、レーシングエンジンと同様の手作業によるバランス取りを行い、ギアレシオも引き下げられるなど(ミッションは6速になった)、モディファイの王道を行く入念なチューニングが施されている。

ボディは空力を重視してリファイン。足回りは、高い評価を得ていた初代NSX-Rをベースに再セッティング。ドアを開けると、真っ赤なレカロの軽量シートが目に飛び込んでくる。座った瞬間から“その気”にさせられてしまいます。またエアバッグはオプション扱い。もちろん標準のエアバッグなしMOMO製ステアリングでも、衝突安全基準はクリアしているとのこと。
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ドライブフィール

路面の感触などがダイレクトに伝わる

では試乗と行こう!カッチリした手応えのギアを1速に入れ、テストコースに飛び出す。タイヤが暖まったのを確認して全開にすると、新型のドライブフィールはもはや感性のカタマリの如し。路面の感触からタイヤの滑り具合まで、ドライバーにダイレクトな情報としてすべて入ってくるのだ。

だからこそ初代NSX-Rよりも絶対的な速度が高い割に、コントロールしやすい。バンピーな路面で多少ABSの制御が不安定になるのを除けば、ミッドシップとしちゃあ最高の仕上がり。今回は確認できなかったけれど、高速域ではボディが発生するダウンフォースで安定性を確保するそうな。熱心なNSXファンにとっちゃこの新型、最高の相棒になってくれるんじゃなかろうか。ブリヂストンが専用開発したタイヤも素晴らしい出来でした。
こんな人にオススメ
価格は1195万7000円。最高速285km/hというカタログデータをもつポルシェ911は990万円で買えてしまう。金額差200万円をつぎ込めば、同じくらい速い911を作れるんじゃなかろうか。ということで、NSX-Rを選ぶヒトは“熱心なNSXファンと” いうことになるだろう。加えて“国産スポーツカー命と” いう人にも。
SPECIFICATIONS
グレード タイプR
駆動方式 MR
トランスミッション 6AT
全長×全幅×全高(mm) 4430×1810×1160
ホイールベース(mm) 2530
車両重量(kg) 1270
乗車定員 2人
エンジン種類 V型6気筒DOHC
総排気量(cc) 3179
最高出力 206kW(280ps)/ 7300rpm
最大トルク 304N・m(31.0kg-m)/5300rpm
車両本体価格 1195.7万円 
写真:桜井健雄 文:国沢光宏