実用性十分、“庶民的”プライスでお買い得!

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コンセプト

ライバル輸入車に対して高いバリューをアピール

単に「S60」というネーミングのこのニューモデルは、ボルボのミドルセダンであるS60シリーズ(S70の後継機種)に加わった最も廉価なグレードである。

その実態から「エントリー」とも称されるようだが、そのプライスは365万円。ただ、ライバルの高級ミドルセダンたちと比べると、この価格でも十分に“庶民的” とはいえる。

エンジンはボルボ独自の直列5気筒の20バルブユニットを横置きに搭載するFFで、排気量は2.4L、140ps。すでにある「S60 2.4」の170psより出力的には劣るが、今回のエンジンはトルク重視でセッティングされており、トルクの数値は170ps仕様とほぼ同レベル。そして、その最大トルクの発生回転数もぐっと低くなっている(3750回転)。
室内&荷室空間

内装はシンプル。後席は広く快適

シンプルで控えめな感じのインテリアは、ボルボの伝統ともいえるが、この60系では、上級車のような木目多用というインテリアの考え方ではないため、その渋さがさらに際立つ。

ただ、試乗車にはパッケージオプション(今ならという限定価格で25万円とか!)が装着されていたため、シートとステアリングは本革で、また運転席のパワーシート機構もプラス。つまり、365万円では写真のような室内にはならないということ。

シートサイズは非常にゆったりしたもので、車の全幅もたっぷりあるので、これはかなり余裕と快適の室内空間といえる。後席もゆったりと座れるのは、ライバルの輸入車ミドルセダンに対してのS60の優位。特にヘッドルームは余裕十分だ。
  • ボルボ S60 フロントシート|ニューモデル試乗
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ドライブフィール

性能的には十分だがタイヤノイズは大きめ

従来の2.4Lノンターボエンジンに対してパワーが控えめになったこの新5気筒だが、性能的には不満なし。トルクが十分にあるので、速さやレスポンスといった面でのストレスもほとんどない。実用セダンのエンジンとしては、こういうキャラのほうがいい。

むしろ気になるのは、主にタイヤが発するロードノイズがやや過大なこと。近年のボルボは、スポーティさを主張したがる傾向があるのだが、しかし、ユーザーがこのブランドに求めているのは、運動性以上に快適性のはず。その意味では、試乗車に装着されていたタイヤは、特に音の面で、快適性を損ねていた。

とはいえ、広く明るい室内とトルクのあるエンジン、そしてこのプライスは、ライバルへの挑戦状としてはかなり有効。注目のニューカマーだ。
こんな人にオススメ
まずは、インテリア重視のユーザーに。それも、目にやさしいような、過度に自己主張をしないインテリアが好ましいと考える人々へ。まあ、こういったタイプにとっては、エクステリアがこれでもハデめ(目つきなど)で気になるところかもしれないが、ライバルはもっと押しが強かったりする。
SPECIFICATIONS
グレード S60
駆動方式 FF
トランスミッション 5AT
全長×全幅×全高(mm) 4575×1815×1430
ホイールベース(mm) 2715
車両重量(kg) 1490
乗車定員 5人
エンジン種類 直列5気筒DOHC
総排気量(cc) 2434
最高出力 103kW(140ps)/ 4500rpm
最大トルク 220N・m(22.4kg-m)/3750rpm
車両本体価格 365.0万円
写真:芳賀元昌 文:家村浩明