▲自然吸気エンジンの、しかも超高回転型V12エンジンはフェラーリと並ぶ希少種。環境問題を考えればいつ消え去ってもおかしくない運命のうえ、SVは世界限定600台で日本販売分はすでに完売ともいわれる。見つけた時点で即決しないと間違いなく手遅れになるだろう ▲自然吸気エンジンの、しかも超高回転型V12エンジンはフェラーリと並ぶ希少種。環境問題を考えればいつ消え去ってもおかしくない運命のうえ、SVは世界限定600台で日本販売分はすでに完売ともいわれる。見つけた時点で即決しないと間違いなく手遅れになるだろう

際立つ“超軽量級ハンドリング”

カタロニア・サーキットのコーナーを2つほど曲がると、新しいランボルギーニ アヴェンタドール LP750-4 スーパーヴェローチェ(SV)が“ノーマル・アヴェンタドール”とまったく異なるハンドリングの持ち主であることがわかった。絶対的安心感をもたらすがゆえに、どっしりとしたイメージから抜けきれなかった“ノーマル”に比べると、SVははるかに鋭敏で、ドライバーのステアリング操作に瞬時に応えてくれるのだ。そのレスポンスは、ちょっと乱暴に操舵するとまるで横っ飛びしていくかのような鋭さで、「コイツは簡単にリアのグリップを失いかねない“じゃじゃ馬”、いや“じゃじゃ牛”に違いない」なんて不安を抱かせるほどだった。

けれども、2周、3周と走り込んでいくうちに、たしかにステアリング・レスポンスは鋭いけれど、完全にコントロールを失ってしまうほどリアのグリップレベルが低いわけでもないことがわかってくる。逆に、アペックスまでスロットルオンを我慢できれば、そこから先はどんなに右足に力を込めてもリアタイヤはしっかりとグリップしたまま。そして久々にSVの名が与えられた猛牛は、ノーマルに50ps上乗せされて750psとなった6.5L V12エンジンのパワーを四輪で叩きつけるように路面に伝えていくのである。

だからといって、SVの足回りはただ従順なだけの退屈な設定にはなっていない。ターンインではスロットルの踏み込み量によってコーナーへのアプローチアングルをコントロールできるし、強めのブレーキングを残したまま低速シケインに進入すればコーナー初期のオーバーステアを誘発することも可能。つまり、思いどおりに振り回す余地は残されているのだ。

マクラーレン 650Sに始まってフェラーリ 458スペチアーレにも受け継がれた「限界を引き出せるスーパーカー」の遺伝子は、このSVにも間違いなく息づいている。

▲迫力のスタイリングは軽量化と空力性能向上の結果。カーボン製の固定式スポイラーは手動で3ポジション変更可能 ▲迫力のスタイリングは軽量化と空力性能向上の結果。カーボン製の固定式スポイラーは手動で3ポジション変更可能
▲カーボンシェルを用いた新デザインのスポーツバケットシートを装着。ドアノブ代わりにレザーストラップが付く ▲カーボンシェルを用いた新デザインのスポーツバケットシートを装着。ドアノブ代わりにレザーストラップが付く
▲0→100㎞/h加速はベーシックモデルより0.1秒速い2.8秒。シングルクラッチの7速ISRを組み合わせる ▲0→100㎞/h加速はベーシックモデルより0.1秒速い2.8秒。シングルクラッチの7速ISRを組み合わせる

【SPECIFICATIONS】
■グレード:LP750-4 SUPERVELOCE ■乗車定員:2名
■エンジン種類:V12DOHC ■総排気量:6498cc
■最高出力:750/8400[ps/rpm]
■最大トルク:690/5500[n・m/rpm]
■駆動方式:4WD ■トランスミッション:7SCT
■全長×全幅×全高:4835×2030×1136(mm) ■ホイールベース:2700mm
■車両重量:1525kg

text/大谷達也 photo/アウトモビリ・ランボルギーニ