▲購入に際して我儘を押し通す必要がないでしょ。これだけスタイリッシュなら奥方だって滅多なことじゃイヤっていわないだろうし、日本仕様は十中八九2ペダルだし。なので、家族のための車が必要だけど凡庸なミニバンには乗りたくないっていうヒトに、ぜひ ▲購入に際して我儘を押し通す必要がないでしょ。これだけスタイリッシュなら奥方だって滅多なことじゃイヤっていわないだろうし、日本仕様は十中八九2ペダルだし。なので、家族のための車が必要だけど凡庸なミニバンには乗りたくないっていうヒトに、ぜひ

家族みんなが楽しい大きなチンクエチェント

ひとまわり、いや、ふたまわりも大きく膨らんだフィアット500のクロスオーバーSUV。ルックスは、自然にチンクのイメージを再現している印象で、その独特の存在感はなかなか魅力的だ。

今回試乗できたのはFFの1.4L 142psの6速MT仕様。そのトランスミッションが6速デュアルクラッチ式となるのが、この秋上陸予定の日本仕様のメインになると予想されている。

車体はデカくなってるしプラットフォームはジープのレネゲードと共有だっていうし、乗ったら大味でチンクとは全く別の乗りものになっちゃってるんじゃないか? なんて思いながら走らせてみたら、とんでもなかった。

これがとてもいい感じだった。車体もエンジンもサスペンションも全く異なるものを使ってるのに、標準型チンクの楽しさをストレートに連想させる軽やかで爽快な走りを味わわせてくれたからだ。

エンジンはごく低速域から力強さと粘り強さを発揮してくれるから街中では扱いやすく楽チン。いざアクセルを踏み込めば軽快な吹け上がりとともに、自然に気持ちよくスピードを上げていく。

高速巡航性も望外に高い。ハンドリングも素直だしコーナーではフィアットらしい粘り腰を見せてくれるし、曲がることを決して苦手としていないフットワークが嬉しい。走りの面でも見事にチンクの世界観に収まる車に仕上がっていたのだ。しかも乗り心地の豊かさは標準型チンク以上なのである。

実用重視の5人乗りファミリーカーとしても楽々通用するのに、ドライバーが退屈しないでいられる車。車を諦めたくない世のお父さんのための、真打ち登場! かも知れない。

▲500のアイコンを取り入れた、クロスオーバースタイル。スキッドプレートなどでSUVテイストも演出 ▲500のアイコンを取り入れた、クロスオーバースタイル。スキッドプレートなどでSUVテイストも演出
▲インテリアも500のテイストを踏襲。ダッシュボードはボディカラー(5色)と同色に ▲インテリアも500のテイストを踏襲。ダッシュボードはボディカラー(5色)と同色に
▲シートはファブリックに加えレザーも用意。フロントには500のロゴも入る。ラゲージ容量は350L ▲シートはファブリックに加えレザーも用意。フロントには500のロゴも入る。ラゲージ容量は350L

【SPECIFICATIONS】
■グレード:Lounge ■乗車定員:5名
■エンジン種類:直4SOHC ■総排気量:1368cc
■最高出力:142/5000[ps/rpm]
■最大トルク:230/1750[N・m/rpm]
■駆動方式:FF ■トランスミッション:6MT
■全長×全幅×全高:4248×1796×1600(mm) ■ホイールベース:2570mm
■車両重量:1320kg
※海外試乗時の参考値

text/嶋田智之 photo/FCA ジャパン