新型リーフは先代に比べて良くなったし、航続距離もそこそこ延びた。しかし、アームレストは微妙だ
2017/12/02
チェックすべき点は航続距離だけではない
2009年8月に日産が他メーカーの先陣をきって、大々的に電気自動車のアナウンスを行った。その車こそがリーフであり、1年後の2010年12月に販売となった。昨今の事情を考えると、日産には先見の明があったのだろう。
試乗した際には、加速力や静粛性の高さに驚いた。航続距離は決して長くなかったものの、ルーティーンで都内や近距離郊外を走るのには好都合だと感じた。
一方で東京から箱根あたり(片道約100km)のドライブでも、「電気残量は大丈夫か……。」とひやひやする場面があった。目的地に必ず充電施設があるという確約があれば、120㎞のドライブでも問題なかったが……。
あれから7年経過した。急速充電設備も一気に整い、電気自動車がより普及しやすい状況になった。2代目は「いかに航続距離を延ばせるか」ということを考えたのであろう。カタログ燃費はJC08モードで400kmというから、どんなに差し引いても300km程度は走るだろうか。
今回は1時間ほどではあるが、2代目となる新型リーフに試乗する機会を得た。 新型リーフは、先代から比べるとシャープな装いとなった。
エクステリアは、フロントのドア以外を残して刷新したということである。ということは、プラットフォームも先代から受け継がれてきたモノをブラッシュアップしているのだろう。
今回の試乗車はボディカラーが2トーンカラーであった。ルーフをダーク系にして、背の高い印象を少しでも低く見せようとする苦労がデザインからうかがえる。
2色の継ぎ目の塗装状態が少し気になった。この点はもう少し改善の余地が残っているだろう。
乗り込んでみると、全く先代と変わらないポジションである。新型車であるが、インテリアに関しては新しさを感じることはできなかった。またアームレストの高さが左右違うのが気になった。
パワーをオンにして走り出す。一つのペダルで加速・減速をコントロールできる、「eペダル」であることは理解はしていたが、アクセルを戻すと予想以上に強力に止まろうとする。
しかし数百メートルほど走ればeペダルの要領はつかめる。BMW i3にも同様の機能があるが、リーフの方がより強力なイメージだ。
横浜の市街地ではストップ&ゴーを繰り返すような運転になる。うまくコントロールして、狙ったところでピタリと止まれると、まるでオリンピックの鉄棒で、完璧に決まった着地を見ているかのような感動を覚える。
静粛性は抜群によい。先代を踏襲するプラットフォームとはいえ、確実に良くなっている。乗り心地も申し分ない。だからこそアームレストの違和感はより気になる。
一般道から首都高速へ合流する。電気自動車が最もエモーショナルに感じる瞬間だ。ぐっと踏み込んで加速する。おとなしいハッチバックとは思えない、素晴らしい加速だ。
コーナリングも先代より安定感が高く、高速のストレートでは空力特性が向上している印象も得られた。
道中、渋滞にはまるシーンがあった。プロパイロットの案配を試してみると、とてもリラックスして渋滞の中を走ることができる。EVならではの初速からの力強い加速と、プロパイロットの相性は抜群に良い。
しかし、あくまでも運転“支援”機能であるから過信してはいけない。疲労軽減とちょっとした不注意を見張ってくれるものだと考えるべきだ。そう考えてドライブすれば、精神的な疲労も少なくなって同乗者との会話も弾むだろう。
【SPECIFICATIONS】
■グレード:G ■乗車定員:5名
■エンジン種類:モーター
■モーター最高出力:110(150)/3283-9795 [kW(PS)/rpm]
■モーター最大トルク:320(32.6)/0-3283 [N・m(kgf・m)/rpm]
■駆動方式:FF ■トランスミッション:CVT
■全長x全幅x全高:4480x1790x1540(mm) ■ホイールベース:2700mm
■一充電走行距離(JC08モード):400㎞
■車両価格:399.06万円(税込)
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