▲電気自動車、日産 リーフにバッテリー容量55%アップの新しい選択肢が誕生。長く走れる以外に恩恵はあるのか?▲電気自動車、日産 リーフにバッテリー容量55%アップの新しい選択肢が誕生。長く走れる以外に恩恵はあるのか?

日産 リーフe+(イープラス)

発表より一足先に、日産リーフ e+(イープラス)を試乗した。場所はサーキットだ。

e+の最大のセールスポイントは、走行距離が延びたこと。

従来リーフの400㎞から570㎞(JC08モード)になり、より長距離においても充電を気にせずドライブを楽しめるようになった。

しかし今回の試乗は、長距離走行を試せるシチュエーションではなかったため、車両価格「+50万円」の価値をそれ以外の点で判断せねばならない。

私は正直、プラットフォームを刷新せず、外側半分だけ変えたe+は“新型”と呼びたくない。

人間でいう「アキレス腱」は、車の場合「骨格」にあると思っている。

この部分に手を入れず走行距離だけ延ばしても、400万円超えモデルの裾野を広げるには、少々甘いと思う。

車として、きちんとした特別な性能を作り出さなくてはプレゼンスはないのだ。

……と、ついリーフには辛口になってしまう。

試乗は、2名乗車。

コースは、袖ヶ浦フォレストレースウェイを3周して戻る設定だ。

独特の丸く可愛らしいセレクターをDに入れ、スタートした。

Photo:篠原晃一

電気自動車は加速に息つぎがなくスムーズだ。

これは内燃機関だけでは実現できない。

1周目は慣熟走行で、街中を想定して走った。

感想としては正直、「なんで初めからこのセットアップで作らなかったのか」という疑問以外出なかった。

2周目からはハードに走った。

サスペンションのセッティングは、リーフNISMOよりもずっとしなやかで、粘り強い。

コーナリング時の安定性もかなり向上しており、ドライバーと同乗者に不安を与えない。

車体が重くなったにも関わらず、タイヤからスキール音もしにくかった。

路面とばっちりコンタクトが取れているのだ。

加速も鋭い。スイスイとコーナを切り抜ける。

ノーマルなリーフよりe+の方が、「運転が上手くなった」ように感じてしまう。

それくらい直線とカーブの安定感は良好なのだ。

本当にビックリするほど良くなっている。

ボディ剛性もこのくらいあれば、長距離運転も疲れない。

従来のリーフでは、ボディ剛性が低いモデル特有のバイブレーションも気になっていたのだ。

静粛性も高いので、より快適に感じる。

……私の辛口は、最初の3周ですっかりトーンダウンしてしまった。

Photo:篠原晃一

もっとも、サーキットなので路面状態は安定している。

一般道でこれと同様のパフォーマンスかはどうかは断言できないが、縁石に片輪を乗せる走りをしても、しなやかで素直にサスペンションが受け持ってくれていたので、期待はできる。

とりあえずサーキット試乗だけでも「+50万円」の付加価値は感じられた。

ぜひ、実際に乗って判断してほしい。

日産は、従来リーフと e+を比べて試乗させることが最大の良心ではないだろうか。

ちなみに、今回試せなかった航続距離の観点だが、数字だけ見ると従来の「400㎞」でも十分に思えるが、ロングドライブとなると安心感に欠けるのだ。

もちろん、長い距離でもルーティーンのコースならば、充電スポットも把握していて問題ない。

しかし、急な遠出やちょっとした旅行では、300km程度ノンストップで走ることだってある。(※もちろん小まめな休憩を取ることを推奨する)

そうなると、400kmでは“優雅”にドライブはできないだろう。

ところが、570㎞となれば東京から浜松あたりまでは気持ちに余裕をもてるというものだ。

一般道試乗の際は、ぜひその「余裕」を確認したい。

Photo:篠原晃一
▲e+には、フロントバンパー下部にブルーのリップスポイラーパーツが付く ▲e+には、フロントバンパー下部にブルーのリップスポイラーパーツが付く
▲充電ポートに「e+」のロゴも装着される ▲充電ポートに「e+」のロゴも装着される
text/松本英雄
photo/篠原晃一

【SPECIFICATIONS】
■グレード:e+ G ■乗車定員:5名
■最高出力: 160(218)/4600~5800 [kW(ps)/rpm]
■最大トルク: 340(34.7)/500~4000 [N・m(kgf・m)/rpm]
■駆動方式:FF ■一充電走行距離(JC08モード):570(km)
■全長x全幅x全高:4480×1790×1545(mm) ■ホイールベース:2700mm
■車両価格:472.932万円(税込)